今までなんとなく「ご足労おかけします」という表現を使ってきたけど、
「目上の人に使っても失礼じゃないの?」
「使い方が間違っていないか確認したい」
と、ふと心配に思う方もいるはずです。
そこでこのページでは、「ご足労おかけします」の
- 使い方や意味、その例文
- このフレーズを使う相手・使う場面
- 言い換え表現・類語
- 目上の人に使ったら本当はダメなの?
などについて解説していきます。
最後まで読むと、この表現方法の理解度が上がり、ビジネスシーンで自信を持って使えるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
「ご足労おかけしますが」の意味とは?
「ご足労おかけしますが」という言葉は、「わざわざお越しいただく」という意味があります。
相手が手間や労力をかけて足を運んでもらったことに対して感謝して労う(ねぎらう)言い回しの一つで、「ありがとう」「申し訳ない」という感謝と謝罪の入り混じった意味合いが強いです。
また、この表現は取引先・お客様など、目上の人に向けて使用し、相手に不快な思いをさせないよう謙虚な態度を示すことができるので、ビジネス上のやりとりや接待の場面でよく使われます。
ただし、相手が本当に手間をかけてくれた場合にのみ使用するようにし、むやみに使わないように注意することが大切です。
「ご足労」の読み方
「ご足労」の読み方は、「ごそくろう」です。
「行く」「来る」の丁寧表現である「足労」と、丁寧語である「御(ご)」を結び付けた表現です。
「ご足労おかけしますが」は敬語表現?
「ご足労おかけしますが」は敬語表現の一つです。
敬語は、相手に敬意を表すために使用される言葉遣いであり、ビジネスシーンや公的な場面などでのコミュニケーションにおいて重要な役割を担っています。
「ご足労おかけしますが」という表現は、相手に対して丁寧な言葉遣いを心がけ、感謝や敬意を表すために使用されます。
「ご足労おかけしますが」「ご足労いただき」の違い
「ご足労おかけしますが」は、どちらかというと相手に謝る意味合いや申し訳ない気持ちを表し、「わざわざ足を運んでいただいて申し訳ございませんが」といったニュアンスがあります。
「ご足労おかけして恐縮です」
「ご足労おかけして申し訳ありません」
というようにお詫びを意味する言葉を添えて使うことが多いです。
一方で、「ご足労いただき」は、わざわざ相手に足を運んでもらったことを労うという意味合いが強めです。
下記のようにお礼の言葉とあわせて使用します。
「ご足労いただきありがとうございます」
「ご足労いただき感謝しております」
「ご足労おかけしますが」「ご足労いただき」の使い方を例文とあわせて紹介
ここでは、「ご足労おかけしますが」と「ご足労いただき」の使い分け方と例文について紹介します。
以下のように時系列や場面によって使い分けられるようになると相手にスマートな印象を持ってもらえるようになります。
「◯月◯日(水)の弊社での商談につきまして、あらためて連絡いたしました。当日はご足労おかけしますが、よろしくお願いいたします。」
▼お客様の来訪対応にて
「◯◯様のお越しをお待ちしておりました。お暑い中(お寒い中)ご足労おかけして申し訳ありません。どうぞこちらでお待ち下さい。」
「ご多忙の中、◯◯様にはわざわざご足労いただき、感謝しております。」
「本日は足元の悪い中、ご足労いただきまして誠にありがとうございます。」
「この度はお忙しい中、弊社の展示会までご足労いただきましてありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。」
▼相手への謝罪時に
「こちらの不手際にもかかわらず、ご足労をおかけして、誠に申し訳ございません。」
「お時間を割いて、ご足労いただいたのに申し訳ございません。」
▼上司へ依頼する際に
「ご多忙の中、ご足労おかけしますが、ご協力をお願いいたします。」
「ご多忙の中、お時間をいただきありがとうございます。ご足労おかけしますが、今後のプロジェクトについてご相談があります。」
「ご面倒をおかけしました。ご足労おかけしますが、〇〇社との契約についての報告をさせていただきたく思います。」
以上のように、「ご足労おかけしますが」は、相手に対する丁寧な謝罪と敬意を表す表現として、ビジネスシーンや公的な場面で幅広く使われています。
「ご足労おかけしますが」を使う相手・使う場面
実際に「ご足労おかけしますが」という表現を用いる前に、使う相手や使う際のポイントを押さえておくことが重要になります。
ここではビジネスシーンでよく使う局面について、詳しく説明していきます。
社外・取引先(お客様)に対して使う
「ご足労おかけしますが」は、相手に手間や労力をかけたことをねぎらう表現なので、社外の人や取引先(お客様)に対して使用されることが多いです。
例えば、以下のような場面で使用されます。
・取引先が遠路はるばる自分の会社に来社された時
・外部の講師や講演者を招待した場合
社外の人や取引先(お客様)が足を運んでくれることになったケースでは、相手に対する敬意を示すためにも、「ご足労おかけしますが」という丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。
相手の来訪が決定してから使う
「ご足労おかけしますが」は、相手の来訪が決定した後に「相手に手間や労力をかけそうな時」に使用されることが多く、以下のような場面で使用されます。
・招待状の案内などで、相手に来訪を依頼する際
・会議や商談などで、相手がこちらに出向いてくれることになった場合
相手に不快な思いをさせずにお願いを受け入れてもらいたい場合に、クッション言葉としてこの表現を用いると、これからも友好的な関係を築く助けとなってくれるはずです。
ビジネスメールや電話で頻繁に使う
「ご足労おかけしますが」は、相手と実際に会う前にメールや電話で頻繁に使用します。
以下のような場面で使用されることが多いです。
・依頼やお願いをする際に、相手に手間をかけることが予想される場合
・会議の案内やお知らせなどで、相手に出席や対応をお願いする場合
・問い合わせに対する回答を求める際に、相手に手間をかけることがある場合
ただし、やり取りを何度もする中で過剰に使用すると、逆に相手に不必要な負担をかけることになってしまいますので、必要最低限の使用にとどめるようにしましょう。
「ご足労おかけしますが」を目上の人に使うのはNG?
結論から言うと、目上の人や上司に使っても失礼に当たることはありません。
むしろ、謙虚で丁寧な表現として、相手から好印象を与えることができます。
ただし、自分の会社の上司や先輩に「ご足労~」を使う場合はマナー違反に当たることがあるので注意が必要です。
そのことについて以下に説明します。
社外の人が居る時に、上司や社内の人に使うのはマナー違反
取引先や社外の人が自分の会社に来訪されている状況で、自分の上司や先輩に対して「ご足労をおかけします」と使うのはマナー違反です。
社外の人に対して言うのはまだしも、自社の上司にも「ご足労をおかけします」と声をかけるのは社外の人に失礼です。
社外の人もそこまで気を悪くするとは限りませんが、基本的には使わないようにするのが無難でしょう。
「ご足労」の言い換えや類語表現とその例文
「ご足労」の言い換えや類語表現としては、以下のようなものがあります。
「お忙しいところ恐縮ですが」
「ご面倒をおかけしますが」
「この度はお越しいただき」
「ご迷惑をおかけするかもしれませんが」
「大変恐縮ですが」
上記した言い換えフレーズを使った例文は次のとおりです。
「お手数をおかけしますが、◯月◯日にご来社いただけますか」
「本日はお忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。」
「◯◯様には足元の悪い中、ご面倒をおかけしますが、何卒よろしくお願い致します。」
「この度はお越しいただき、ありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。」
「ご迷惑をおかけするかもしれませんが、この度の新しいプロジェクトに関する商談の件につきまして、お時間をいただけますでしょうか?」
「大変恐縮ですが、今後の打ち合わせについて、少しお時間を頂戴してよろしいでしょうか。」
これらの表現をタイミングや場面に応じて使ってみてくださいね。
まとめ
「ご足労おかけしますが」という表現について意味や使い方を例文も交えながら紹介しました。
最後にもう一度、この表現を使うときに押さえておくべきポイントをおさらいすると
- 相手が手間や労力をかけてくれたことに対して労う表現
- 社外の人や取引先(お客様)に対して使うことが多い
- ビジネスメールや電話などで頻繁に使う
- 社外の人がいる前で上司や先輩に対して使うのはNG
の4点が挙げられます。
その他にも、「ご足労おかけしますが」に代わる言い換え表現も存在するのがわかりました。
シーンに応じで表現を使い分けることがコミュニケーションの円滑化につながります。
ぜひこのページの内容を参考にして、自分のものにしてしまいましょう。