「失念」という言葉は、何かを忘れてしまったときに用いられる表現です。
正しく使えば、相手に対して丁寧に自分のミスを伝えることができますが、間違った使い方をすると、相手に誤解を与えたり、不適切な印象を与えることになります。
そこでこの記事では「失念」を正しく使っていたのか不安という方に向けて、失念」を使う場合の意味や使い方とその例文、注意すべき点などを紹介します。
最後まで読んで理解すれば、「失念」という表現を自信を持って使えるようになり、相手とのコミュニケーションをスムーズに進めることができるようになるでしょう。
「失念」の意味とは?
「失念」とは、何かを思い出せなくなること、うっかり忘れることを指す言葉です。
具体的には、記憶があるにも関わらず、思い出すことができない状態を表します。
例えば、大切な予定を忘れてしまったり、人の名前や場所を思い出せなくなったりすることが失念の例です。
「失念しておりました」の使い方を例文付きで紹介
「失念しておりました」とは、失礼などを詫びる際に使われる謝罪の表現の一つで、
「すっかり忘れていた」
「覚えていませんでした」
という意味が含まれています。
正式な場面や目上の人に対して使われることが多い表現です。
以下はその例文です。
例文:
「大切なお客様との打ち合わせの時間を失念しておりました。大変申し訳ありません。」
「祖父母の結婚記念日を失念しておりました。改めてお祝いを言わせてください。」
「振込期限を失念しており、遅れてしまいました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
「失念しておりました」のビジネスメールでの使い方と例文
「失念しておりました」という表現は、ビジネスメールでもよく使われる謝罪の表現です。
ビジネスメールでの使用シーンは、
- 大切な業務の納期を忘れていた場合
- 重要な会議や打ち合わせの日時を思い出せなかった場合
- 電話やメールの返信を遅らせてしまった場合
- その他、約束を忘れたことで相手に迷惑をかけた場合
などです。
例文は次のような形になります。
例文:
「お客様の注文に関しまして、担当者が納期を失念しておりましたことを深くお詫び申し上げます。早急に対応させていただきますので、今しばらくお待ちください。」
「先日ご案内した会議の日程を失念しており、急遽スケジュール調整のお願いを差し上げることになりました。申し訳ございませんが、お時間の調整が可能であれば、改めてご連絡いただけますようお願いいたします。」
「お問い合わせいただいた内容について、担当者が返信を失念しておりましたことをお詫び申し上げます。改めて、ご質問いただいた内容についてお答えさせていただきますので、今しばらくお待ちくださいませ。」
「失念しておりました」の言い換え表現・類語
「失念しておりました」と同様の謝罪の意味を持つ類似表現がいくつかあります。
以下に代表的なものをいくつか挙げてみます。
「思い出すのが遅れました」
「お忘れしていました」
「失念しており申し訳ございません」
「お詫び申し上げますが、うっかり見落としておりました」
「お詫び申し上げますが、完全に覚えていませんでした」
これらの表現も、「失念しておりました」と同様に、正式な場面や目上の相手に対して使われることが多いです。
失礼や迷惑をかけてしまったことについて謝罪する際には、用途に応じて使い分けてみてください。
「失念」を使う時の注意点
「失念」を使用する際にはいくつか注意が必要です。
特に、相手に対して失礼にならないよう、謝罪の言葉として使う際は、丁寧な表現や敬語を用いることが望ましいです。
初めから知らなかったことには使わない
「失念」は、初めから知らなかったことを表すためには使われません。
この言葉は、ある時期まで覚えていたことを忘れてしまった、思い出せなかったという意味を持ちます。
そのため、何かを知らなかったことを表現する際には、他の表現を使う必要があります。
例えば、「知らなかった」とか「初めから聞いていなかった」といった表現が該当します。
忘れたことに気づいた時点で相手にすぐ伝える
「失念」という表現は、忘れたことに気づいた時点で、相手にできるだけ早く伝えることが望ましいです。
特に、ビジネスなどで重要なことを忘れた場合には、遅れることやトラブルにつながる可能性があるため、早めに相手に謝罪をし、修正することが求められます。
ただし、その際にも丁寧な表現や敬語を使うことが重要です。
失念したことを素早く謝罪し、適切な対応をすることで、相手からの信頼を損なうことを防ぐことができます。
物を忘れたことに使うのはNG
物を忘れたことに対して、「失念」という表現を使うのは、一般的には適切ではありません。
「失念」という言葉は、主に記憶力や思い出す力に関することを表すために用いられます。
そのため、物を持ち忘れた場合には、「忘れてしまった」「置き忘れた」などの表現が適切です。
また、物を持ち忘れたことによって問題が発生した場合には、相手に対して謝罪や補償をする必要があります。
このような場合には、適切な表現や対応を行うことが大切です。
相手が忘れていたことには使わない
相手が忘れていたことに対して、「失念」という表現を使うのは適切ではありません。
この表現は、自分自身が何かを覚えていたはずなのに忘れてしまったという状況を表すものであり、相手が覚えていなかったことに対しては用いられません。
相手が忘れていたことを伝える場合には、適切な表現を使って事実を伝えることが大切です。
例えば、「先日お話しした件ですが、もう一度確認していただきたいのですが」といったような表現が該当します。
また、相手が忘れていたことを知った場合には、親切に思い出させることができると良いでしょう。
まとめ
最後にこの記事で紹介した「失念」の意味や使い方等に関してまとめてみます。
- 「失念」とは「覚えていたはずのことを忘れてしまう」のを表す言葉
- 忘れていたことを謝罪するために使われる
- 最初から知らなかったことには使わない
以上の3点が「失念」を使う上での主なポイントです。
「失念」という表現を正しく使いこなしたいという方は、この記事を参考にして、相手とのコミュニケーションを少しでもスムーズに進められるようにしてみてはいかがでしょうか。