「最後に、何か質問はありますか?」
緊張感のある面接を、何とか切り抜けた後に必ずと言っていいほど言われるこの言葉。いわゆる、「逆質問」と呼ばれるものです。面接で色々聞いて、もう聞くこともないかなと、「別にありません」と答えたりしていませんか。それとも、ここぞとばかりに待遇面や、あまり聞く気はないけれど、何かを聞かないと、と思ってホームページを見ればわかるようなことを聞いたりしていませんか。
実はこの逆質問、最後におまけのような雰囲気で聞かれることが多いですが、ここで合否を判断されているくらい、重要な時間でもあります。それまでは、ある意味応募者は受け身で面接官に聞かれたことを答えていけばよかったのでしょうが、逆質問では応募者が能動的に自分の聞きたいことを相手に聞く時間となります。
つまり、逆質問の時間とは、言い換えると応募者主導で自分をアピールできる最後のチャンスの時間なのです。どうしたら効果的な逆質問ができ、相手にいい印象を与えられるか、ここではご紹介していきます。
面接官が逆質問をする目的とは?
質問をするということは、そこになにか目的があるからです。面接官がこのような逆質問を促すということには、主に次のような目的があります。
- 面接官の説明に漏れなどがなく、応募者が理解できているか確認するため
- 応募者の知りたい情報が面接でクリアになったのか確認するため
- 応募者の価値観を知るため
- 応募者のコミュニケーションスタイルを見るため
面接官は逆質問によって何を知りたいのか?というところで、以上の4つが主な目的として考えられます。1、2については、若干事務的な意味合いも含みます。重要なポイントは、3番目と4番目です。
まずは3番目についてですが、冒頭の繰り返しにもなりますが、質問をするということは、そこに目的があるからです。その目的を、面接官はこの逆質問によって見ているのです。応募者がした質問にこそ、その応募者が何を大事にしているのかという価値観が含まれていると読み取るのです。
そのため、逆質問を考えるときのポイントとして、「自分は何を伝えたいのか」「自分が仕事をしていくうえで何を大切にしているのか」というところの裏返しで考えてみてください。例えば、周りと協力し合って仕事を進めていくことを重要視しているのであれば、「社内では営業と事務担当とでどのように役割分担をして進めているのか」でもいいですし、やりがいを求めるのであれば、「この仕事で苦労されて、乗り切った具体的なお話を伺いたい」でもよいでしょう。
4番目のコミュニケーションスタイルを見るため、についてご説明します。逆質問は、能動的に応募者主導で話を勧めなければなりません。そこで、面接官はあなたが質問をする時に、相手にわかりやすく話ができる人か、論理的に考え、物事を整理できる人なのか、といったことを見ています。
質問内容は当然自由ですが、3でもお伝えした通り、「目的」をもって質問をするものであると面接官は捉えるので、その目的が読み取れないような質問をすると、「マニュアル通りの対応をする人」もしくは、「前後の文脈が読み取れない人」と感じる可能性があります。
逆質問をする際には面接官の立場も理解しておきましょう。例えば、人事が面接官であるのに、現場の仕事の進め方を聞いたり、現場の担当者や管理者の面接で人事関連について聞いたり、経営方針について聞いたり、といったことは避けてください。答えてくれないわけではないでしょうが、「相手の立場を理解できない人」という印象を持たれます。
以上のポイントを踏まえ、次に印象の良い逆質問の例について見ていきましょう。
面接で印象の良い逆質問とは/面接官の心をわしづかむ!
面接官に好まれる逆質問は何かについてですが、何よりも重要なことは、「本当に聞きたいことを聞く」ということです。冒頭で、逆質問は「自分をアピールできるチャンスの時間」ともお伝えしました。その通り、自分のやる気や長所をアピールするような質問をしていいのですが、その時は「本当に聞きたいこと」を「自分の言葉」で聞くように努力してください。
特に興味がないことを無理やりアピールするために聞いたりすると、面接官は気が付きます。それを踏まえた上で、以下状況別に逆質問の事例をお伝えします。
面接状況別逆質問の例
最終面接
最終面接では、役員や社長が相手になることがほとんどです。せっかくなので、経営や戦略など、「企業として」という目線の質問をしてみましょう。その際は、ホームページなどを事前に調べ、社長メッセージやIR情報でどのようなことが語られていたか、事前に確認しておくといいでしょう。
「今後さらに人員を増員し、社員育成に力を入れていくとおっしゃっていましたが、例えばどのようなことを予定されていますか」
「御社が最近海外に新しく支社を出されましたが、日本と現地との違いで苦労されたお話などおきかせいただけますか」
「社長(もしくは役員)から見て、今社員に一番求めている能力はなんですか」
などです。ただし、あまり理解していないままに質問をすると逆効果にもなります。本当に興味があって気になっている分野について事前に調べて、質問するようにしましょう。
一時面接
一次面接は、人事担当者や現場の管理職の人が出てくることがほとんどです。その場合は、少し細かいことを質問してみましょう。
相手が人事担当者の場合の一次面接
「女性の管理職の割合はどのくらいでしょうか」
「〇〇の資格を取得したのですが、活かせる機会はありますでしょうか。また、さらに目指したほういい資格はありますか」
「御社のHPで、ダイバーシティに力を入れていると書かれていました。もう少し具体的にどのようなことをされているか教えていただけますでしょうか」
相手が募集先の管理職の場合
「(経験のある職種で受ける場合)前職は〇〇のようなやり方を仕事でしておりましたが、御社ではどのようにされているのでしょうか」
「御社の部署で私と同世代の方は、どのような活躍をされておりますか」
具体的な仕事の内容などについて質問するとやる気をアピールできるカモしれないね。
例えば採用された場合にどんな部署に配属されることになるのか、配属先での具体的な仕事の流れについてなどを質問すれば、あなたのやる気が採用担当者に伝わるカモしれないね。
ただしあくまでも採用してもらう立場だということに注意が必要だよ。既に面接に合格しているかのような態度で質問したり、会社の経営方針などに意見をしたりするのはNGだよね。
職種別逆質問の例
面接官が現場管理職や、現場の担当者の方がいる場合は、応募している職種の具体的な質問をしてみるといいでしょう。ある意味、生の声を聞くことができるいい機会です。共通していることは、どの職種にも「仕事内容」「繁忙」「部署の目標」「会社の雰囲気」といった切り口で聞くことができるという点です。
営業
「営業担当者は大体1日何件ぐらい顧客を回られているのですか」(繁忙)
「〇〇という商材シェアを3年間で3倍にするという目標をホームページで拝見したのですが、営業担当者としてその商材の展開にどういった形で取り組まれていますか」(部署の目標)
「営業担当者同士は、情報共有をどの程度の頻度でされておりますか」(会社の雰囲気)
事務
「アシスタント業務として、何名の方のサポートをしているのでしょうか。」(繁忙)
「現在御社ではコスト削減を掲げているとホームページに書かれていましたが、事務担当者の方が気を付けていること、もしくは主導で関わっていることはありますか」(部署の目標)
「(営業事務の場合)営業担当者と事務担当者の方とのコミュニケーションはどのくらい頻繁にされているのでしょうか」(会社の雰囲気)
販売
「貴社支店ではよくタイムセールを行っていますが、一番多いときはタイムセールでどれくらいの顧客がいるのですか」(繁忙)
「貴社の〇〇ブランドで今後一番売り出したいアイテムはどれですか」(部署の目標)
「現場と本部の人たちはどれくらいの頻度でやり取りをされていますか」(会社の雰囲気)
製造
「御社は毎週水曜日にノー残業デーを取り入れていますが、製品の納期との兼ね合いで何か工夫されていることはありますか」(繁忙)
「御社はコスト削減を目標に掲げていますが、現場で取り組まれていることはどのようなことでしょうか」(部署の目標)
「他部門との調整で苦労されることはありますか」(会社の雰囲気)
面接逆質問での失敗例
冒頭で逆質問は自分をアピールできる最後のチャンス、とお伝えしましたが、間違った逆質問をすると、結果的にマイナスになることがあります。ここでは、その注意点をお伝えします。主に、以下3点に気を付けましょう。
こんな逆質問はダメ!その1「情報収集不足」
ちょっと調べたらホームページに載っていてわかるようなことをわざわざ聞くと、面接官に「この会社に興味がないのかな」と捉えられます。
「御社の製品はどんなものがありますか」
「御社の強みは何ですか」
(これは聞き方によっては〇の時もあります。例えば、「私は御社の強みは〇〇だと思うのですが、社長の目線からではいかがでしょうか」など、理解をしていることを一言伝えるだけでぐっと印象が変わります。)
こんな逆質問はダメ!その2「待遇ばかりを確認する」
待遇面は、入社するにあたって最も気になるテーマの一つだといえるでしょう。しかし、あまりに待遇ばかりを気にしていると、「仕事内容はどうでもいいのか」「処遇ばかりを気にする人なのか」と捉えられかねません。どうしても気になる場合は、ストレートに聞くのではなく、聞き方を工夫してください。
「転勤はありますか」
「月の残業はどの程度でしょうか」
こんな逆質問はダメ!その3「興味がないけれどとにかく質問をする」
逆質問をしたら印象があがるかも、ということで、なんとか質問をひねり出して聞くと、実は説明されたことをまた聞く、深く理解していないことを聞こうとして、質問内容が漠然としすぎている、聞く必要があるのかよくわからない内容を聞く、といった状況に陥ります。面接官からは、「その質問いる?」と思われてしまいかねません。
(面接官:さっき説明したのに…)
「中期経営計画で目標は〇〇だと書かれていましたが、それは現状どうでしょう」
(面接官:どうって言われても…)
「御社の理念に共感したのですが、その理念はどの程度社内で浸透していますか」
(面接官:なんでそんな質問するの?)
逆質問をする際は、以上のポイントに気を付けましょう。
逆質問Q&A
[QA q=”面接 逆質問がない!どうする?” q_color=”red” a_color=”blue” q_text_color=”on”] 方法としては、2つあります。1つは、今まで聞いた説明の中で、理解した内容確認をすることです。例えば、「先ほどの説明で、御社では初めに教育として1か月現場研修があるとおっしゃっていましたが、それは自分が関わる製品を中心に、現場との関係構築と製品理解の両方の意味があるということでしょうか」といったように、「自分はこう理解しているけど間違っていませんか」という聞き方です。2つ目は、素直に「ありません」と言うことです。「ありません」というと、面接官への印象はよくないとはお伝えしていますが、失敗例で挙げた通り、無理にひねり出しても、逆に悪い印象を与えてしまいかねません。「先ほど詳細をお伺いして、よく理解できました。」というような一言を添えるとさらに印象が上がります。
[/QA] [QA q=”たくさん逆質問してもいいのか?” q_color=”red” a_color=”blue” q_text_color=”on”] 面接の時間によるでしょう。おそらく面接時間が「何時まで」と決められていると思うので、その時間いっぱいは質問しても問題ないです。また、複数名候補者がいる場合は、一人で時間を取りすぎるとほかの人の質問ができなくなるため、多くても3つまで程度がいいでしょう。さらに、質問をする際は、「全部で〇つ質問があります」というように、いくつ質問があるかを事前に伝えてから聞くと、相手も心づもりができ、好印象です。
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[QA q=”「ありません」はどういう印象を持たれる?” q_color=”red” a_color=”blue” q_text_color=”on”]
ただ「ありません」だけを言うと、「この企業に興味がないのか」という印象を持たれるでしょう。やる気がないようにとられてしまいかねないので、先にも説明しましたが、質問がないときの答え方は言い方に注意しましょう。
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[QA q=”逆質問が原因で不合格になることはあるのか?” q_color=”red” a_color=”blue” q_text_color=”on”]
逆質問はあくまで面接の一部ですので、それだけが原因で不合格になるということはあまりあるとは言えません。ただ、それまでの面接のやり取りの中で、面接官が「どうかな」と思っていたマイナス点が決定的になり不合格になる、という可能性はあるでしょう。
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以上逆質問についてご説明いたしました。効果的な逆質問をすると、面接官にいい印象で面接を終えられることができます。繰り返しになりますが、一番重要なのは「自分の言葉で語ること」です。面接官も何人も面接をしているので、マニュアル通りの質問をする人はすぐにわかります。事例を参考にしながら、自分はその企業にどういったことを聞きたいのか、何に興味があるのかを考えて、効果的な逆質問を準備してください。
例えば自分のスキルに自信があれば、そのスキルを仕事で活かせる機会について質問してみるといいカモしれないね。あるいは自分のことを粘り強い性格だと思うと前置きをしてから、他にどのような性格の人材が求められているのかを質問すれば、自分の性格のアピールにつながるカモしれないよね。あまりあからさまなのは感心しないけど、質問にさりげなく自己PRを盛り込むのはおすすめだよ。