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PTPシートを切り離したことによるリスクとは?医薬品が識別できない!

医薬品はPTPシートに入れられていますが、1錠ずつ切り離す人も多いと思いますが、それにはリスクが付きまといます。どのようなリスクがあるのかなど考えてみましょう

錠剤やカプセルの医薬品は、ほぼすべてPTPシートに包まれています。患者さんにお渡しする際も、一包化の指示がない限り、必要な数をPTPシートの状態でお渡しします。

例えば、28錠であれば、10錠のPTPシートが2枚、8錠(10錠のPTPシートから2錠切り離したものなど)のPTPシートをお渡しすると思います。

そのようにお渡ししても、患者さんの中には、それを1錠ずつ切り離して、服用毎に分けて管理しておられる方もおられます。

その管理方法は、間違っているわけではありません。服用毎に必要な薬をまとめておくことで、飲み忘れを防ぐことができますので、良い管理方法ではあります。

しかし、その反面デメリットもあります。デメリットだけであれば良いのですが、場合によっては重大な副作用を引き起こすことも考えられます。

ここでは、PTPシートを切り離すことによるリスク、関連するリスクについて考えてきたいと思います。

PTPシートの意義を考えましょう。

PTPシートは、アルミ箔の台紙の上に、医薬品が1錠ずつ透明のカバーをかけたような上体で存在しています。

このPTPシートの目的は、医薬品が湿気を吸わないようにというものです。また、遮光が必要な場合は、透明カバーの部分に遮光ができるように加工されています。

その他の目的としては、これが何という医薬品なのかを識別するためです。PTPシートの上の部分、いわゆる耳の部分には必ずこの医薬品の名前が記載されています。

もっと親切なPTPシートになると、1錠ごとにアルミ箔に名前が記載されており、切り離した場合でも医薬品の識別が容易なように工夫されています。

また、PTPシートは10錠か14錠入りとなっています。これは薬剤の数を管理しやすいようです。10年以上前までは10錠入りが主流でしたが、10年くらい前から14錠入りのPTPシートが増えました。

この14錠入りのPTPシートは、新薬に多いという特徴があります。

なぜなら、新薬の場合、1年間の間は最大2週間しか処方できないため、PTPシートを1枚調剤するだけでよいということになり、調剤ミスのリスクを防ぐことができます。

さらに製薬メーカーとしては、100錠入りを1箱販売するより、140錠入りを1箱販売したほうが、利益が大きいので、営業戦略の面からも考えられているようです。

PTPシートを1錠ずつ切り離すことのリスクを考えましょう。

特に高齢者の方で多いと思いますが、朝の薬、昼の薬、夜の薬と服用ごとに、医薬品をPTPシートから切り分けて管理されていることがあります。筆者である私の祖父もそのように管理していました。

100円均一のお店には、医薬品を分けて管理するようなクリアボックスなどが売られております。このような商品があると、PTPシートから切り離して管理したほうが良いと思う人もいると思います。

基本的にはPTPシートから切り離して管理するべきではないと思います。

紛失のリスク

単純に比較して下さい。10錠のPTPシートのまま保管することと、PTPシートを1錠ずつ切り離して保管した場合、どちらの方が紛失のリスクが高いでしょうか。

10錠のシートのままであれば、例えば室内で落としたとしても、比較的すぐに見るけることができます。しかし、1錠の場合はどうでしょうか。家具などの隙間に入りやすく、見つけにくいことも多々あると思います。

調剤薬局が受けるクレームのほとんどは、薬が足りないということだカモ。そのようなクレームを持ち込む患者さんを確認してみると、1錠ずつ切り離して管理している人が非常に多いカモ。

このようなリスクを避けるためにも、薬剤師としては切り離さずに保管するように指導していく必要があるのだカモ。

飲み間違いのリスク

医薬品の中には非常に良く似たものがあります。10錠のPTPシート同士で比較すると違いはすぐにわかる場合でも、1錠ずつに切り離した場合、若い人でも見分けがつきにくいものもあります。

若い人でわかりにくいのであれば、高齢者となるとなおさら見分けがつきにくいです。

したがって、例えば1日1回服用のものを、1日3回服用してしまうというリスクもあります。

当然副作用発現のリスクが高くなります。逆に必要な回数服薬できず、症状を悪化させてしまうというリスクもあります。

PTPシートのまま服用してしまうリスク

若い人では考えられないかもしれないですが、特に高齢者となるとPTPシートのまま服用してしまい、食道や十二指腸に障害(穿孔)を起こしてしまうことがあります。

PTPシートをそのまま飲み込んでしまうことは、なかなか想像できないが、国民生活センターにも相談が持ち込まれたり、厚生労働省からは防止策をとるように指示がなされているのだカモ。

同様のことがおこらないように患者さんにしっかりと伝えることが重要だカモ。

PTPシートのまま保管するように指導しましょう。

大前提としては、例えば28錠分の医薬品(PTPシート)を処方されたのであれば、服用した分も含めて、そのまま保管するように指導しましょう。

これには薬剤師側、患者側の双方にとってよいものだと思います。

まず、薬剤師側ですが、お渡ししたPTPシートをそのまま保管いただくことで、調剤過誤がなかったことを証明しやすくなります。

患者さん側については、薬を適切に服薬できているかをご自身で確認することが可能です。

こんなことをしなくても、一包化すれば良いと思われる人もいると思います。

しかし、一包化してしまうと、患者さんはどんな医薬品を飲んでいるのか、把握しないようになります。どうしても一包化しなければならない理由をお持ちの患者さん以外は、できる限り一包化は避けるべきです。

一包化を避けることで脳の機能維持にもつながるためです。

まとめ

PTPシートを切り離して管理することが、絶対にダメといっているわけではありません。そうすることによるメリットもあるでしょう。

私がお伝えしたいことはそのメリットとデメリット、ベネフィットとリスクを把握・管理し、薬剤師・患者さんの双方にとって良い方法を模索して欲しいと思っています。