厚生労働省が公開する薬剤師に関する統計情報によると、薬剤師のうち約7割が女性であると分かっています。
女性の人生には妊娠や出産、育児など、多様なライフイベントがあり、プライベートと仕事とのバランスをはかるため男性以上に働き方を見直す必要が多くなるでしょう。
そして多くの場合、それらは“結婚”することによって発生します。
妊娠や出産をしなくとも、ご主人が転勤族である場合は正社員で働き続けることが困難になります。
また正社員を継続する場合であっても、ご主人を始めとする家族からの理解やサポートは必須。このように一口に「結婚」といっても、その後の選択肢は状況や環境によって異なるでしょう。
ここでは、女性薬剤師のための結婚後の働き方についてをわかりやすくまとめています。結婚後も薬剤師としてイキイキと活躍するためのヒントにご一読ください。
女性薬剤師の結婚後の働き方…
まずは、結婚の働き方について、女性薬剤師が選ぶことのできる選択肢についてを説明します。ご自分のケースと照らし合わせて、結婚後の働き方選択を考慮してみましょう。
正社員
正規雇用で企業・会社に雇われた従業員を指し、基本的には定年までの長期契約で働きます。結婚や出産、子育てなどのライフイベントを無視した場合、最も安定した働き方だと言えるのではないでしょうか。
ただし、ご主人の転勤や子育てなど、女性薬剤師の人生には正社員として活躍し続けることが困難なシーンも珍しくはありません。
独身時代と同じように働き続けることが難しくなった際には、ぜひご自身のライフサイクルに無理のない働き方へシフトさせることを視野に入れてみましょう。
契約社員
定められた期間内で社員として勤める働き方です。企業や会社によっては、準社員や嘱託、非常勤、臨時社員など呼び方が変わることもあります。
契約期間が終了すれば、更新しない限りお仕事を続けなくても良いので、例えば転勤族の奥様など同じ職場で働き続けることが難しい薬剤師にオススメ。
うまく活用できれば、正社員とパートの美味しいところ取りな働き方が叶えられる選択肢でしょう。
デメリットとして挙げられるのは、同じ職場で働く正社員よりも給与や賞与が少なくなりがちなポイントでしょう。
契約社員だからと露骨に差別されることは無いでしょうが、ライフスタイルを無視して契約社員を選んだ場合は待遇の差がストレスになってしまうリスクも考えられます。
派遣
勤務先ではなく、派遣会社に雇用されるスタイルです。パートやアルバイトと比較して高時給になりやすく、また直接雇用では言い出しにくい条件交渉や要望を派遣会社が代行して伝えてくれるなどのメリットも。
就職後に万が一ミスマッチが起こった場合でも、派遣会社を通せば気まずい思いもなく勤務先を変更させることが可能です。
しかしその反面、薬剤師としての高い能力や知識を求められることが多く、また短期間での勤務となるケースがあるため長く勤められる可能性が低くなってしまいがち。
パート・アルバイト
1時間○円、と、時給制で働くスタイルとしては派遣薬剤師と似た印象ですが、異なるのは勤務先が直接雇用主となるポイントです。
派遣の様に短期間での勤務や異動のあるケースが少なく、同じ職場で長期間活躍することが可能。また取引のある勤務先しか選択肢のない派遣に対して、パートは自宅や駅の近くなど通勤に便利な職場を探しやすいメリットもあります。
とはいえ、やはり派遣より時給が少なくなりがちな点はデメリットでしょう。職場での揉め事やトラブルへの対処も、基本的に自力で乗り越えなければならない点も覚えておくべき。収入面よりも、通いやすさや続けやすさを重視する薬剤師にオススメしたい選択肢だといえます。
女性薬剤師が家庭と仕事を両立させるためには…
できる事・できない事を無視した理想論をいえば、誰だって独身時代と同じくらいの活躍を継続させながら、同時に幸せな家庭を築きたいと思うはずです。
しかし、自分の体はたった1つですし、1日は24時間しかありません。限られた手間と時間しか割けないのであれば、それらをうまく分配させて生活を切り盛りさせる事が必須となるでしょう。
結婚後の生活にマッチした働き方を見出して、仕事と家庭との両立を目指してください。
自分の生活を振り返り、譲れない条件をあぶり出してみよう
そのためには、ご自身の状況や環境を振り返り、新たな職探しにおいて譲れない条件をあぶり出す事から初めてみましょう。
たとえば転勤族のご主人と結婚した女性薬剤師A子さんが、お子様を保育園に通わせながら働く事を望む場合は以下のような条件を満たす必要があります。
- ご主人の転勤が考えられるので、正社員以外の働き方
- 子供の送り向かえがスムーズにできる、自宅か保育園周辺の勤務地
- 保育園のイベントに参加する事があるので、土日は休み
など
やみくもに求人情報を収集する前に自分が望む条件を明確にしておく事で、よりスムーズで納得できる転職が叶うはずです。ぜひ収入や待遇に飛びつくのではなく、ご自身の状況や環境にマッチした職探しを成功させてください。
扶養内という選択肢
結婚後の働き方を語る上で、しばしば「扶養内」や「配偶者控除」というキーワードを耳にすることがありますね。
簡単に言えば、納税者であるご主人の扶養に入っている場合、払わなければいけない税金や社会保険料が減額されるシステムを指しています。
家事や育児などで仕事以外にも忙しい既婚女性の薬剤師が、独身時代と同じ感覚でバリバリと働き出すと、ご主人の扶養から外れてしまい支払う額が大きくなってしまった…というリスクも考えられます。
「どうせなら出来るだけたくさん稼ぎたい!」と意気込む気持ちはわかりますが、働き損をしてしまっては成功とは言い辛いものです。ぜひご主人の扶養内で活躍するという選択肢も視野に入れて、後悔のない転職を成功させてください。
女性薬剤師が生涯輝き続けるために…
独身時代の職探しでは、正社員になる事がゴールでした。しかし結婚後では、薬剤師や家庭の事情ごとに理想が異なります。
それぞれに違ったベストがあるからこそ、独身時代以上にご自身の条件を明確にしておかなければいけません。
多様なライフイベントが待つ女性の人生を楽しみながら、同時に薬剤師としてイキイキと輝き続けるために、ぜひご自身が本当に大切にしたいものをあぶり出してみてください。
薬剤師不足が叫ばれて久しい昨今では、条件を狭めても比較的転職しやすい環境が整っています。妥協せず、家庭と仕事とを両立できる魅力的な求人を見つけ出しましょう。