IT業界といえば、ブラック企業が多いというイメージを持っている人もたくさんいるでしょう。実際にIT業界で働く人の話を聞いてみても、残業が多かったり休日出勤が当たり前だったりするブラック企業もあるようです。
未経験歓迎に注意
ブラック企業かそうでないかを見極めるポイントのひとつに「未経験歓迎」が挙げられます。未経験歓迎には大きく分けて次のような2つの意味があります。
- 育てていって優秀なエンジニアを確保したい
- 未経験者でもできるような簡単な業務を任せたい
もちろんエンジニアを育てていきたい!というところの方がおすすめです。
見分け方としては面接時に、研修プログラムやキャリアを見据えた話をしてみることです。ここで具体的な研修の話やどのようなキャリアが用意されているのか(例えば入社後3年目のエンジニアはどんな働き方をしているのかなど)を紹介できるところだとひとまず安心でしょう。
会社の規模はあまり関係ないカモ
ブラック企業は中小に多いイメージがあるかもしれませんが、それはあまり関係ないのが実際のところです。大企業でもブラック企業として有名なところは多いですし、中小企業でも定時で上がって休日出勤は無し、土日祝日はしっかりと休めるようなホワイトな企業もたくさんあります。
ブラック企業リストがあるって本当?気になる会社が入っていないか要チェック!
「この企業はブラックだ!」と明確に訴えるのは難しいと感じているかもしれません。ですが実際に訴えられている、送検されている企業があります。これらの事例を見ることで、ブラックか否かを判断する基準が見えてくるでしょう。
その判断材料に有効なのが厚生労働省より公表されている『労働基準関係法令違反に係る公表事案』です。全国各地の労働局から送検された企業、公表日、違反法条、事案概要などが一覧になっています。
違反法条を見てみると次のようなものが多く見受けられます。
労働基準法
所定の延長時間を超える、違法な時間外労働など。多くの企業が「ブラック」と言われる理由は労働基準法が絡んでいるケースです。
最低賃金法
所定の賃金を支払わなかった場合に違反となります。例えば労働者に対して定期賃金の支払が数ヶ月滞っている、など。
労働安全衛生法
労働者の安全と衛生のための基準。例えばトラクター・ショベルを無資格者に運転させたり、加工機械の囲いなどを設けていなかったり、高所での作業で安全帯を使用させなかったり…といったケースで引っかかります。
IT業界だと労働基準法または最低賃金法のどちらかがひっかかるパターンが大半を占めています。
これから転職しようと思っていて、ブラックを避ける可能性を少しでも高めたいと思うなら『労働基準関係法令違反に係る公表事案』で会社名を検索してみると良いかもしれませんね。
ブラック企業の定義は曖昧?種類や見分け方を考えてみよう
上記した「明確なブラック企業」は誰がどう見てもブラックです。しかしブラックにも色々な種類があり、中には「それって本当にブラックなの?」と思えるものもあります。
ブラック企業を大まかに分類すると…
- 法令違反(給料未払、安全、衛生など)
- 過重労働(残業、休日出勤など)
- ハラスメント(パワハラ、セクハラ、いじめなど)
の3つに大別できそうです。いずれも退職理由、転職理由には十分ですし、人によっては心身に大きな負担がかかり、体調を崩してしまうのも無理はありません。
IT業界に携わる人たちからすれば、過重労働が最も身近で、恐れる事態と言えるかもしれません。残業が当たり前、休日返上で仕事をこなして、プロジェクトがようやく一段落ついたと思ったらすぐに次のプロジェクトが始まり…ときには複数のプロジェクトを同時進行させなくてはならないこともあります。
ブラック企業を見極める方法はあるのか?
はっきり言って求人票だけでブラックかそうでないかを見極めるのは難しいです。企業ごとの口コミを共有する掲示板もありますが、信ぴょう性はかなり低め。参考にしても良いものか悩むレベルですのであまりアテにしない方が良いでしょう。
もしその会社に知り合いがいれば話が早いのですが、そんな都合の良いケースの方が稀。では内情を知っていて私たちの味方になってくれる人は誰がいるでしょうか。
今のところ最も有力なのは転職エージェント。そもそも登録できる企業の査定があるので、紹介された案件はある程度ブラック問題を解決していると判断できます。またエージェントサービスによっては各企業の内部情報まできちっとリサーチしているところもあるので、こちらに有利に働きます。
結局最後は自分次第?
ブラック企業とその見分け方について前述しました。ただ結局のところは、その企業がブラックかどうかを判断するのは企業に所属した人であり、そこにはもちろん個人差が生じます。
転職先がブラック企業だったとしても、新しい技術や知識を吸収してそれをしっかりとアピールできれば、ブラック企業でもポジションを確保できるものです。そうすればブラック企業だったとしてもブラックに感じず、やりがいが出てくる、という意見も少なからずあります。結局最後は自分次第なところがあるのはどの業種、どの企業でも同じことです。
ブラック企業となる原因について、考える必要があるカモ?
IT業界だけでなく、飲食業界やホテル業界もブラックが多いといわれるのを、転職サイトやまとめサイトで見ることがあるのではないでしょうか。確かにこれらの業界は、離職率も高くて労働時間も長い、あまり魅力を感じることの少ない業界かも知れません。しかし、そんなブラック企業でも長年働いている人がいるから、企業が継続できています。
毎年恒例ブラック企業ランキングの選定基準は何?
ブラック企業ランキングの発表が毎年盛り上がっていますが、ブラック企業の定義が様々な中、何を基準に決められているのでしょうか。まずノミネートの定義ですが、次の定義が設けられています。
- 労働法など法令に抵触。または可能性があるグレーな労働を強いている
- パワハラなど暴力的な手段を用いる体質の企業や法人
たしかにこれらに該当すれば例外なく「あ、ブラックだな」と分かりますよね。ちなみに2016年度は『電通』が堂々の1位。大々的にニュースとなった過労死事件が大きな理由です。2017年度にノミネートしている企業と大まかな理由は以下のとおりです。
新人研修受講中の男性社員が自殺。労災認定される。
株式会社いなげや
男性社員が勤務中に救急搬送され入院。復帰後再び倒れ亡くなる。
パナソニック株式会社
男性社員が過労による自殺。残業時間が100時間超え。
新潟市民病院
女性研修医が睡眠薬自殺。平均残業時間187時間。
日本放送協会(NHK)
女性記者がうっ血性心不全で死亡。長時間労働による過労が原因と労災認定。
アリさんマークの引越社
男性社員を懲戒解雇。各店舗に「罪状」と称した顔入り写真を掲示するなど悪質。
大成建設株式会社、三信建設工業株式会社
新人男性社員の自殺。長時間労働による過労が原因と労災認定。
大和ハウス工業株式会社
男性社員の違法な時間外労働に対する是正勧告を受けているにも関わらず改善されず、うつ病になり退職。
ヤマト運輸株式会社
パート従業員への勤務時間改ざん+賃金未払。残業時間月102時間を違法にさせ、書類送検。
IT企業は本当にブラック?最近の労働環境に変化の兆しが!
IT業界といえば残業が多い、激務が多い印象があります。確かにそういう一面があるのは事実ですが、最近は少しずつ変化が見られます。
IT業界は常に深刻な人手不足が話題になりがち。さらにブラック企業やグレーゾーン企業が多いこともあって離職率が高く、優秀な人材がなかなか定着しづらいのも問題となっています。
そこで余力のある企業は人材が集まるように待遇を改善したり、人離れを防ぐために労働環境を見直すケースが増えてきているんです。
もちろん全てのIT企業がそういうわけではありませんが、少なくとも以前よりはずっと『ブラック企業』が減っているのは間違いありません。
あとは転職するときに、運悪くブラック企業に当たらないように注意するだけ。ただそれを見極めるのが難しいのが転職に今一歩踏み切れない原因となっているのも事実ですよね。
まずは「ブラック企業といわれる原因」を考えてみよう
転職の際には、この「ブラック企業といわれる原因」をしっかりと考えることが大切です。
例えば、何か月も休みもなく、残業も月に100時間程度で給料も労働に見合っていない。こんな会社はブラック企業で間違いないですし、誰だって入りたくありませんよね。
しかし、給料がIT業界の平均の倍以上貰えたり、特別休暇で1ヶ月丸々休めたりといった、特別な条件があったらどうでしょう?おそらく、働いてみたいと考える転職者も増えるのではないでしょうか。
良いブラックと悪いブラックの違いって何?
どんな人であっても、転職するなら、今よりも条件の良い会社で働きたいと思うのは当然です。そう考えると、やはり小さな企業より誰もが知っている大企業へ転職したい人が多いことも普通なのかも知れません。
ただ、誰もが知っている大企業でも、実は一部の業務はブラックなんてこともあます。苦労して大企業に入ったのに、全然技術を生かせない部署に飛ばされて、何年かしたらリストラされたなんてひどい話も良く聞きます。
逆に、世間ではブラック企業なんて屈辱のレッテルを張られているのに、仕方なく入ったら、すごく人間関係がよくて、居心地が良いなんてこともあるかも知れません。
ここで言いたいのは、単にブラック企業だから悪い会社だと決めつけるのではなく、そのブラック企業が自分にとって良い企業なのか、悪い企業なのかを考えるのが大切ということです。
確かにIT企業は、急成長した業界にある会社なので、見方によってはブラックと呼ばれる厳しい条件に当てはまる企業も多くあります。しかし自分の上司や同僚が、優秀なエンジニアなら、その人から学べる事もたくさんあるでしょうし、今はきつい条件であっても将来どうなっていくかは分かりません。もちろん、転職して、すぐに高待遇な条件ならいうことなしですが、将来の目標に向かって役に立つ経験ができる環境であれば、条件がブラックであっても、良いブラックといえるのかも知れません。
目指せホワイト企業!転職を成功させる方法とは!?
ブラック企業に複数の定義があるように、ホワイト企業にもまた定義があやふやな部分があります。ですが共通しているのは
- 残業が少ない
- 休みがきちんと取れる
- 給料が良い
- 職場の雰囲気が良い
といった点です。全ての条件を満たしていなくてもホワイト企業だと思えることもありますよね。例えば「残業はそこそこあるけれど、ちゃんと残業代が出るし、何よりこの社長、このメンバーと一緒に仕事ができるのが嬉しい」といったケースなど。
ホワイト企業を考えるとき、まずは自身のボーダーラインをある程度決めておくことが重要です。
- 年収は○○万円以上
- 福利厚生の内容
- 研修制度の充実
- 残業の有無
- 残業代が出るか
- 休みを取れるか
- 自分を高められるか(スキルや実績など)
これらの全てを満たしていなくても「これなら十分!」と思えるラインを超える条件がある企業を選べばホワイト企業だと感じられるはずです。
ホワイト企業を探すための情報収集の仕方
ホワイト企業の線引きを考えたらいよいよ行動に移すときです。求人票を見てみると
- 年収
- 研修
- 残業の有無
- 休日
- 福利厚生
といった内容が確認できます。しかしこれはあくまでも表向き。本当のところは働いてみないと分からないことが多々あります。なので内情を知るための、情報収集の手段が必要です。
口コミサイトなどを使って個人で情報収集するには限界があります。信ぴょう性もかなり低いのも気になります。やはり頼りになるのは転職エージェント。転職エージェントは各企業の内情までチェックした上で案件を紹介してくれるところがほとんど。なので求人票では分からない情報を聞いた上で転職先を選べます。
「○○社は月の平均残業時間が50時間くらいありますね。休日出勤もたまにあります。残業代はきちんと出ていますし、基本給が高くて稼ぎやすい会社ですが…いかがなさいますか?」といった具合です。
まずは頼りになる転職エージェントを味方に付けること。これがホワイト企業への一番の近道で間違いありません。
ITブラック企業を恐れて転職しないのが一番もったいない!
「転職は人生に関わることだから絶対に失敗できない」と言われがちです。誰だってブラック企業ではなくホワイト企業で働きたいのですから当然といえば当然。
ですが意味を履き違えている人も少なくありません。「一回転職に失敗したら次はないぞ!」と考えているなら間違いです。転職は自分が好きなようにやれば良いのです。
- この会社、自分には合わないな
- 働いていて全然楽しくないな
- やりがいが感じられないな
と鬱屈した気持ちのまま、定年までずっとその会社で働き続けることを考えると…ぞっとします。まさに「転職は人生に関わる」ですよね。なので転職をしてみて「あ、違うな」と思ったらまた転職すれば良いんです。それくらい軽い気持ちで臨んで大丈夫。
転職回数が増えるとそれが理由で転職がスムーズにいかなくなることもあります。ですがその中で「自分が求めていたのはこの会社だった!」と思えるところと出会えればラッキーですよね。
無駄な時間とお金をかけないためにもできるだけ少ない回数で転職を成功させたい気持ちはよく分かりますが、失敗したら失敗したで次にチャレンジすれば良いや、くらいの前向きな気持ちでチャレンジしてみましょう。
なにはともあれ、まずは行動に移すことです。行動しないことには、いつまでも今の職場でくすぶり続けることになります。失敗したらドンマイ。次に活かせば良い話です。転職サイトや転職エージェントをうまく活用して思い描いた働き方を手に入れましょう。