認知症を学ぶ資格はいくつかあります。
その中のひとつに、通信教育でも学ぶことができる「認知症介助士」という資格があります。
どういったものでしょうか。今回は、認知症介助士の資格取得方法や資格、取得するとどんなことに有利なのか等についてご説明しましょう。
認知症介助士とは?
認知症介助士という資格自体、聞きなれないという方も多いですよね。
そこで、ここでは、認知症介助士とはどんな資格なのかお話ししていきましょう。
認知症介助士ってどういう資格?
認知症介助士は、公益財団法人日本ケアフィット共育機構が主催して行っている、民間の認定資格です。
認知症について正しい知識を持って認知症の方を受け入れることができ、寄り添い思いやりをもって接することを目的として、認知症介助士という資格がつくられました。
困っている認知症の方がいても、なんて声をかけていいのかわからないといった方も多いです。
家族や親せき、職場などに認知症の方がいる場合や、認知症の方を街で見かけたときなど、きちんとした知識をもとに対応をしていきたいという方のために、認知症介助士が役立ちます。
認知症介助士の取得で得られる知識とは?
では、認知証介助士の資格でどこまでの知識を学ぶことができるのでしょうか。
例えば、介護施設で利用者が、同じことを何度も話す、日付を忘れるといったことが多くなった場合、認知症では?といち早く気づくことができます。
そうすることによって、生活習慣を改善したり、脳トレを行うなど対応の仕方が変わり、認知症の重症化を遅らせることが可能です。
認知症介助士は、認知症の方とのコミュニケーションの取り方や、サポートの仕方など学ぶことができます。
資格を取得する方法・費用は?
認知症介助士の資格を取りたくても、
- 「地方に住んでいるけど取得可能か?」
- 「受験するための費用は?」
など気になることも多いですよね。
認知証介助士は、日本ケアフィット共育機構で受験し、資格を得ることができます。
受験方法としては、3つあるので費用とともにご紹介しましょう。
ルート①セミナー+受験
インストラクターの講義などがあるセミナーを受けた後、検定試験を受ける方法があります。
費用については、次の表を参考にしてください。
テキストあり | テキストなし | |
---|---|---|
受講料 | 16,200円 | 19,440円 |
※価格はすべて税込
セミナーと検定試験がセットの場合、日帰りでその日のうちに検定を受けることができ、即日取得も可能です。
ただし、その分他の方法に比べ高額なので注意しましょう。
認知症をより理解したい場合や、仕事上深い知識を得たい方におすすめの方法です。
ルート②独学で検定試験を受験(マークシート方式)
共育センターなどで、検定試験を受ける方法があります。
この場合、独学で受験することになるので、受験料が3,240円(税込)と低く抑えられているのが特徴です。
共育センターは、東京・大阪・福岡の3会場あります。
それぞれ異なった日程で行っているので、近くの会場をチェックしてみてくださいね。
ルート③独学で検定試験を受ける(CBT方式)
東京や大阪、福岡から居住地が遠いという方は、全国各地にあるCBTセンターで受験することもできます。
パソコンでの受験ですが、キーボード操作も少なく、そしてマウスでのチェック式なので、パソコンの深い知識がなくても問題なく受験できるでしょう。
受験料は、3,240円(税込)です。
近くのCBTセンターは㈱JJSで運営しています。以下のサイトで近くの会場を検索してみてくださいね。
※CBTは株式会社ジェイ・ジェイ・エス、全国の会場一覧は以下で検索可能
認知症介助士の資格を取得するならココがおすすめ
セミナーを受け受験することができればいいのですが、地方に住んでいる場合は難しいという方も多いです。
そういった方は、独学で学び受験をすることになります。
そこで、おすすめの独学方法について2つご紹介するので、参考にしてくださいね。
ユーキャンで受験する
資格取得でおなじみのユーキャンを利用して受験するという方法もあります。
ユーキャンの資格取得までの流れとしては、次のようになるので確認しましょう。
認知症介助士の資格は3ヶ月間で取得可能です。
- 1ヶ月目:テキスト1 認知症介助士の仕事や、高齢者の現状などといった知識を習得
- 2ヶ月目:テキスト2 認知症の方への接し方や介助の仕方など実践的なことを習得
- 3ヶ月目:検定試験
ユーキャンを利用する場合、29,000円(税込)がかかります。
費用には、教材費や指導費なども含まれているため、これ以上の請求はありません。
しかし、ユーキャンであれば受講期間内であれば自宅で受験することもできるので、費用は掛かりますが、まだ小さいお子さんがいる方でも問題なく資格取得が可能です。
産業能率大学で受験する
通信講座である産業能率大学で受験するという方法もあります。
認知証介助士の資格は、受講期間は2ヶ月間です。
- 1ヶ月目:教材が届き学習後、添削レポート提出
- 2ヶ月目:添削内容や教材をもとに学習後、添削レポート提出(検定試験)
通信講座ではありますが、添削レポート(Web提出可)が2回あり、そのうち1回は検定試験になるので、ユーキャンと同様に自宅で受けることができます。
受講費用は13,500円(税込)、受講費用の中にはテキストや指導料などが含まれているので、セミナーを受けて受験をするよりも、費用を抑えて資格を取得することが可能です。
認知症ライフパートナーとの違いは?
認知症介助士と認知症ライフパートナーについては、両方とも民間の団体の認定資格となります。
認知症介助士は1つの試験のみですが、認知症ライフパートナーについては3級から1級まであります。
どちらも受験資格は特に必要ありません。(認知症ライフパートナー1級についてのみ2級合格者が要件となります。)
ですから介護職や医療職以外の人でも、受験可能な資格となります。大きな違いは、資格を認定する団体が違うということです。
認知症介助士を取得できる公益財団法人日本ケアフィット共育機構は、誰もが暮らしやすい共生社会を目指して、1998年から活動を続ける団体で、他にも防災介助士やサービス介助士など、介護職以外でも要介護者に関わる可能性がある接客業やサービス業などの方に有益な資格を主催しています。
2014年4月、内閣府による認証を受けています。それに対して、認知症ライフパートナーを取得できる一般財団法人日本認知症コミュニケーション協議会は、認知症に関する調査・研究、人材育成など、普及・啓発を行う団体です。
しかし認知症に対する理解といった点については共通する部分もありますので、どちらの団体の資格を学ぶかといったことについては、その人の目的やライフスタイルに合わせて選択するよいでしょう。
結局のところ、認知症介助士は就職に有利なの?
認知証介助士は、結局のところ就職に有利なのかどうか、気になるという方も多いのではないでしょうか。
認知証介助士自体は、民間の資格であり認知症に関する専門的知識や、介助技術の高さを示すものではありません。
そのため、残念ながらこの資格だけでは就職に有利とは言い難いのが現状です。
認知証介助士だけで介護職になるのは難しいですが、多くの人が利用する飲食店やホテルなどといったサービス業、公的機関や団体職員の方など、認知症の方に接する機会があると想定できる職業に就きたい場合は、プラスαの一つとして持っているといいでしょう。
ただ、介護職の中には介護士やヘルパーなどの資格がなくても、採用する施設であれば、認知症介助士の資格を持っていると心象がよくなる可能性があります。
少しでも認知症の知識があり介護職に意欲的だと示す材料になるからです。
そして、介護職に就いたあとは、認知症介護実践者研修や、認知症対応型サービス事業管理者研修などといった、キャリアを高める専門的な研修を優先的に受けられることもあります。
認知症介助士は、それだけで就職できるとは言いにくいですが、持っていることで就職先の心象に影響を与えたり、プラス要素に働くことがあると覚えておいてくださいね。
まとめ
今回は、認知症介助士の概要や資格取得の仕方など詳しくご紹介しました。
覚えておいてほしいポイントは次の5つです。
- 認知症介助士は、認知症の方に思いやりを持ち、寄り添える知識を得る資格
- セミナー受験であれば、1日で資格取得可能!
- 独学では、試験会場に行くもしくはCBTセンターで受験できる
- ユーキャンや産業能率大学の通信講座であれば、自宅受験も可
- 認知症介助士自体では就職に大きな影響を与えられないが、キャリアやプラスαの要素として影響がある可能性がある
「近所に認知症の方がいるから心配」
「認知症の知識をもっと深めたい」
といった方は、認知症介助士の資格を取得してみてはいかがでしょうか?
認知症をよく知ることで、今よりももっと認知症の方とのふれあいが楽になるかも知れませんよ。