介護施設の管理職の仕事とは介護の仕事の中で、施設の責任者として「施設長」や「センター長」などと呼ばれる職種があります。
なかなかイメージしにくい管理職の仕事ですが、
「具体的にどういった仕事をするの?」
「必要な資格はあるの?」
と疑問に感じている方もいるはずでしょう。
そこで今回は、介護施設の管理職の仕事内容や待遇面、必要な資格などについて詳しく調査してまとめました。
ぜひ参考にしてください。
介護施設の管理職(施設長・センター長)の仕事内容
介護施設の管理職は主に次の4種類の仕事を受け持ちます。
- 事業所内全体の管理・統轄を行う仕事
- 業務の管理を行う仕事
- 人材の管理を行う仕事
- 施設経営の管理を行う仕事
ここからは各職務内容をみていきましょう。
1. 事業所内全体の管理・統轄を行う仕事
名前のとおり、管理業務を行うのが主な仕事となります。
一例は次の4つ。
- 経営母体とのコミュニケーション
- 対外対応
- リスクマネジメント
- 事業所全体状況の把握
施設・事業所を円滑に運営するためには、全体像を見渡した上でマネジメントを行う人材が必要となり、これをまっとうするのが管理職のお仕事。
経営母体があるなら、そちらとの橋渡しとしての役目もあり、利益を出すための収支マネジメントも管理職が行わなくてはなりません。
2. 業務の管理を行う仕事
施設が適切な業務を行うための管理もまた、管理者に課せられた仕事です。
具体的には次の3つが挙げられます。
- 法令遵守
- 書類の整備
- サービスの質の担保
要は提供する介護・福祉サービスが適切かつ確実に提供できるようマネジメントする必要がある、というわけです。
介護サービスは法律や制度によって厳格に定められており、その法令に従った介護サービスの内容を作り上げなくてはなりません。
また同時にサービスの品質が落ちることがないよう、従業員への指導・管理も管理職の大事な役目。
病欠者などで人手が足りないときは自身が現場に出て業務を行わなくてはならないケースもありますが、基本的には現場の職員をいかに活かし、よりよい方向に導くかが重要視されます。
3. 人材の管理を行う仕事
よりよい介護サービスの提供は、施設で働くスタッフなど、人材による部分が大きいものです。
その人材を管理するのは管理職の役目。
具体例として次の5つが挙げられます。
- 人員配置の適正化
- 人間関係の円滑化
- 職員に対する評価指導
- 業務分掌
- 人材育成
優秀な人材を採用し、適切な配置を行う。
そしてひとりひとりのスタッフが優秀な介護職員として成長できるよう教育していかなくてはなりません。
従業員のマネジメントは、適切な業務を行っているのかを管理することも大事ですが、残業が多すぎないか、スタッフへの負担が大きくないか、人間関係など職場環境は適切か…といった点にも配慮が必要です。
介護業界は人手不足が深刻な上に、離職率が非常に高いため、管理職による労務管理が重要視されています。
4. 施設経営の管理を行う仕事
管理職として施設経営に関する仕事もこなさなくてはなりません。
具体例として次の3つが挙げられます。
- 収支管理
- 経営努力
- 広報活動
施設の規模にもよりますが、見学希望者の対応や、利用者の送迎のお手伝いもこなすことも。
またより多くの利用者を獲得するために、近隣ケアマネージャーを訪ねて広報活動を行うこともあります。
基本的に管理職は、トラブルが起こった際の全責任を負う立場にあるため、健全な運営を行うための円滑な管理を総合的に実践しなくてはなりません。
管理職(施設長、センター長)の給料と待遇について
施設の規模と役割について違ってきますが、月収30万円~50万円です。
年収に応じた賞与があり、400万円から600万円位です。
他の職員と違う手当としては、管理職手当があります。
管理職手当を受けるため、逆に残業手当が付かない場合もあります。
参照: 会社から「君は管理職だから、残業代は発生しない」と言われてしまいました。これは本当でしょうか? | Q&A | 弁護士が教える労働トラブル解決サイト
施設内で一番給与が高い立場になる
理由としては、施設全般の責任がありますので、利用者などの怪我などについての責任については最終的に施設長の責任となり、責任の重さといったことがあるからでしょう。
また行政などに対しても責任者としての役割がある為かもしれません。
但し、介護職員に対して支給される処遇改善加算については“利用者に対する身体介護等で直接処遇に従事する職員に対して支給される”ものであるため、対象から外れるケースが殆どです。
介護の資格を持ち、介護員を兼務する旨が雇用通知書等で明らかになっている場合は支給を受けているケースもあります。
施設長の年齢的なものは、社会経験なども必要とされる為、30代以上が多く、40代50代が活躍しています。
待遇については運営母体によって違ってきますが、介護職のような夜勤などはなく日勤務業務となります。
週休2日です。
土日の休みについては施設によって違ってきます。
基本的には平日に勤務して土日は休みが多いですが、現場にも入るタイプの管理者の場合はある程度シフトに入る場合もあります。
管理職(施設長、センター長)の必要な資格について
基本的な業務は施設の運営管理となり数値的な管理が必要とされる為、必ず介護の資格を必要とされないことが多くあります。
人材管理や経営管理を行うという観点からも総務や労務、会計に関する知識経験があるとなおよいでしょう。
それでは具体的に見ていきましょう。
介護保険法で定められている資格等要件
介護施設の管理職には必要な資格・要件が設けられている場合があります。
各施設ごとの条件をまとめると次のとおりです。
特別養護老人ホーム
以下3点のうちいずれかを満たす必要あり。
- 社会福祉主事要件を満たす(社会福祉士)
- 社会福祉事業に2年以上従事
- 社会福祉施設長資格認定講習会の受講(通信授業6ヶ月、面接授業5日間)
介護老人保健施設
開設者は都道府県知事の承認を受けた医師が管理しなくてはならない。
ただし都道府県知事の承認を受けた医師以外の者に管理させることができる。
介護療養型医療施設
臨床研修修了医師が管理しなくてはならない
小規模多機能型居宅介護事業者
指定施設の従業者、または訪問介護員などとして3年以上、認知症の方の介護に従事した経験があり、かつ厚生労働大臣が定める研修を修了していること
認知症対応型共同生活介護事業者(グループホーム)
指定施設の従業者、または訪問介護員などとして3年以上、認知症の方の介護に従事した経験があり、かつ厚生労働大臣が定める研修を修了していること
単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所
必要な知識・経験を融資、厚生労働大臣が定める研修を修了していること
防火管理者
防火管理者は消防法により、火災予防のために必要な業務を推進する責任者のことをいいます。
介護施設では「甲種」を取得する必要あり。
受講内容は主に次の5項目となります。
- 防火管理
- 火気管理
- 施設、設備の維持管理
- 防火管理に関する訓練や教育
- 消防計画
おおむね10時間を2日間に渡って受講。
願書申込みは所轄の消防署または市役所にて行います。
受講料は管轄地域・自治体によって異なりますが、財団法人日本防火協会実施の講習だと6,170円が必要です。
衛生管理者
衛生管理者は名前のとおり、施設の衛生管理に関する知識を有し、適切な運営ができる人材のことです。
主な仕事は次の4つ。
- 施設の管理
- 労働者の健康管理
- 労働衛生教育の実施
- 健康保持増進措置
毎週1回以上は職場を巡回し、設備や作業方法、衛生状態に問題がないかチェックします。
またストレスチェックの実施も大事な仕事。
これらに問題があれば、直ちに対処しなくてはなりません。
なお衛生管理者は1種と2種の2段階に分かれていますが、介護施設はどちらでも問題ありません。
資格を取得するには「安全衛生技術試験協会」が主催する試験を合格する必要があります。
全国の安全衛生技術試験協会センターで毎月試験が行われているので、比較的受験しやすいでしょう。
受講料は1種、2種ともに6,800円です。
その他経営母体の運営方針に沿った知識や経験
経営母体の運営方針により、管理者として活躍するために特定の資格を取得する必要があるケースも珍しくありません。
介護現場では資格もさることながら、知識や経験が大きなウエイトを占めているのもまた事実。
知識・経験なしに適切なマネジメントを行うのは困難なため、幅広い経験を経た上で、管理者として就任することもあります。
管理職に必要な資格まとめ
介護業界未経験の場合でも、民間が経営する大規模の介護施設などの場合は特に問われないことが多くあります。
しかし特養や老健など一部の介護施設については一定の要件や必要な資格などがあります。
介護の資格がなくても施設長としてのマネージメント業務には問題はありません。
しかし施設の職員との関係性や運営といった面では介護の事を知る必要性がありますので、介護現場を知っている人の方がより良いといったことはあるかもしれません。
利用者の立場や職員の立場を理解しトラブルがあったときには当事者の視点に立った解決ができるようにするためにも、現場の知識や経験があると有利でしょう。
特に小さい施設などについては施設長でも送迎や身体介護を手伝う機会があり、また介護員や生活相談員などの人員配置基準にカウントされる場合もありますので、介護の資格があると重宝されます。
民間の施設で募集要件に必要と記載されている場合や介護の経験が必要と記載されているところもあります。
【体験談】私の職場の施設長について
・複数の希望の介護施設の施設長のケース
私のところの施設長はほとんど現状はケアマネジャーなどの現場経験者から施設長になった人が多く、女性の施設長も多くいます。
もちろん男性の施設長もいます。
グループホームや有料老人ホームを経験してからの施設長といった経歴の施設長もいます。
施設の運営管理といったこともあるので経理的な売上などももちろん重視すべき点も多いのですが、職場についてはケアマネジャーや介護士など女性が多いのが特徴の介護業界ですので、こういった専門職の職員とうまくコミュニケーションを行いながら営業活動をしていく大変さがあるかもしれません。
私の職場の施設長については男性ですがやはりソフトな印象もありますし、女性のスタッフとのコミュニケーションなども上手に行いながらされているように思います。
時には厳しことを要求しなければいけない立場ですので、日頃の職場の環境作りは大切かもしれません。
女性が多い業界ですので、こういった所を上手にこなせるかどうかがスムーズな施設運営の鍵になるかもしれません。
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まとめ
介護施設での施設長の役割は施設の運営となるため、民間企業の複数施設がある場合は、マネージメント業務に精通している人、得意な人の方が良いとされる考え方もあるようです。
理由としては、ある一定規模の大きさの施設の場合は、しっかりとまず施設を経営できることが前提となるからです。
また、介護や介護サービスの専門の部分にはその専門の長がいるからです。
よって、その上で介護業界の考え方や必要とされる知識を習得して施設管理するのが理想的な形のようです。
マネージメントする上で従業員とのコミュニケーション、利用者やご家族との対話の為には最低限の介護知識は必要となりますので、幅広く知識が大切となります。
施設によって介護経験のある方が施設長となるのは、施設長も介護の現場で手伝いするケースが多い場合など、また、職員との関係性が密接な場合や利用者やその家族の方に対しての安心材料の1つとしてのケースではないでしょうか。