転職活動を行う上でブランクがあると、どうしても不安を感じてしまうものです。
- 「ブランクがあると採用基準から外れる?」
- 「どれくらいのブランクだと不利になる?」
- 「企業側は、求職者のブランクをどのように見ている?」
今回は会社に許される「空白期間のボーダーライン」と、ブランクが転職のマイナス要因にならないようにするコツを紹介します。
ブランクの期間について
転職のブランクは、期間の長さによって「採用担当者が受ける印象」が変わります。そこで、どの程度のブランクならば会社の選考上OKなのでしょうか。
まずは、ブランクの長さを3段階に分けて紹介します。
ブランク期間が3ヶ月
退職してすぐに転職先が決まらないと、ブランクができるのではと焦ってきますね。しかし3ヶ月程度の期間をブランクとして問題視することは、ほとんどありません。
一般的に3ヶ月のブランクは、「転職活動に必要な期間」として企業側も認識しています。
求職者も、いったん退職してから転職活動を始める人が多いので、会社にも認められている期間なのです。
ブランク半年~1年
半年から1年のブランクを、会社はどう見るでしょうか。
エン・ジャパンが行ったアンケート結果によると、ブランク半年では28%の人が転職をしています。
退職から転職まで実際にかかった時間
(仕事をしていなかった期間)
1ヶ月半 | 20% |
---|---|
3ヶ月 | 30% |
半年 | 28% |
1年 | 14% |
2年 | 3% |
2年以上 | 5% |
また1年以上になると、転職者の数は少なくなってきます。
全体の3割近い多くの人が、ブランク半年で転職していることから、会社にとって許容範囲内の空白期間だといえますね。
ブランク2年~3年
仕事をしていない期間が2~3年になると、ブランクが転職に大きな影響を及ぼすのではないかと心配になりますね。
そこでまずは、そのブランク期間について明らかな理由を話すこで、採用担当者も事情を理解してくれます。
ポイントは「ブランク中に何をしていたか」をきちんと説明することです。ブランクの理由が曖昧だと本人の状況がはっきり分からないので、面接の評価が下がる可能性もあります。
ブランクを空けてしまうこんな人は要注意
ここでは、ついブランクを空けてしまう人にありがちな「気持ちの傾向」と、その求職者が採用側からどのように見られるのか、タイプ別に紹介ます。
注意すべき傾向を確認しながら、自分自身を振り返っていきましょう。
求人を探しているが、条件や職種が定まっていない
ずっと求職活動を続けているのに、良い結果につながらない人がいます。面接を受けても手応えはなく不採用続き、求人選びも迷ってしまい自分の意志がはっきりしません。
この場合うまくいかない原因は、下記のような点が考えられます。
- 自分に何ができるのか不明確
- 向いてる職種がわからない
- どんな労働条件で働くのがベストか
- 希望企業への熱意が弱い
職種や条件が定まらない人は、面接の受け答えでも気持ちの曖昧さが出ている可能性があります。
すると採用担当者にも、「就労意欲や真剣さに欠けている」と見られてしまうのです。
理想を高くしすぎて自分に合う会社が少ない
転職の理想が高いと、自分に合う会社を見つけられず長いブランクができてしうことがあります。
いつまでも自分の理想を追い求めてばかりでは、思うように転職活動も進みません。
理想が高い人の中には、下記のようなことを求める人が多いでしょう。
- 高収入、好待遇、好条件の求人がある
- 大手の会社でなければ意味がない
- 自分はもっとレベルの高い人間だ
- 親や友人にほめられるような会社がいい
どこか必ず良いところがあるだろうと根拠のない自信家
とにかく転職すれば、きっといい会社にで出会える!と安易に行動する人がいます。
このようなタイプは特にやりたい仕事やキャリア計画もなく、地道な転職活動を避ける傾向があるでしょう。そのため必然的にブランクが長くなってしまいます。
根拠のない自信だけで辞めてしまう人には、その退職理由にも特徴があります。
- 仕事に飽きた
- 自己啓発に影響され自分も輝きたいから
- なんとなく人生を変えたかった
- 転職した友だちが楽しそうだから
- 毎日がつまらないから刺激が欲しい
長期間のブランクから採用担当者が連想することとは
長い空白期間があるということを、採用担当者はどのように受けとめるのでしょうか。まず相手を納得させる理由や目標がないと、下記のような評価をされてしまいます。
- 計画性がない
- 働く意欲を感じられない
- なにか問題があって採用されないのか
では、この3つの評価は、求職者のどんな様子から連想されるのか、もっと詳しく説明していきましょう。
自分のキャリアについて計画性がない
ずっと求職状態にもかかわらず、転職にあたって何のビジョンも伝わってこない人は、安易に仕事を辞めてしまったという「計画性のなさ」が連想されます。
早く働きたいという熱意が伝わってこない
長いブランクに焦りもせず漫然と転職活動をしている人は、自分が何をしたいのかはっきりしません。言葉や態度から「やる気」が感じられないので、採用担当者から「働く意欲がないのではないか」と疑問視されます。
転職が決まらないのは本人に問題があるのではないか
何度か不採用になって、ブランクが長期化している人に対して、採用担当者は「なにか問題があるから採用されないのではないか」と疑いをもちます。本人への不信感が出てくると、採用基準から外れてしまう可能性があります。
転職時のブランクで不利になりにくいケースとは
仕事をしていない時期に「何かをしていた」という経験が、会社の高評価を得ることもあります。
特に下記のようなケースでは自分のセールスポイントにもつながり、ブランクの印象が良い方向へと変わっていきます。
資格習得の勉強や職業訓練所に通っていた
転職に向けて資格をとったり、職業訓練を受けている人に対し、採用担当者は「向上心があり就労意欲が高い」という印象をもちます。こうした結果はブランクというより「スキルアップの期間」と受けとめられるでしょう。
実際に職業訓練を受けた人の就職状況を見てみましょう。ハロートレーニング(離職者訓練)受講者の就職率は、平均して80%前後と高くなっています。
受講によるブランクがあっても、転職に不利にはならないようです。
平成28年度 ハロートレーニング(離職者訓練)受講者の就職率 | |
---|---|
施設内訓練 | 86.8% |
委託訓練 | 74.6% |
語学留学をしていた
語学留学には一定の期間を要するので、長いブランクができます。しかし海外で生きた外国語を学んできた経歴があるため、会社からは「興味ある人材」として見られます。
語学留学を経験した人に、会社はどんな期待をするのでしょうか。
- コミュニケーション能力
- グローバルな感覚
- チャレンジ精神
- メンタル面でのたくましさ
- 柔軟性
こうしたことから留学のブランクも、必要な期間と認められます。
公務員試験の勉強
離職者の中には、社会人採用枠で公務員試験に挑戦するケースが増えています。
現職で働きながら試験勉強をすることが難しい人は、いったん会社を辞めて公務員試験に集中するので、その期間がブランクとなります。
また試験がうまくいかず、キャリア計画を方向転換して新たに求職活動を始める人もいます。
その際、面接でブランクの期間について詳しく聞かれることもあるので、どのように話すか準備しておくことが必要です。
たとえば下記の内容を話すことで、長いブランクがプラスに転じるでしょう。
- 試験勉強から多くのことを学んだ
- 落ちこむことはやめて気持ちを切り替えた
- 会社に大きな魅力を感じたので、こちらで新たなスタートをしたいと思った
主婦として家に入ったことによるブランク
何らかの事情で家庭に入り、家事・育児・介護などをしてきた女性が再就職をめざすとなると、長いブランクが気になりますね。
その場合、採用担当者はどう見ているのでしょうか。
会社側が気になること |
体力があるか 即戦力になるか キャリアについて フルタイムか、パートタイムか |
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会社が期待すること |
仕事の理解力 職場への順応性 謙虚さ コミュニケーション能力 |
主婦のブランクは事情が理解しやすいので、採用担当者も深く追求しません。求職者が会社の期待に応えることができれば、良い人材としてとても喜ばれます。
ブランク囚われず前向きに転職活動しよう!
今回は転職の空白期間(ブランク)について、ご説明してきました。最後におさらいとして、転職のブランクに関するポイントを確認していきましょう。
- ブランク半年までは「就職に必要な期間」
- 空白期間の行動を丁寧に説明
- ブランクが有利になることもある
たとえ空白期間があっても、その期間どのように過ごしていたのかを面接時にしっかり伝えることで、長いブランクも許されるようになります。