皆さんの職場には、OTC医薬品はどのくらい置いてあるでしょうか。筆者はまったく置いていない調剤専門の薬局や、ドラッグストアとしての役割も兼ねるくらいたくさんのOTC医薬品を置いた薬局など様々な調剤薬局を経験してきました。
記憶に新しいセルフメディケーション税制(指定の効能のOTC医薬品を年間一定額以上購入することで、税的優遇を受けることが出来る制度)の導入に伴い、それを知った患者さんからの問い合わせが多くなってきた実感がございます。
ご存知の通り、要指導医薬品と1類医薬品は薬剤師の管理の元の販売です。しかしながら2類・3類医薬品についても薬剤師は対応できる必要があります。
近年調剤薬局は調剤だけでなく、患者さんの健康についてすべて相談を受けられる機能が求められています。
それにはOTC医薬品についても相談を受け、いつもの薬との併用は問題ないかなど確認することも含まれていると思います。
今回はOTC医薬品を調剤薬局に置く意義、これからの展望について解説させていただきます。
セルメディケーション税制
セルフメディケーション税制は、医療費削減の観点から年間一定額以上(現在は12,000円)の指定成分が含まれたOTC医薬品を購入した場合、その一定額以上の金額が減税されるという制度です。
たとえば年間15,000円のOTC医薬品を購入した場合、12,000円からの差額の3,000円が減税されます。
しかし従来の医療費控除と併用はできませんので、どちらを利用した方がお得になるかを考えてから利用する必要があります。
購入時のレシートや領収書を取っておく必要がありますので、それも併せて患者さんに説明することになります。
詳しくは厚生労働省のホームページを参照してください。
レシート、どこにしまったか忘れない方がいいカモ。
薬局にOTC医薬品を置くメリット
普段慢性疾患があり医薬品を常用していたり、また普段から片頭痛に悩まされてロキソニンをたまに飲む患者さんなど、OTC医薬品1つ取っても服用に注意しなければならない患者さんは多くいます。
患者さんの中にはOTC医薬品は薬として認識されない方が多く、薬局窓口で質問するとやっと答えてくださる方がほとんどです。
そういった薬識の低さは思わぬ副作用を招くことが多いです。
ドラッグストアで簡単に買えるOTC医薬品ですが、調剤室の近くに置くことで患者さんから「これ飲んだことあるわ。」「ロキソニンってここでも買えるのね。」など会話につながることがあります。
OTC医薬品を置くことが直接の利益にならなくても、OTC医薬品があることで患者さんの健康管理につなげることが出来ます。
そのため現在OTC医薬品を置いていない薬局は、陳列するだけでメリットがあると考えます。
そういうケースに気づくためにも、積極的な声かけは必要カモ。
OTC医薬品の管理指導料!?
最近、OTC医薬品を適切に勧めた場合、調剤の時のように管理指導料を取ってもよいのではないかという意見があります。
セルフメディケーション税制は、医療費削減のために自分で治せる体調不良はOTC医薬品を用いてセルフメディケーションを行うという趣旨ですが、常用の薬がある場合や薬についての知識が薄い場合、患者さん自身で行うことはハードルが高いです。
せっかくかかりつけ薬剤師というシステムもできましたので、自分が受け持っている患者さんについては服用OTCまでしっかり管理していきたいです。
患者さんが風邪をひいてしまったり、すこし胃が痛いなど病院に行くほどではないけどなにか薬を飲みたい場合、アレルギー歴や処方歴を把握しているいつもの薬剤師さんが勧めてくれる薬なら、自分が適当に選んだOTC医薬品より安心して服用することが出来ます。
そういった場合はOTC医薬品の管理料を算定することは妥当と考えます。
ある程度自己負担が増えても、登録販売者しかおらず全く説明をなされない場合に比べたらはるかに付加価値が大きいからです。
算定要件はどうなるのか、セルフメディケーション税制との兼ね合いがどうなるかなどハードルはありますが、是非検討を進めてほしい制度です。
そういうのを管理するのは、処方せん医薬品と何ら変わらないカモ。
まとめ
OTC医薬品を売るという仕事は私たち薬剤師の業務の一つです。
調剤薬局で働いているとOTC医薬品は事務さんに任せきりの場合も多いかと思いますが、今一度自分の薬局に置いてあるOTC医薬品の成分・効能を見返してみてください。
例えばロキソニン1つ取っても、薬局医薬品のロキソニンは1日3錠までですが、OTC医薬品のロキソニンは1日2錠までと添付文書に記載されています。
同じ成分でもこのような違いがあるため、先入観を持たず向き合っていただきたいと思います。
OTC医薬品をまったく置いていない薬局の場合は、患者さんのニーズに合わせて在庫を置くことを考えても良いと思います。
処方せんがなくても気軽に健康相談に患者さんが訪れてくれるよう、私たち薬剤師は信頼できる知識をしっかりつけていきましょう。