当サイトには広告・プロモーションが含まれています。

ハイリスク薬とは?定義をしっかりと理解し、やるべきことを理解しましょう。

ハイリスク薬というものの存在は知っているものの、具体的にどんな薬が該当するのでしょうか

ハイリスク薬という単語をご存知でしょうか。おそらく薬局やドラッグストア、病院などの医療機関に勤務されている多くの薬剤師の方は、一度は耳にしたことがある単語だと思います。

しかし、具体的に「ハイリクス薬って何ですか?」と尋ねられた際に、すぐに答えられるでしょうか。

抗がん剤、インスリン製剤、免疫抑制剤などを思う浮かべる人が多いと思いますが、実際はそれだけではありません。

医薬品の中には病院に勤務する薬剤師さんが取り扱うことがほとんどであるものもあります。例えば、抗がん剤の中でも点滴で投与するような医薬品がそれに該当します。

そのため、薬局やドラッグストアに勤務している薬剤師さんの中には、そのような抗がん剤のことは知らなくても良いと考えている人がいるかも知れません。

このような考え方は、絶対にしてはいけません。

なぜなら薬剤師は医薬品の専門家(スペシャリスト)であるため、この世に存在している、少なくとも日本で製造販売が認められている医薬品のことは、すべて知っておく必要があり、薬剤師の責務でもあります。

ここでは、ハイリスク薬の定義を確認するとともに、薬剤師が取るべき行動についてご紹介させていただきます。

ハイリスク薬とは?

ハイリスク薬として定義されている医薬品は、大まかに分類すると9つに分類されています。

  1. 投与量等に注意が必要な医薬品
  2. 休薬期間の設けられている医薬品や服用期間の管理が必要な医薬品
  3. 併用禁忌や多くの薬剤との相互作用に注意を要する医薬品
  4. 特定の疾病や妊婦等に禁忌である医薬品
  5. 重篤な副作用回避のために、定期的な検査が必要な医薬品
  6. 心停止等に注意が必要な医薬品
  7. 呼吸抑制に注意が必要な注射剤
  8. 投与量が単位(Unit)で設定されている注射剤
  9. 漏出により皮膚障害を起こす注射剤

※参照 ハイリスク薬のポイント一覧 & 役立つ!情報センターお勧め一覧

具体的な薬剤をご紹介しますと、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制剤、不整脈薬、抗てんかん薬、血液凝固阻止薬、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬に限る)、精神神経用薬、糖尿病薬、膵臓ホルモン剤、抗HIV薬があります。

がん患者さんの抗悪性腫瘍薬、Ⅰ型糖尿病治療薬であるインスリン製剤(膵臓ホルモン剤)、血中濃度を厳格にコントロールする必要がある抗てんかん薬やテオフィリン製剤などは、ハイリスク薬に該当することは、簡単にご理解いただけると思います。

しかし、高齢者の多くに使用されている血液凝固阻止薬や不整脈薬も、ハイリスク薬に分類されています。

ワーファリンやバイアスピリンは非常に多くの患者さんが服用されており、ハイリスク薬と認識しにくいかもしれないですが、実はハイリスク薬に分類されているのです。

ハイリスク薬を使用する上で、薬剤師がやるべきこととは?

ハイリスク薬に付随しているそのリスク、例えば副作用、血中濃度のコントロール、漏出による皮膚障害などそのものは、薬剤に特有のものです。

またそのリスクよりもベネフィット(患者さんの利益)が上回ることから、厚生労働省が承認しているものです。
したがって、そのリスクを消し去ることはできません。

しかし、そのリスクの発生を最小限に抑えることや、リスクが発生したとしても対処方法など正しい知識を有していることで、健康被害などを最小限に抑え、早期に治療することができます。

これを実現するために薬剤師が行うべきことを考えてみましょう。

患者さんに対して

おそらく現在日本で製造販売されている医薬品の半数以上は、飲み薬(経口薬)や外用剤(シップや塗り薬)だと推測することができます。

それらは病院内ではなく、患者さんの自宅などで使用されます。つまり患者さんがどれだけその医薬品のこと、有効性や効果だけでなく、副作用をはじめとしたさまざまなリスクを理解しているか、その上で患者さんが適切に使用できるかどうかが非常に重要です。

そのためには、病院薬剤師、薬局やドラッグストアなどに勤務するすべての薬剤師は、患者さんが理解し納得して医薬品を使用できるように、十分な時間をかけて服薬指導をする必要があります。

病院には、患者さんとゆっくり話す(指導する)ことができる部屋がある場合もありますので、少なくとも初めてハイリスク薬をお渡しする際にはそのような部屋で十分な時間をとって話す必要があります。

一方薬局やドラッグストアでは、病院のように個別の部屋がないケースも多いですが、じっくりと話すことができるように、立ったまま説明するのではなく薬剤師も患者さんも座った状態で話すことが良いでしょう。

医療従事者(特に看護師)に対して

医薬品は医師だけが投与するわけではありません。例えば、点滴剤に混ぜて投与するような抗悪性腫瘍薬の場合は、実際は看護師さんが病棟や外来化学療法室などで投与します。

医師は当然医薬品の知識を有しているため、どの医薬品がハイリスク薬であるかは理解していますので、あえて詳細を説明する必要はありませんが、看護師は日々医薬品の勉強をしているわけではありませんので、十分な医薬品の知識を有していないことがあります。

従いまして、薬剤師は、例えば病院で新しい医薬品が採用された場合、使用する可能性がある方、特に看護師に対してはハイリスク薬であること、その管理方法などの説明を十分に行う必要があります。

ハイリスク薬の管理は、関係者全員で行う必要があります。

今は核家族化が進み、高齢者になると老人ホームや介護施設、サービス付き高齢者住宅などに住み移り、ヘルパーや介護士が世話をするケースも多くなっています。

したがって、医師や薬剤師、看護師だけでなく、ヘルパーなど介護にかかわるすべての人もハイリスク薬のことを十分に理解しておく必要があります。

薬剤師は、そのための重要な責務を担っていると考えてください。