収入も高く安定していて福利厚生も充実しており、ブランド力も抜群の「大企業」は、就職を目指す大学生達の憧れの的です。
しかし、誰もがうらやむような大企業に入社したものの、やがて退職してしまうという人は一定数います。一度大企業から出てしまえば再度大企業へ入ることが困難になるのは確実。
大企業から他の大企業へとステップアップするという道はもちろんありますが、そうでなければ大企業時代の収入を生涯安定的に維持することはまずできないと考えていいほどかもしれません。
部外者からすれば、「大企業を辞めるなんてもったいない!」と言いたくなるところですが、それは本人が一番わかっていることでもあります。それでも大企業を辞めるからには、それ相応の理由があるはずなのです。
大企業で働くということ
大企業で働くということは、会社の歯車の一つになることです。組織が大きければ秩序を保つためのルールも細かくなるので、社員には高いコンプライアンス意識が求められます。
また、決まった仕事をこなすことが絶対的に求められるので、たとえ効率が悪くて無駄に思えるような仕事でも粛々と従わなければなりません。
社員ひとりひとりが個性と能力をフルに生かして新しい道を切り開くというよりは、良い意味で「無難」に仕事をこなす必要があります。
評価によって昇給、昇進はありますが、個人の仕事の成果がそのまま収入に反映することはなく、人によってはやや面白みに欠けると感じることもありますがやはり「安定」は大きな魅力です。
でも、大勢の社員が1つの方向に向かって頑張るからこそ、大きなことが成し遂げられるのカモしれないね。
大企業を退職しようと思うきっかけになることとは
夢が「大企業で働くこと」であれば別ですが、多くの人はやってみたい仕事についての希望を持っていることが多いものです。
しかし、大企業に入社する場合、配属先は会社が決めることなので、本人の希望通りになるとは限りません。もし希望の部署に配属されたとしても、やがては他の部署へと異動することになるでしょう。
国内外に拠点を持つ大企業なら転勤も当たり前、結婚やマイホーム購入後に即転勤を命じられることも珍しくありません。
結婚なら一緒に転居することもできますが、家を購入した後や育児の都合によっては単身赴任を選択するしかなく、せっかくの新居に家族と住めないということもごく普通です。
どんな仕事でも理想と現実のギャップがあるのは当然ですが、仕事のために犠牲にするものが多くなると、大企業で働き続けることが難しいと感じる人もいます。
退職すれば年収は大幅に減ってしまう可能性が高いですが、そうしてでも守りたいものや貫きたい意志があれば、大企業を去ることにあまり未練を感じないのかもしれません。
大企業で働くということには他にはないメリットがたくさんあるけど、デメリットもあるということなんだ。つまり、「大企業イコール良い企業」ではなく、「自分に合う企業」こそ良い企業と考えたほうがいいのカモね。
「大企業出身」は最大の武器になる!?
退職後の進路としては、転職するか独立するかというところになるでしょう。気をつけたいのが「大企業出身」という自信と油断です。
大企業から大企業への転職も可能ではありますが、前職と同じ地位での採用は期待できず、転職できたとしても新卒で入社した人と同じコースは歩めないと考えておいたほうが良いでしょう。
大企業から中小企業への転職ならかなり有利なのではと考えられがちですが、経験した職務領域が狭いとなると、中小企業やベンチャー企業出身者のほうが大企業出身者より有利になる場合も少なくありません。
企業が変わればやり方も変わるけど、前の企業ルールが潜在的な自分の基準になってしまうと、どこへ転職しても前と違うことにストレスを感じることもあるよ。
転職するなら経歴を最大の武器にするのではなく、新たな環境に適応して頑張っていく姿勢が大事なのカモ。
大企業からの退職・転職体験談
大企業からの転職体験談を紹介。どんな企業に?後悔はない?気になるところをチェック。
一部上場一流企業からの転職が厳しい結果に終わった(29歳・男性)
某大手一流企業に勤務するようになってから7年ほど経った頃に転職活動を開始しました。今思うと、給与、福利厚生面で郡を抜いて待遇の良かった会社を辞めるというのは、非常に残念なことと思いますが、当時の自分としては、当然の決断だと感じていました。
転職を決断した理由は、出世が望めないと感じたからです。大企業ですので、優秀な人材は沢山います。当然簡単に出世することはできないですし、自分もそれほど出世への執着はないと思っていました。
ただ、同じ仕事をしていて、自分の方がよくできていると感じているのに、同期が良い評価を受け、出世への階段を登り始めたことに耐えることができなかったのです。
入社まではスムーズだったが
転職活動は、当時最も有名な転職サイトリクナビNEXTを利用しました。程なく、地場で有名な菓子製造メーカーの営業企画担当の求人を見つけることができました。
伸びている会社であること、知名度があること、待遇面では、現状をやや下回るが、地元の他の企業と比べると高水準であることなどが決め手となり。この会社受けることにしました。
大企業を辞めることに対しての家族の反対が予想されましたので、知名度があることというのは大事なポイントだと考えていました。
面接に臨んで感じたのは、大企業に勤務していたという実績は、思っているよりも効果があるということです。
面接も非常に緩やかに進み、「あなたの様な優秀な人が来てくれるとは」というような雰囲気さえ出ていたような気がします。
確かに、大企業に入るということは、多くの中からの選抜に勝ち残った経験があるということなので、一定の基準はクリアしていると感じるのでしょう。トントン拍子に幾つかの面接を突破し無事採用となりました。
入社後に待っていたのは厳しい現実でした。大企業の社員が優秀というのは幻想で、中小企業の社員は日々の仕事で鍛えられており、そのスピード感、仕事の丁寧さなどについていくのが非常に困難を極めました。毎日が必死です。
転職で重視したポイント:やりがいのある職場
転職活動期:3ヶ月
転職回数:1回
会社:通信
職種:営業企画
会社:菓子メーカー
職種:営業企画
いろいろな年代の退職後
退職後の進路に大きく影響するのが年齢です。まずは20代の転職事情について軽く触れてみましょう。新卒入社1年目から3年目までの「第二新卒」を積極的に採用する企業は数多くありますが、社会人4年目から先になると少し状況が変わります。
スキルや経験の質を年齢だけで測れないところはもちろんありますが、企業側としては若い人材のほうが育成しやすいので、大企業でビジネスマナーの基本を取得している20代は退職後の選択肢が豊富です。
転職35歳限界説は本当なのか
30代に突入すると転職のハードルは一気に高くなり、「35歳限界説」という言葉がチラつき始めます。では35歳からの転職が本当に限界なのかというとそうではなく、「未経験の職種への転職は限界」と言えるかもしれません。
中途採用の30代に求められるのはスキルや経験なので、年齢相応かそれ以上の能力があれば転職は十分に可能です。
ただし、年齢が高くなればなるほど難易度が高くなることを覚悟しなければならないでしょう。
40歳以上の退職後はどうなる?
40代以降の転職はかなり厳しくなるのが一般的ですが、大企業で培ったスキルと経験を持った人材が欲しい中小企業も多いので、大企業出身者に関しては一般企業出身者よりも転職のチャンスは多くなります。
ただ、ここで大きな壁となるのが給与などの待遇面。「大企業の頃と同じ水準を保てる仕事」に限定すれば、40代以降の転職先はほぼないに等しいでしょう。
中高年は早期退職を促されるリスクがあるぐらいだから、中途採用されるためには高い実績や能力などの「強み」が必要なのカモね。
大企業からの転職を成功させるために
「安定」「やりがい」「家族」など、何をモチベーションとして働くかはその人の価値観によって異なります。大企業で働き続けるなら安定を手にすることができますが、モチベーションが保てないなら別の道を求めてそこから出るという選択ももちろんアリでしょう。
ただ、大企業を退職するタイミングや方法、自己評価などを見誤ってしまうと、思わぬ失敗をして後悔することになりかねません。
転職を成功させるためには、「大企業出身だから退職してもなんとかなる」と安心しきってしまうのではなく、1からやり直すぐらいの謙虚な気持ちで転職活動に臨むことが大切です。
そうすれば、大企業経験者を好条件で買いたいという転職先はきっと見つかるはずです。転職先探しに関しては、転職サポートのプロであるエージェントに相談すれば市場の最新動向をキャッチできるので、積極的に活用することをおすすめします。