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介護士でも退職金を貰える?意外と知らない計算方法や仕組み、退職金の相場・平均も紹介

介護士でも退職金はもらえる?

介護士の仕事は「給料が安い」とよく言われます。

それはあくまで毎月の給料の話。

では、退職金についてはどうなのでしょうか?

老後1000万円不足問題も話題になりましたが、将来設計の上で避けては通れない退職金。

今回は、このテーマについて解説していきます。

現在介護業界で働いている方はもちろん、これから就業を検討している方、現在の給料に不満で転職を考えている方も必見です!

退職金の定義と実態

そもそも退職金ってどういう意味で支払われるものなのでしょうか?

まずは退職金の定義や実態について解説していきましょう。

退職金の支給は法律上定められていない

そもそも退職金と言うのは、法律による制度ではありません。

各会社ごとに規則が定められている制度なのです。

なので、原則として就業規則に定めがないのであれば、会社側は退職される人に退職金を支払わなくても違法とはならないのです。

退職金と言うのは、長期にわたって企業に勤めた功労をねぎらうという意味の元、支給される給付制度であり、主に定年退職される方がもらうイメージが大きいかもしれません。

ちなみに、年齢の若い方が会社を退社する場合でも退職金が支払われることもあります。

しかし

「退職金を受け取れるかどうか」
「どのくらい支払われるのか」

に関しては各会社の就業規則に記載されている内容により変わってきます。

それでは実際に、退職金とはどういった制度なのか、実際にもらえる相場とはいくらくらいなのかを知っておきましょう!

規模の大きな会社ほど退職金が出る

退職金を受け取れるかどうかは、自身が勤務している会社が退職金制度を取り入れているかどうかによって決まります。

厚生労働省が発表している『平成30年就労条件総合調査 結果の概況』によると、退職給付制度の有無に関して、従業員数1,000人以上の企業が92.3%の割合で制度を導入しているのに対し、30人から99人の企業は77.6%と退職金制度を取り入れている企業が約15%少ないという結果が出ています。

つまり、退職金は企業の規模が大きければ大きいほどに取り入れている可能性が高く、規模の小さな会社だと退職金制度がないことも多いということがわかります。

退職金と言うのは、会社側からの「長年において勤めてきた従業員への感謝」の意味を込めて支払われます。

そのため、勤続年数が長くなるほど退職金は高くなる傾向があります。

出典:退職給付(一時金・年金)の支給実態

退職金の種類とその仕組み

退職金の出る企業もあれば出ない企業もあり、退職金と言うのは法律による制度ではないため決まりはないということを上記にて紹介させていただきました。

しかし、上記で紹介したことが退職金の全てではありません。

退職金は、大まかに分けて3種類の制度に分けられています。

ここからは退職金の3つの種類とそれぞれの仕組みについて詳しく解説していきます。

1.退職一時金制度

退職一時金制度と言うのは、従業員が自己都合や定年で退職される際に一括で退職金が会社側から支給される制度のことです。

一般的に、労働協約もしくは就業規則における退職金規程で定められた内容に基づき支給されるものです。

退職するまでに規定の変更がない限りは、企業側の経営状況に関係なく支払いが確定されます。

確定給付企業年金と言った制度へ移行する企業も中にはあります。

2.退職年金制度

退職年金制度は、年金制度などを活用して一定期間もしくは生涯に渡って給付を行う制度です。

基本的には、退職一時金制度か退職年金制度のどちらかという企業がほとんどですが、大企業などの場合、両方の制度を適用給しているという企業も存在します。

ただし、退職金制度自体は昨今では見直す企業や制度を廃止する企業が出てきていることもあり、時代にそぐわない制度とも批判されています。

3.前払い制度

退職金前払い制度とは、退職時に支払われる退職金を在職中に前払いで支払われる制度です。

退職金と言うのは、通常ならば勤続年数や在職中の給与額によって決定され退職時に支払われます。

それを、月々の給与に上乗せする形で支払っていくのが、退職金前払い制度なのです。

介護職における退職金の相場と平均額

ここでは、介護職がもらえる退職金の相場を紹介していきます。

どれくらいもらえるものなのか、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。

東京都産業労働局が公表している退職金相場

下の表は東京都産業労働局が公表している『医療・福祉関連のモデル退職金』です。

最終学歴 勤続年数 退職金支給額
(自己都合退職)
退職金支給額
(会社都合退職)
高校卒 1年(19歳) なし なし
3年(21歳) なし なし
5年(23歳) 32万円 27万9,000円
10年(28歳) 57万6,000円 46万1,000円
15年(33歳) 79万8,000円 56万7,000円
20年(38歳) 114万6,000円 84万1,000円
25年(43歳) 151万7,000円 113万6,000円
30年(48歳) 193万円 147万3,000円
35年(53歳) 246万2,000円
高専・
短大卒
1年(21歳) なし なし
3年(23歳) なし なし
5年(25歳) 20万6,000円 31万4,000円
10年(30歳) 58万5,000円 74万1,000円
15年(35歳) 108万円 127万6,000円
20年(40歳) 170万8,000円 189万9,000円
25年(45歳) 240万1,000円 259万4,000円
30年(50歳) 322万2,000円 338万6,000円
35年(55歳) 456万7,000円 456万7,000円
大学卒 1年(23歳) なし なし
3年(25歳) なし なし
5年(27歳) 24万8,000円 34万5,000円
10年(32歳) 64万4,000円 77万8,000円
15年(37歳) 114万円 130万8,000円
20年(42歳) 175万円 191万3,000円
25年(47歳) 241万5,000円 258万円
30年(52歳) 319万円 333万1,000円

出典:中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)|東京都産業労働局

福祉医療機構の「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」が適用される場合

福祉医療機構の「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」の場合、勤続年数と退職金は下の表のようになります。

勤続年数 退職金
5年(退職時本俸月額20万円) 49万5900円
10年(退職時本俸月額22万円) 114万8400円
15年(退職時本俸月額26万円) 269万7000円
20年(退職時本俸月額28万円) 572万4600円

出典:社会福祉施設職員等退職手当共済制度について | WAM

5年間の勤務で退職時の月額給与が20万円の人なら退職金が49万5900円、10年間の勤務で退職時の月額給与が22万円の人なら114万8400円退職金が支給されています。

勤続年数が長くなるほど受け取れる退職金支給額が増えるのがわかります。

あくまでも普通退職の場合のシミュレーションですので、目安としてお考えください。

退職金の平均支給額

退職金と一口に言っても、勤続年数や退職理由、学歴によって、支給される額が大きく変わるのはご存知でしょうか?

ここでは、その辺の事情も含めて退職金の平均支給額を紹介していきます。

退職理由と学歴別の平均退職金額

下の表が退職理由ごとの退職金の平均額を学歴別にまとめたものです(勤続25年以上で45歳以上の退職者のデータ)。

退職理由 大学・大学院卒 高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職・現場職)
定年退職 1983万円 1618万円 1159万円
会社都合退職 2156万円 1969万円 1118万円
自己都合退職 1519万円 1079万円 686万円
早期優遇退職 2326万円 2094万円 1459万円

退職理由別に見ると、「早期優遇退職>会社都合退職>定年退職>自己都合退職」の順でもらえる退職金が多くなります。

早期優遇退職とは
会社の業績悪化等により、従業員が定年前にやむなく退職することことです。

希望退職とも言い、従業員が退職することに応じれば、退職金が上乗せされるなど優遇措置が取られます。

また、高学歴で非定形型の仕事(管理職やクリエイティブ職)に付いている人ほど退職金額が多くなります。

勤続年数・学歴別の平均退職金額

続いて下の表が、勤続年数と学歴別の退職金支給額の平均です。

勤続年数 大学・大学院卒 高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職・現場職)
20~24年 1058万円 462万円 390万円
25~29年 1106万円 618万円 527万円
30~34年 1658万円 850万円 645万円
35年以上 1897万円 1497万円 1080万円

勤続年数に比例して退職金の額が多くなる傾向があります。

出典:平成30年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

退職金の計算方法とは

企業を退職する際には、退職金が支払われる企業が多いです。

退職金を算出する方法には、いくつかの方法や制度があり企業によって異なります。

定額制の場合

退職金の定額制は、企業で勤務する年数で金額が決まる定額制度です。

定年時の退職金がおよそいくらになるか把握しやすい利点があります。

定額制のため、勤めた年数により決まった退職金が支払われます。

「定額制」の場合の計算例
勤続年数5年…30万円
勤続年数10年…50万円
勤続年数15年…120万円
勤続年数20年…200万円

勤続5年なら30万円、勤続10年なら50万円…というように、経過勤続年数により退職金の支給額が段階的に定められています。

役職の場合や、成果が芳しい社員には定額金額に上乗せがあるなど企業によって異なります。

退職金が出る会社は、就業規則や退職金規程に退職金に関する事項が記載されているので、お手すきの際に確認してみましょう。

基本給連動型の場合

基本給連動型の退職金は、名前の通り基本給に沿って退職金が上昇していくタイプとなります。

企業に長期にわたって勤務するほど、退職金も上がっていきます。

計算方法は次のような形式になります。

計算式
①退職時の基本給 × ②勤続年数に基づいた支給係数 × ③退職理由に基づいた係数
「基本給連動型」の退職金計算例
・勤続5年目(自己都合退職)
基本給 30万円×1(支給係数)×0.8(自己都合)=40万円

・勤続10年目(自己都合退職)
基本給 40万円×5(支給係数)×0.8(自己都合)=160万円

・勤続30年目(会社都合退職)
基本給 60万円×20(支給係数)×1(会社都合)=1200万円

退職する際の基本給に勤続年数を掛け合わせて、勤続した年数に応じた係数で乗算して算出する計算方法です。

自身の将来的な退職金がいくらになるか試算がやや難しい面があります。

別テーブル制の場合

別テーブル方式は、基本給などと連動せずに全くの別枠で退職金が算出される方法で、

  1. 勤続年数ごとに基準額を設ける
  2. 役職ごとの係数を設定する
  3. 退職理由(自己都合、又は会社都合…etc)

を掛け合わせて計算する方法です。

計算式
①基準額 × ②役職ごとの係数 × ③退職理由に基づいた係数
「別テーブル制」の退職金計算例
・勤続10年目、一般社員、自己都合退職
基準額80万円×0.8(役職)×0.8(自己都合)=51万2,000円

・勤続20年目、課長、会社都合退職
基準額200万円×1.1(役職)×1(会社都合)=220万円

・勤続30年目、部長、自己都合退職
基準額300万円×2(役職)×0.8(自己都合)=480万円

企業を退職する際の基本給と連動せず、退職金は別枠で計算されるという特徴があります。

退職時の退職金額が分かりやすい特徴があります。

ポイント制の場合

退職金のポイント制は、企業に勤めた年数や役職期間などポイント制にして、年単位でポイントを付与する方法となり、

  1. 勤続ポイントを設定する(勤続年数1年あたりのポイント×勤続年数)
  2. 役職ごとのポイントを設定する(役職ポイント×役職在籍年数)
  3. 退職理由(自己都合、又は会社都合…etc)
  4. ポイント単価を設定する

というように、1ポイントの単価を設定し、ポイント数に単価を乗じて退職金を算出する制度です。

計算式
①(勤続年数1年あたりのポイント×勤続年数 + 役職ごとのポイント×役職在籍年数) × ②退職理由に基づいた係数 × ③ポイント単価
「ポイント制」の退職金計算例
・勤続10年目、一般社員、自己都合退職
(10ポイント×10年)×0.8(自己都合)×1万円(ポイント単価)=80万円

・勤続20年目、課長、自己都合退職
(10ポイント×20年+課長5ポイント×4年)×0.8(自己都合)×1万円(ポイント単価)=176万円

・勤続30年目、部長、会社都合退職
(10ポイント×30年+課長5ポイント×8年+部長20ポイント×5年)×1(会社都合)×1万円(ポイント単価)=440万円

勤続年数で加算される勤続ポイントと、役職や能力で付与される職能ポイントの2つのポイントを付与する企業が多いです。

ポイントで確認できるため、退職金も把握しやすいです。

退職金はいつ、どのタイミングで支払われる?

退職金の支払いや支払い日については法律で義務付けられているわけではありません。

ただし退職金のある事業者は就業規則に支払日を明示しなければならないという決まりがあります。

以下のような記載がありますので確認してみましょう。

記載例
「退職金は、支給事由の生じた日から◯か月以内に、退職した労働者(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う。」

一般的には退職の1~2ヶ月後に振り込まれることが多いようです。

決められた支払日を過ぎても支払われない場合、請求することができます。

請求があった場合、7日以内に支払わなければならないと労働基準法で定められています。

退職金にかかる税金

退職金は「退職所得」として扱われ、税制上ものすごく優遇されています。

「退職所得控除」の金額を多く取れるため、税負担がものすごく軽く済むのです。

退職所得控除額は以下のように計算されます。

▼退職所得控除の計算式

勤続年数(A) 退職所得控除額
20年以下 40万円×A(80万円に満たない場合は、80万円)
20年超 800万円+70万円×(A-20)

勤続年数が長くなるほど控除額が増えるしくみですね。

例えば、勤続年数が30年退職金が1,000万円の場合は、

計算例
800万円+70万円×(勤続年数30-20)=1,500万円(退職所得控除額)

となり、この場合退職金が1500万円を超えなければ、税金は一切かかりません。

ゆえに退職金1,000万円を丸々受け取れることになるのです。

源泉徴収を行っている企業であれば、自ら確定申告をする必要もなく、その他に申請することは何もありません。

最初から源泉徴収された状態で退職金を受け取ることになります。

介護業界の退職金について

社会福祉法人・医療法人と民間企業の違い

最初に解説しましたが退職金とは法律の制度ではないので退職しても出ない職場もあります。

こういった点で後悔しないように、退職金の有無については事前に調べておくべき点でもあるわけです。

退職金が支給される事業所というのは基本的に公にはされていないところが多い、厚生労働大臣によって医療法人に認可されてるような介護施設なら、退職金も期待できる傾向があるといえます。

その逆に、民間施設の場合だと、その差が大きく何も支給されないところもあれば、良き待遇のところもあるので、どちらの退職金が高額であるかを述べることは困難といわざるを得ないのです

近年においては、きつい、辛い職場とされている介護業界に新鋭を招きたいとの意向から、待遇面での改善を行っている事業所も増加しているからです。

介護業界の退職金制度が弱いのはなぜ?

最初に解説しましたが退職金とは法律の制度ではないので退職しても出ない職場もあります。

こういった点で後悔しないように、退職金の有無については事前に調べておくべき点でもあるわけです。

退職金が支給される事業所というのは基本的に公にはされていないところが多い、厚生労働大臣によって医療法人に認可されてるような介護施設なら、退職金も期待できる傾向があるといえます。

その逆に、民間施設の場合だと、その差が大きく何も支給されないところもあれば、良き待遇のところもあるので、どちらの退職金が高額であるかを述べることは困難といわざるを得ないのです。

ただ近年においては、キツイ職業とされている介護業界も待遇改善を行っている事業所も増えています。

まとめ

以上介護士の退職金事情やその相場、平均額、もらえるタイミング等について紹介しました。

退職金のルールについては、基本的に「就業規則」や「給与規定」を確認すれば分かるので、もう一度確認してみましょう。

退職後の将来のためにも、就職や転職の際はしっかり退職金制度の有無を調べておくことが大切です。

また、その計算方法の特性上、勤続年数が多くキャリアを積むほど退職金が増えていく場合が多いです。

よりよい待遇を求めて転職するのもよいですが、コロコロと職場を変えるのではなく、就職を決めた会社に腰を据えて務め上げるのも将来設計のポイントと言えそうです。