近年、徐々にですが注目を集めている「音楽療法」について、
「どんなことをするのが音楽療法?」
「音楽療法と音楽レクとの違いは?」
など疑問に思っている方も多いです。
そこで今回は、音楽療法の概要や、期待できる効果、そして音楽レクリエーションとの違いなど詳しくご紹介します。
これを読めば、音楽療法で期待できる効果などを知り、楽療法の魅力が十分に伝わるはずです。ぜひ読み進めてくださいね。
音楽療法の概要
音楽療法は、音楽を利用しながら意図的に、そして一人一人に合ったプランを立てながら進める療法です。
音楽療法の効果は注目されていて、医療や介護など福祉の分野でも取り入れる施設が増えています。
そもそも、音楽療法とは?
音楽療法とは、音楽を通して次の3つの効果を得られるというものです。
- リラックスや興奮といった感情の動き
- コミュニケーション能力を高め、人との関り方を学ぶ
- ストレスを軽減
音楽を聴いたり歌う、楽器に触れて自分を表現するといったことを、音楽療法士が専門的な知識を持って行うことで、個々の悩みや問題点を改善していく治療法です。
音楽療法の歴史
もともと、音楽がもたらす影響自体は大昔より知られていました。宗教や祭礼などがそうですね。
身近な部分では、校歌など全校生徒で歌うことで、心を一つにすることもできます。しかし、それは治療目的ではないものです。
音楽を治療として行ったのが、第一次世界大戦のアメリカの傷病兵に対いして行われたのが最初と言われています。
その後、アメリカ国内で音楽療法が本格的に導入されるようになり、米国音楽療法学会によって「認定音楽療法士」の資格ができました。
日本では専門職として、日本音楽療法学会認定の音楽療法士が活躍しています。
音楽療法が有効な人は幅広い
音楽療法が有効的な方は、子供から高齢者まで幅広いです。
わかりやすい対象としては、次の4つのような方が挙げられます。
- 病気を抱えている
- 精神的に疲れている
- PTSDなど精神的なダメージが大きい
- 療育
お友達となじめずふさぎがちであったり、精神的に不安定な子供などにも効果が期待できます。
音楽療法は大きく分けて4種類
音楽療法と言っても、音楽を聴くだけが療法の内容ではありません。
音楽療法は、主に次の4種類に分けられます。
- 能動的音楽療法
- 受動的音楽療法
- 個人音楽療法
- 集団音楽療法
能動的音楽療法では、主に歌やダンス、作曲など幅広く活動をし、健康状態の回復などをはかります。
受動的音楽療法は、音楽鑑賞などでリラクゼーション効果を高め、感情を表現したり緊張状態の緩和を目的として行います。
個人音楽療法は、音楽療法士と1対1で行う療法になり、その人に合わせた細かなケアを行うことが可能です。
そして、集団音楽療法は、5人以下もしくは50人程度の集団で歌やダンスなど音楽に関したさまざまなことを行い、協調性を養うなどといった効果が期待されています。
このような治療はすべて、受ける人の状態などを見極めながら音楽療法士と共に行われます。
活用の場や取り組みについて
音楽療法士の活動の場はさまざまで、主に次の3つがあります。
- 介護施設
- 病院
- 学校(支援学校含む)
介護施設では、認知症治療のリハビリや、集団生活でのストレスの発散などさまざまな目的として幅広く活動をしています。
医療現場では、手術前後の心のケアや精神科の診察と併用して行われたり、小児病棟ではこころの発達やケアなどを目的として行うことも多いです。
学校など特別支援学校では、歌や楽器に触れることで発達の促す療育効果や、協調性を身に着けさせることなどを目的として行われることがあります。
音楽療法のプロ!音楽療法士の資格とは?
日本では残念ながら、理学療法士などと比べると音楽療法士の認知度は低く、どうやって認定を受けるのか知っている人は少ないです。
しかし、アメリカでは社会的地位が確立された職業でもあり、ストレスを抱えやすい日本でもいずれ地位も確立されるでしょう。
そこで、音楽療法士の資格をどのように取ればいいのか、就職先など現状も踏まえてお話しします。
日本音楽療法学会などが認定
残念ながら、音楽療法士は国家資格ではありません。
日本音楽療法学会などから認定を受けて、資格を取得することが可能です。
日本音楽療法学会以外からの認定では、次の4つの機関からの認定でも資格取得が可能です。
- 全国音楽療法士協会
- 日本インストラクター技術協会
- 各認定機関主催の講習会に参加
- 音楽療法カリキュラムを大学などで受け、認定される
では、どのような流れで資格を取得することができるのか、見ていきましょう。
音楽養成講座や資格取得の方法
全部で5種類の音楽療法士の資格がありますが、日本音楽療法学会を例に、資格取得の方法などをご紹介します。
日本音楽療法学会では、音楽療法士の資格認定校の卒業生に対して認定試験受験資格を与え、筆記と面接試験受けて合格した者に音楽療法士(日本音楽療法学会認定)の資格を与えています。
音楽療法士までの簡単な流れとしては次のようになるので、確認してくださいね。
- 音楽療法士資格認定校で3年もしくは4年の教育を受ける
- 学校卒業後、資格認定試験を受験
- 音楽療法士の資格を取得
資格認定校は、3年制の専門学校と4年制の大学があります。
音楽療法士は、社会人でも取得することが可能な資格です。
「日本音楽療法学会などが認定」で紹介した認定講座を受講し、筆記と面接に合格をすることで資格を得ることができます。
音楽療法士に必要な知識や技術
音楽療法士と聞くと、音楽の専門的知識が必要なのは想像がつきますが、このほかにどんな知識や技術が必要なのでしょうか。
音楽療法士が求められる必要な知識と技術は、次の4つです。
- 音楽や音楽療法に関した技術や知識
- 簡単な医学的知識
- 福祉や心理学の知識
- 援助の技術
音楽療法士が携わる人は、高齢者や子供など、そして精神的にも疲れている方が多いです。
音楽的な知識や技術はもちろん、福祉や心理学に関した知識も重要になります。
音楽療法士だけでは就職は難しい
日本では、音楽療法士としてだけでは、就職することも生活をすることも難しいと言わざるを得ないです。
日本ではまだ音楽療法自体が、保険の適用などといった法の整備がまだ未発達な状態のため、非常勤としてもしくはアルバイトなどといった雇用形態で働いているケースがほとんどです。
就職先としてもなかなか見つけるのは難しいため、保育士や教員、そして看護師や介護職といった別の資格と合わせて取得し、就職をするという方が多いのが現状です。
こんなにある!音楽療法の効果とは?
今の日本は、目に見えずすぐに効果が表れることも少ないため、音楽療法の価値が理解されにくく、浸透しにくいという状況です。
しかし、音楽療法で得ることができる効果はたくさんあります。
音楽療法の効果についてお話しします。
内面的側面へのアプローチ
音楽療法で一番効果が表れるのが、精神・脳といった内面的なものです。
期待できるものとして、次の3つがあります。
- 不安や痛みの軽減
- 精神的な安定、脳の活性化
- リラクゼーション効果
痛みの軽減や精神的な安定を得ることで、自分からやってみようといった自主性や、ふさぎがちだった気分の向上などが期待できます。
音楽に合わせて体を動かすことで、表情も豊かになりコミュニケーション力を高めるなど、音楽療法には内面的にいい影響を与えるものが多いのです。
ソーシャルスキルを獲得すること
音楽療法が与える影響は、内面的なものだけではなく、生きていくための技術もあります。
生きていく技術というと、大げさに聞こえるかも知れませんが、主に次の3つのようなことを理解できるようになることが期待できます。
- 決められたルールは守る
- 挨拶をする
- 相手の気持ちを考え、言葉を発する
発達障害や精神的疾患などといった方の中には、生きていくための人との関り方を理解できないことで、周囲より誤解や中傷を受けることは少なくありません。
集団音楽療法などによって、人との関り方や協調性などを身につけ、社会性を養えるなどといった効果も期待できるのです。
まだまだエビデンスはとれていないことが課題
音楽療法士を国家試験にするべく、日本音楽療法学会などは働きかけ活動をしていますが、
- 期待できる効果に対するはっきりとしたデータ・論文がないこと
- 医学的な根拠が弱い
などといった理由から、なかなか国家資格までは先が長い状態です。
民間の資格よりも国家資格であることで認知度も大きく変わり、音楽療法を受ける人も増え、同時により専門性が高く、高度な知識と技術をもった音楽療法士が生まれることにもつながります。
音楽療法は認知症にも有効!
音楽療法は、音楽を聴く・歌うといったことで、脳への刺激も期待できリハビリの一つだといえます。
そのため、介護施設では積極的に取り入れている施設も多いです。
そこで、認知症にどんな効果があるのかお話しします。
リラックス・ストレス軽減
受動的音楽療法を受けることで、認知症によくある不安や緊張といった症状をなだめる効果が期待できます。
認知症の方の中には、緊張などによって妄想を起こし、攻撃的な言動を取るといったことがあります。
心地のいい音楽を聴くことで緊張をほぐし、心を開放してあげることで、こういった症状を和らげる可能性があるのです。
脳の活性化
能動的音楽療法によって、リズムにのって体を動かす、知っている曲を一緒に歌うなど、脳を刺激することによって、脳への血流が自然と増します。
認知症の方にとって、脳への刺激は重要です。
少しでもリズムにのって体を動かすことで、リハビリでもあり同時に楽しいというプラスの感情が生まれやすくなります。
自信を取り戻す
認知症は記憶障害の一種ですが、昔の出来事はよく覚えていたり、若い時に流行っていた歌は今でも歌えるといった方は多いです。
認知症の方の中には、どんどん忘れていく、認識できなくなっていく自分に不安や失望を覚えている方は少なくありません。
昔の歌を歌うなど、自分の中で“忘れていない”という事実を知ることは、自身にもつながります。
回想法的効果
自信を取り戻すことの延長線でもありますが、たった一曲の昔の音楽だけで、当時の情景が重い浮かび、いきいきとよみがえるという効果も期待できます。
何も理解できないとふさぎがちだった認知症の方が、音楽療法によって自分はどのように生きてきたのか再確認するきっかけにもなるのです。
思い出した若いころの自分が、活力を与えてくれることもあります。
アイスブレイク効果
認知症は、不安やどんどん忘れていく恐怖から孤独感が募り、心身ともに内にこもりがちになります。
他の人と交流をしたくても、コミュニケーションが上手に取れない、人と接するのが怖いといったことから避けてしまうのです。
音楽療法を通して、会話はなくても一緒にリズムに乗って体を動かし、歌を歌うことによって、少しずつ人との距離が近づき、心を開くきっかけになることもあります。
気持ちを表現することができる
思った言葉が出てこない、気持ちを伝えられないといった認知症の方は、ストレスを抱えやすく、時に爆発してしまうこともあります。
音楽療法によって大声を出して歌を歌う、楽器を鳴らすなどをしてストレス発散を促すことも考えられます。
また、演奏や歌で気持ちを表現することもでき、膨れ上がる感情のエネルギー発散に役立つでしょう。
音楽レクリエーションについて
介護施設では利用者の方が楽しめる時間としてレクリエーションの時間があります。
レクリエーションには物を製作したり、体操やゲームといったものがありますが、歌や合奏、音楽ゲームなどといった音楽を取り入れたものもあります。
レクリエーションの時間も区切りがあり、30分~1時間程度です。
音楽のレクリエーションとしては、簡単なものではみんなで歌詞カードなどを見て歌を歌うといったことがあります。
しかし長い時間唄い続けるのは疲れるので、ゲーム感覚なものを取り入れて歌を歌うといったものがあります。
例えば、歌詞のタイトルをカードに書きそれを利用者の方に引いてもらって、その歌を歌うといったもの。
また、歌に合わせて身ぶり、手振りをつけて唄うもの。(特に、「ふるさと」という歌は手ぶりなどがつけて唄う例が多くあり、多の利用者の方が歌詞がなくても歌えるもので良いでしょう。)
また、大きな歌詞のタイトルを作ったカードを利用して、スタッフなどが歌詞を唄ってかるた取りなどを行うなどがあります。
高齢者の方の好きな歌については、童謡や唱歌といったものから昔の歌謡曲といたものまで幅広くありますので、よく好まれる歌や季節の歌などを取り入れて唄うと良いでしょう。
またその歌から当時の流行の話題や当時はどうしていたかといった回想法などの手段として利用するのも楽しいレクリエーションとなるでしょう。
同じようで違う?音楽療法と音楽レクリエーションの違い
音楽療法と音楽レクリエーションは、同じような意味を持つと思われがちですが、実はこの2つは違うものになります。
ここでは、音楽療法と音楽レクレーションの違いについてお話しします。
対象者との関係性
音楽療法と音楽レクレーションとの違いには、対象者があります。
音楽レクリエーションは、大勢の人を対象に行うことが多く、個々を観察することが難しいでしょう。
音楽療法はあくまで、対象者と密接に寄り添い、ニーズに合わせて行うため、対象者との関係性が重要になります。
目的の違い
音楽レクリエーションは、「楽しむ」ということに重きをおいて行う、歌やダンスのイベントになります。
一方、音楽療法は「治療」です。音楽療法で楽しむことはもちろん重要ですが、楽しむだけでは治療ではありません。
音楽療法は、受ける人に合わせ音楽を効果的に取り入れて行う治療であって、イベントではないのです。
そのため、音楽療法中は、受けている方の状態などを細かく観察する必要があります。
観察し治療方針を固め、また音楽療法に生かすといった流れになるので、音楽レクレーションとは異なります。
音楽療法のつもり…実はそれ、音楽レクじゃないですか?
介護施設では、音楽療法として利用者をホールなどに集めて、大きなグループとして行うことが多いです。
一人一人の反応や表情、体の動きなどを細かく観察することが難しいため、個々の症状を軽減させるといった治療ができないのです。
そのため、音楽療法ではなく音楽レクリエーションになってしまっているケースは少なくありません。
音楽療法として成立するには、きちんと治療としてひとりひとりに向き合いながら、音楽を取り入れていく必要があります。
研究結果でわかること
音楽療法と音楽レクリエーションの違いについて、ドイツの介護施設で行われた研究があります。
117名の認知症高齢者を対象に、2つのグループに分けAは音楽療法、Bは音楽レクリエーションを受け、6週間後・12週間後のうつ症状の評価をしたのです。
その結果、うつ症状が軽減されたのはAの音楽療法を受けたグループでした。
もちろん、音楽レクリエーションも重要ですが、音楽療法士が一人一人と向き合い、治療をする方が効果的であることがわかりますね。
音楽療法の手順
では、音楽療法はどのように進めるといいのでしょうか。
ただ闇雲に始めても、結果音楽レクリエーションと変わりがなかったということになりかねません。
そこで、音楽療法を開始する手順からお話しします。
アセスメントを行った上で目標を定め、プログラムを決める
まずは、受ける側の状況を把握し、どのような音楽療法がいいのか、曲や使用する楽器などを決めていく必要があります。
そのためには、
- 対象者と会いヒアリングし評価する
- 家族や周囲とのも話し合いの対象者の情報を集める
といったことが重要です。
音楽療法はその人の状態や、改善したい点などを話し合い、どのように進めていったらいいのかプログラムをつくることからはじまります。
実施
プログラムができたら、今度は実施です。
プログラムに沿って、対象者の様子を観察しながら楽療法を行います。
音楽療法は内面的な治療目的が多いため、細かな表情などを見逃さないよう、ビデオなどで記録しながら行うことも多いです。
評価・改善
音楽療法実施後は、必ず評価をつけます。
記録したビデオを見たりしながら、次の4つのような内容を評価し、今後のためにプログラムの修正などをしていきます。
- 理解度
- 感覚
- 心理面
- 社会技能
音楽療法を受けた人も、可能であれば自己評価を行い、次の目標などを設定していくのです。
音楽療法の具体例
音楽療法といっても、対象者に応じてプログラムの内容は異なります。
基本的なプログラムの流れについてお話ししましょう。
児童向けプログラムの内容
児童に対しては、自閉症や発達障害など、療育として行うことが多いです。
児童によって多少異なる部分はありますが、主な流れとしては、次のようになります。
- 始まりの歌
- 発声
- 順番に楽器を使う、楽器で自分を表現
- みんなで活動
- 音楽療法士と一緒に打楽器をたたく
- リズムにのって体を動かす
- 終わりの歌
絵本や輪投げなど小道具を取り入れながら、音楽と関わっていくという流れが主流になります。
成人向けプログラムの内容
18歳から50歳くらいまでの成人を対象にした音楽療法では、ストレス発散などを重視した内容も含まれます。
- 始まりの挨拶
- 発声練習や歌を歌う
- リクエストに応じた歌唱
- リズムにのって体を動かす
- 歌唱・楽器
- 終わりの曲
成人向けのプログラムでは年齢層の幅も広いため、お互いに合わせる・譲るなどといった社会性を学んでいきます。
高齢者向けプログラムの内容
高齢者を対象に行われる音楽療法は、人とのコミュニケーションなどを踏まえながら行われます。
- 始まりの歌
- 出席の確認をリズミカルに行う
- 今日は何の日?などといった、時事問題の話題を不利、見当意識を確認します。
- 音楽に合わせて体を動かす
- 毎月決めたテーマの歌を歌う
- 歌や楽器などを用いて音楽に触れる
- 終わりの曲
出席の確認をリズミカルに行うことで、脳に刺激を与え活性化を促進します。
また、終わり際に来月のテーマの歌を伝え、今後も音楽療法を続けるよう意欲をつなげるようにします。
音楽療法はどこでやっているの?
音楽療法は、どこで行っているでしょうか。
日本で行われている音楽療法は、これからご紹介する主に4つの施設で行われています。
病院や施設
病院では、学校へ通うことが難しい小児科や、リハビリテーション科などで行われることが多いです。
小児科では、学校へ通えず人とのコミュニケーションがとりずらい子や、学校へ行けないことでふさぎ込んでしまう子も多くいます。
コミュニケーション能力を高め、ストレス軽減などといった目的で音楽療法を行うケースが多いです。
また、社会福祉法人やNPOなどが運営している、養護施設や発達支援施設など、福祉施設で行われています。
音楽教室
利用している施設や病院が音楽療法を行っていない場合、音楽教室で行っている音楽療法を受ける人もいます。
特に子供の場合、音楽を習いに行くという感覚で音楽療法を受ける人も多く、療育と併用して通っていることも多いです。
習いごと感覚で通うことができるので、抵抗を感じることが少ないのも音楽教室の特徴といえます。
訪問での音楽療法(数は少ないです)
数は少ないですが、音楽療法を訪問で行っている場合もあります。
身体が自由に動かせないなどといった理由で、施設や音楽教室へ訪れることができない場合、音楽療法を訪問で行っているところを探すといいでしょう。
訪問での音楽療法は、家族も含めコミュニケーションを取りやすく、和やかな雰囲気で行われることが多くメリットでもあります。
費用はどれくらいかかるの?
音楽療法は、今のところ保険適用外のため実費で支払うケースが多いです。
ただ、子供が療育目的など自動福祉法で定められた音楽療法を受ける場合は、国や自治体から助成金などがあります。
かかる費用の目安は次の表を参考にしてくださいね。
児童福祉法で定められた音楽療法の場合 | 700~1300円程度/回 |
---|---|
介護施設のレクレーションの場合 | 無料 |
病院もしくは音楽教室 | 3,000~8,000円程度 |
受ける方や、場所によって費用は異なるので覚えておきましょう。
まとめ
季節の音楽(童謡、唱歌)や流行歌を唄うことで、楽しい時間だったと思ってもらうことができるのが音楽療法の良いところです。
特に、認知症の方でも昔の歌や流行歌などは断片的でも覚えていることがあり、歌詞を見なくても歌える方が多いため、どんな方でも楽しめることのひとつです。
また専門的に定期的な音楽療法の場合は、計画的に新しいものを取り組む、覚えるといったこともできるため、みんなで何かを取り組むことで個人も頑張って参加することに繋がります。
また、好きな歌を唄うことで精神的安定効果のあり、夜がゆっくりと過ごせる、眠られるといったこともあるようです。
また人によっては会話が多くなって活性化されることもあるようです。このように体と心に喜びと楽しさがある音楽をうまく利用することで、単調な日常生活にメリハリができるのではないでしょうか。
デイサービスでの例
私の施設の音楽療法は人気があります。音楽大学を卒業された方が担当でされています。
補佐的なことはスタッフで行いますが、季節の歌やその時の話題や記念日などを関連した歌などを行います。
輪唱したりすることもあり、歌を唄われている時の利用者の方は笑顔が多くあります。また合奏などの楽器の演奏は主に打楽器を利用しますが、普段積極的に行動されない方でも自然にリズムに合わせて楽器を演奏して、一緒に掛け声をかけたりするため、自然と全体がリズムに合わせて動いているといった感じです。
また音楽療法の時間を使って新しい歌などを唄う場合は繰り返し、毎週行うことで利用者の方も覚えていきます。特に認知症の方は新しものを覚えるのが難しいとされていますが、音楽になるとそれが、自然と繰り返し毎回行うことで記憶となって定着されていくようです。
実際に利用されているご家族の方は「家に帰ってからは会話が多くなる」といったこともよく聞かれ、喜んでいただいている方が多いようです。利用者の方以外にスタッフも一緒に楽しんで行う時間ですので、そういったことも通じるのかもしれませんね。