転職する時に、ハローワークを利用する人も多いです。ここではハローワークの利用のしかたや行く前の準備、利用の流れについて、アドバイスを交えながら解説していきます。
ハローワークとはどんなところ?
ハローワークは厚生労働省が設置・運営する国の機関です。
ちなみに「ハローワーク」と言うのは愛称で、正しい名前は「公共職業安定所」と言います。
昔は「職安」と呼ぶ人も多かったです。
設置数 | 本所 436所 出張所 95所 分室 13室 |
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職員数 | 10,536人 相談員数 15,702人 |
ハローワークへ行く目的
ハローワークの利用者には以下2つの目的があります。
- 求職を探す
- 給付等の手続き
求職とはどんなことをいうのか、雇用保険による給付金にはどんなものがあるのか、まとめてみたいと思います。
1.求職
働きたい人が仕事を探すことを「求職」といいます。
一度就職した人が離職し、再就職するために行うのが「求職活動」で、求職中の人は「求職者」と呼ばれています。
求職に対して「求人」は、会社が人材を探していることをいいます。
ハローワークは事業主が求人の申し込みをする場所でもあります。
求職者はハローワークにある求人情報を閲覧し、気に入ったものがあれば応募して面接へと臨みます。
就職が決まれば、ハローワークでの求職は終了します。
2.給付等の手続き
給付等の手続きには次のようなものがあります。
- 基本手当(雇用保険・失業保険)の受給
- 就職促進給付
- 教育訓練給付
- 雇用継続給付
それぞれ詳しく見ていきましょう。
雇用保険(失業保険)の受給手続き
基本手当は、雇用保険に加入していた人が離職した場合に支給されます。
仕事を失ったことで生活が不安定にならないよう補助するもので、就労意欲があり継続的に求職活動を行っている人が対象となります。
受給するには、定められた日にハローワークに行って「失業状態であること」を申告する必要があります。
また、職業相談や求人への応募など「求職活動実績」も併せて報告することが求められます。
退職の理由によっては、給付が制限される期間があるので要注意です
就職促進給付の受給手続き
雇用保険を受給している人が仕事に就いた時、就職促進給付を受けることができます。
就職促進給付とは受給者の少しでも早い再就職を促すためのもので、以下4つのタイプがあります。
- 再就職手当
- 就業促進定着手当
- 就業手当
- 常用就職支度手当
それぞれの手当が支給されるタイミングは以下のとおりです。
・就業促進定着手当は再就職先の賃金が前よりも少ない時
いずれも支給にあたっては、雇用保険(基本手当)支給期間の残り日数・対象者・就職先の雇用条件など要件を満たす必要があります。
関連記事:⇒再就職手当とは?手当をもらうための条件やメリット・デメリット
教育訓練給付の受給手続き
雇用保険に一定期間加入している人が、新たな資格取得やスキルアップのために教育訓練を受ける時、その費用を一部助成するのが教育訓練給付です。
在職者の可能性を広げ、長く安定して仕事を続けることと、離職者の再就職に役立てることが制度の目的です。
教育訓練給付の対象となるのは、厚生労働大臣指定の講座に限られます。
一般教育訓練では、主に下の項目に関連した講座が指定されています。
- 情報
- 事務
- 専門的サービス
- 営業・販売・サービス
- 社会福祉・保健衛生
- 自動車免許・技能講習
- 技術
- 製造 など
関連記事:⇒教育訓練給付金とは?資格取得講座を受けられて給付金までもらえる?
雇用継続給付の受給手続き
雇用継続給付は、雇用保険の加入者が在職中に受けることができる給付金です。
種類は3つあり、定められた要件を満たした人が対象となります。
- 育児休業給付
- 介護休業給付
- 高年齢雇用継続給付
▼育児休業給付・介護休業給付の対象となるための要件
育児休業または介護休業を取得した場合に支給され、育児や介護を理由に離職することのないよう雇用が継続されることを目的としています。
▼高年齢雇用継続給付の対象となるための要件
65歳までの雇用促進を目的とした制度です。
60歳をすぎても働き続ける人には「高年齢雇用継続基本給付金」、基本手当を受給して再就職した人には「高年齢再就職給付金」が支給されます。
初めてのハローワーク、持ち物や服装はどうしたらいい?
初訪問では「手続き」がメインなので、必要な持ち物は忘れないように気をつけましょう。
ハローワークは多くの人が利用しますので、服装や身だしなみのチェックは社会人として大切なマナーです
持ち物
- 履歴書
- 職務経歴書
- ノートと筆記用具
- ハローワークカード(求職登録済みの人)
- 雇用保険被保険者離職票-1、離職票-2
- 雇用保険被保険者証
- 印鑑
- 本人確認のできるもの
- 写真(3 × 2.5㎝程度)1枚
- 本人名義の普通貯金通帳
以上が、初めてハローワークを訪問する際の最低限の持ち物です。
書類を忘れないようにすることはもちろん、汚れたり、折れたりすることのないようファイルなどで保護すると安心ですね。
就職活動に必要なものは常に用意しておきましょう。
もちろんノートやペンなどの筆記用具も必須です。
ハローワークの職員と話した内容をメモするときに必要になります。
そのほかにも、「求職申込書」に記入が必要になる情報もあらかじめ用意しておきましょう。
詳しくは「求職申込書とは」で説明しているのでチェックしてみてください。
服装
ハローワークは公的機関です。
公的機関と聞くと堅苦しいイメージがあり、敷居を高く感じる人もいるかもしれません。
しかし行ってみるとわかりますが、ハローワークは特別緊張感の漂うような場所ではありません。
身近な市役所のロビーや、図書館を想像してみてください。
大抵のハローワークは、そのような場所にブースが設置して、気軽に相談できる雰囲気になっています。
服装のNGラインも厳しくないので、普段着に近いスタイルでも問題ありません。
出典:
・ハローワーク飯田橋
・久留米市公式ホームページ
実は面接会場?ハローワークの窓口
普段着でハローワークに行くのはOKです。
ただ、どんなファッションが「普段着」かは、人によって感覚がちがうもの。
無難で目立たない服を普段着にしている人もいるし、派手でキラキラな服が普段着の人もいますね。
そこで気をつけたいのは、ハローワークでは「カジュアルすぎる軽装」は避けた方がいいということです。
初訪問日の服装が、そのまま自分の第一印象になるからです。
ハローワークで見つけた企業との面接を取り次いでくれるのはハローワークの職員になります。
求職者は、企業の人事担当者に会う前に、ハローワークの職員に様子をチェックされていると思っておく必要があります。
また、2回目以降の訪問(求職活動)で、気になる求人に応募した時に、事業主から「すぐに面接したいので今から来てほしい」と言われる可能性もゼロではありません。
いつも「他者の目を意識した服装」を心がけていると、慌てずに対応することができますね。
自分の担当した求職者が、紹介した企業の面接で落とされないように、なるべく採用してもらえそうな企業へ紹介しようと考えるでしょう。
へりくだったり、余計に緊張をする必要はありませんが、ハローワークの職員にはなるべく好感をもってもらい、味方になってもらうこと。
それもハローワークを活用する上で重要となります。
初めてハローワークに行くのですが、緊張と不安でいっぱいの場合の対処法
ハローワークに行ったことがないと、
「ハローワークはどんなところなんだろう」
「もしかして無理やり仕事を決められてしまうのだろうか」
などと、不安に思ってしまうかもしれませんが、安心して下さい。
ハローワークはあなたの味方です。
職員の方たちがあなたの就職までの道のりを強力にサポートしてくれる場所です。
求職活動をどのように進めたらよいか、希望条件に適した求人案件の紹介など、分からないことや求職活動していく上での、不安なども親身に解決へと導いてくれます。
特に緊張や不安を感じる必要はありません。
安心してハローワークを活用し、求職活動をしていきましょう。
求職時におけるハローワーク利用の流れ
ハローワークを利用して求職活動を行うには、まず求職の申し込みをして求職者登録を行うことから始まります。
下記は、初めてハローワークを訪問した日の流れです。
- 総合案内で受付
- 求職申込書に必要事項を記入
- 求職者登録完了
- ハローワークカードの発行
ハローワークの職員と個別に面談し、求職者登録とともに雇用保険の手続きもあわせて行います。
所要時間は30分~50分ほどですが、利用者が多い場合は待ち時間が長くなることも予想されます。
訪問予定日には余裕のあるスケジュールで行動することをおすすめします。
求職申込の手続きについて
初めての場合は、まず案内窓口に向かいましょう。
さきほど説明した求職申込書の記入と提出を案内されます。
求職申込書を提出して受理されると、引き換えにもらえるのが「ハローワークカード」です。
カードには求職者の氏名や求職番号が書かれてあります。
その人の求職情報がハローワークに登録されたことの証明書になります。
出典:ハローワークカードとは?|ハローワーク利用案内
2回目以降は忘れずに持参しましょう。
求職申込書とは
求職申込書の用紙は、ハローワークに行けばもらえます。
- 氏名、住所、電話番号、メールアドレス
- 希望の仕事
- 希望する就業形態、収入、勤務時間
- 学歴、職業訓練などの受講歴
- 職歴
- 前職の勤務先
- 登録内容を公開するか
- ハローワークからの連絡を希望するか
求職申込書に書かれた内容は、「求職票」に反映され、ハローワークの職員がこれをもとに求職者の就職活動をサポートすることにもなっています。
なので、求職申込書の中身を正確に書き込むこは、就職活動の第一歩として重要なことです。
求職申込書の様式や記入例を事前にチェックしておくことをおすすめします。
ハローワークのウェブサイト「ハローワークインターネットサービス」でそれが可能だから、しっかりと目を通して、準備しておきましょう。
求職申込書 -ハローワーク
ちなみに、求職申込書のほかに、「求職公開申込書」の記入をすすめられることもあるかもしれません。
求職者側から求人を探すだけでなく、企業側からオファーをもらうための仕組みです。
仮登録しておけば、当日の手間が省けて便利です。
仮登録日を含む1週間以内に窓口での確認を経て本登録となるので、仮登録したからといって、いきなり自分の情報が企業に公開されるわけではないのでご安心ください。
また、インターネットから求職者マイページを作っておくとネットから求人を検索できるようになります。
メールアドレスを登録し、求職者マイページの開設しておけば、早期就職を目指せますよ。
参照:求職者マイページ仮登録 -ハローワークインターネットサービス
ハローワーク、求職における2回目以降の訪問について
通常は「求人情報提供端末」の前に座ることになります。
タッチパネル式のパソコン画面を操作して、求人情報を検索します。
ハローワークに集まっている求人情報は、実は、家のインターネットにつながっているパソコンなどでも、見ることができます。
「ハローワークインターネットサービス」にその入口があります。
ハローワークカードをもっている登録者の場合、求職番号を入力することで、下記の両方がインターネットで閲覧可能となります。
- ハローワークに登録している求職者限定の情報
- 登録していない人にも提供されている情報
雇用保険(失業保険)の受給手続き時におけるハローワーク利用の流れ
退職した会社から離職票が届いたら、できるだけ早めに管轄のハローワークへ行き、手続きを行いましょう。
手続きが遅くなるとその分、失業手当の給付も遅くなります。
ここでは、ハローワークでの雇用保険(失業保険)の受給手続きの流れについて紹介します。
無職期間はお金の不安がつきものですので、早めにハローワークへ行き、手続きすることをおすすめします。
1.ハローワークに提出する持ち物を準備する
ハローワークに行く際には、先述の『持ち物』の「雇用保険の受給も一緒に行う場合」で紹介した持ち物を準備し、忘れずに持参しましょう。
2.ハローワークに持ち物を提出し、求職の申込みをする
ハローワークに到着したら、受付で「初めてです」と伝えましょう。
受付の担当者が必要書類の書き方や流れを、わかりやすく説明してくれます。
提出する書類の求職申込書に、希望する仕事の職種や条件などを記入します。
学歴や資格、これまでの職歴などの記入もするので、覚えていないと慌てることになります。
分かりやすくまとめたものを作っておくと、スムーズに記入できるのでおすすめです。
ハローワークの職員は提出された書類を見ながら下記内容を確認し、受給できるかどうかを決定します。
3.離職票の提出日から「7日間の待機期間」を経る
離職票を提出し手続きを済ませてから、7日間の待期期間があります。
待機が経過した翌日(給付制限がある場合は、さらに給付制限期間経過後)から、引き続き失業の状態にある場合、基本手当の支給対象となります。
4.雇用保険受給説明会と失業認定日にハローワークへ出席する
手続きの時に、雇用保険受給説明会の日時が案内されますので、必ず出席します。
また、初回認定日と時間も案内されますので、忘れないように出席しましょう。
5.以降は4週間に1回の頻度で失業認定日にハローワークへ出席する(毎回、出席してから約1週間後に給付される)
4週間に一度、認定日が来ますので認定日までに、求職活動実績が必要になります。
求職活動実績が不足していると、失業手当の給付が受けられなくなってしまいます。
積極的に求職活動を行い、実績を作ることが必要です。
関連記事:⇒雇用保険(失業手当)のもらい方・受給額を伸ばす方法をチェック
求人案件をより賢く探す方法
求人情報提供端末を利用する際に、求職条件を詳しく入力せずに検索すると、より多くの情報を得ることができます。
応募してみたい求人があったら、条件に合わなくてもダメ元で相談してみることも、求職活動のポイントです。
「年齢の幅を広げて検索しよう!良い求人を探すコツ」
インターネットや、ハローワークの端末で求人情報を検索するときのコツをひとつお教えします。
それは年齢制限についてです。
年齢制限をかけての募集は、法律によって、実は禁止されています。
あくまでこれは原則です。例外事由が認められると可能になりますので、実際には年齢制限を設けてある求人も少なくありません。
そこで、年齢がネックと思う方の場合、まずは5歳程度若くサバを読んで検索してみましょう。
ただ、5歳程度の年齢差であれば、スキルもキャリアもない人材より、どちらもちゃんと備えている人材を欲しがるのが普通だといえます。
そして、ハローワークの求人情報提供端末で検索していて、「年齢制限にはひっかかるんだけれど、自分の経験やスキルがあれば十分活かせそうだ。面接してもらいたいな」と、思えるような求人が見つかれば、迷わず窓口の職員に相談するといいでしょう。
年齢制限を超えていても、面接を受けて、そのままめでたく就職内定ということも無きにしもあらずです。
「この人をぜひ面接してあげて」という職員の「推し」が大事になってくることが多い側面があります。
ハローワークで求職する場合は、職員への前向きなアピールも意識したほうがよいです。
転職エージェントとの併用をする
ハローワークで求職活動を始めた人には、転職エージェントも併せて利用することをおすすめします。
自分に合った求人を見つけるには、より多くの情報を集めることが重要!
ハローワークでは得られない情報があるのも転職エージェントのメリットです。
特定の職業に特化した求人サイトも数多く、業界ならではの情報が満載です。
ハローワークでは職業相談の担当者が毎回変わりますが、転職エージェントでは専任のスタッフがいるので安心できます。
希望に合った求人探しや面接のサポートなど、きめ細かいサービスが受けられます。
転職エージェントとハローワーク、それぞれの「いいトコどり」をして、フレキシブルな求職活動をしていきましょう!
子育てしながら働くママさんは「マザーズハローワーク」を活用する
マザーズハローワークでは、小さな子どもがいる方の求職活動をサポートしています。
子育て中の利用者に特化しているので、仕事を探しているママ&パパに寄り添ったサービスが受けられます。
マザーズハローワーク | 21ヶ所 |
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マザーズコーナー | 173ヶ所 |
- 求職者数…約22.1万人
- 就職件数…約7.4万件
マザーズハローワークの特徴について、以下にわかりやすくまとめてみました。
- 周囲の視線を気にせず、子連れでハローワークを利用できる
- 子育て中のママに理解のある職場を紹介してもらえる
- 子どもを預かることができるので、安心してセミナー等を受講できる
- ベビーカー同伴でもOK!
- 子育て中でもできる仕事を探したい
- 保育施設や子育て支援サービスの情報を知りたい
- 再就職したいけど不安!話を聴いてほしい
このように感じている方は特に、マザーズハローワークをお勧めします。
同じ目線にたって、よりいい解決策を一緒に考えたり提案したりしてもらえるでしょう。
マザーズハローワークがハローワークと違う点
マザーズハローワークとハローワークの違いは以下3つになります。
- 子育てに理解のある会社の情報が得られる
- 事業所内保育所や託児所のある会社を紹介している
- 家庭の事情をふまえて仕事を探すことができる
マザーズハローワークがない地域でも、「マザーズコーナー」が併設されているハローワークがあるので、同じような支援が受けられます。
ハローワークを利用できることは、私たちの権利です
毎月支払われる給与明細で、給料から差し引かれているものの中に「雇用保険料」というものがありますよね。
この保険の役割の一つが、私たちが職を失ったときの援助にあたります。
つまり、私たちはハローワークに通い、援助を受ける権利があるのです。
ハローワークの役割やサポート内容を理解し、転職エージェントと併用して利用することで、より多くの情報を得ることができ、また企業の選択肢も広がります。
手段を1つに絞らずに視野を広げることが、転職成功の道へつながる可能性をさらに広げることになります。
ぜひ参考にしてみてくださいね!