長く続く不景気ですっかり公務員は人気の職業の地位を確立しました。公務員の場合、まず勤務先がなくなるということはない絶対的な安心感が根強い人気の理由です。
さらに労働組合も強いので、よほどのことがない限りクビになる可能性も低いと言われています。
またカードローンやクレジットカードの審査でも、公務員が最高評価を受ける職種とも言われます。
ところでこの公務員、新卒でないとなれないというイメージを持っている人もおおいのではないでしょうか?
しかし自分の住んでいる自治体のホームページなどをチェックしてみてください。
既卒者対象の求人もたくさん出ていると思います。
既卒者対象の試験も活発に実施されていますし、民間企業で実務経験を持っている人を、即戦力として採用する傾向も見られます。
転職して公務員を目指す人のために、公務員転職の条件などを紹介していきたいと思います。
【結論】公務員への転職は59歳まではチャンスがある
公務員への転職はもう年齢的に無理だと考えていらっしゃる方も多いかもしれません。
実は59歳までは転職のチャンスがあるということをご存知でしょうか。
公務員の採用枠には「一般枠」以外にも「経験者枠」という選択肢があり、これまでの社会人としての経験を活かして公務員に転職ができる可能性があるのです。
詳しい条件や実際の採用状況などについてお話ししましょう。
「一般枠」とは
一般枠には以下のような特徴があります。
- 30歳までという場合が多いが、稀に35歳まで受験可能。自治体や職種によって差がある。
- 一般的には最終学歴は問われないことが多い。
- 職歴・社会人経験は問われない。
- 採用人数は「経験者枠」と比較すると多めだが、新卒の学生と同じ試験であり、新卒の学生とも競い合う必要がある。
基本的には年齢条件さえクリアしていれば受験が可能な枠であると言えます。
条件に示されている年齢は受験時の年齢ではなく、採用年の4月1日時点での年齢となります。
せっかく勉強したのに年齢の条件を満たしていなかったなどということがないよう事前にしっかりと調べておきたいですね。
ただし最近の傾向として、年齢上限を緩和する動きがみられています。
「社会人経験者枠」とは
規模の大きな自治体を中心に増え始めている「社会人経験者枠」の公務員試験には以下のような特徴があります。
- 30歳以上という下限が設定されている中には59歳まで受験可能な自治体もある。
- 企業などで1年〜10年程度の職務経験がある人を対象。
- 経験者枠の中でも地方公務員、国家公務員の経験者採用枠に分かれている。
- 受験要件は地方の自治体によって異なる。
- 数人の採用なので倍率は「一般枠」よりさらに高めの傾向がある。
公務員を目指す理由には、収入のアップや安定、現在の職場への不満などが挙げられがちですが、社会人経験者枠を目指す人たちの場合は必ずしもそうとは限らないようです。
中には現在の仕事に対して十分な達成感を感じているにもかかわらず
「新たなことにチャレンジしたい」
「残りの人生を地域に貢献することに費やしたい」
などの理由で志す人もいます。
また採用される基準にも社会人経験者枠ならではの特徴があります。
必ずしも高学歴で社会的な地位が高い超エリートが採用されるというわけではありません。
確かに狭き門ではありますが、多くの人にチャンスがあるというとらえ方もできるかもしれませんね。
募集されている求人の業種や、主な職務内容の一例は下記となります。
試験職種 | 採用予定人数 | 主な職務内容 | 主な勤務地 |
---|---|---|---|
設備 | 3人 | 県有施設の電気設備・機械設備等に関する設計・積算、発注・ 契約、施工監理など | 都市整備部、企業局、 産業労働部、下水道局等の本庁各課又は浄水場など |
総合土木 | 5人 | 道路・河川・都市計画・上下水道・農地・農業水利施設等に関する企画・設計・施工監理等の業務 | 県土整備部、都市整備部、農林部、企業局、下水道局等の本庁各課 又は県土整備事務所など |
建築 | 2人 | 建築指導、都市計画に関する企画、県有施設の設計・施工監理 等の業務 | 都市整備部、病院局、 教育局等の本庁各課又 は建築安全センターなど |
公務員採用試験の内容詳細
それでは試験の内容の違いはどういったものになっているのでしょうか。
詳しく見ていきたいと思います。
一般枠の試験について
第1次~3次試験まであり採用先により試験構成は異なりますが、その一例をあげると下記のようになります。
- 第一次試験(教養試験・書類選考・論文試験)
- 第二次試験(面接試験1 個別面談)
- 第三次試験(面接試験2 個別面談)
社会人経験者枠に比べて試験自体は出題範囲が広く難しい傾向があります。
社会人としての経験が浅く、学生時代に学習した知識がまだ活かせる年齢の人には向いていると言えるでしょう。
社会人経験者枠の試験について
一般的には下記の4つの組み合わせが多くなっています。
- 教養試験
- 小論文
- 経験者論文
- 面接試験
自治体によってはさらに以下の試験が追加されることもあります。
- 集団討論
- 適性検査
- 口頭試問
試験内容の詳細は自治体のホームページなどを参考にするとよいでしょう。
個々の問題についてみてみると、教養問題は難易度も内容も自治体ごとに個々の特徴があるため個別の対策を練る必要がありそうです。
また、論文試験では、自治体が抱える問題について、これまでの社会人経験をどのように活かせるか問われる問題が出題される傾向があります。
その他の注意点
公務員には一般行政事務などの他にもさまざまな職種が存在します。
外務省・財務省・法務省・国税庁などの国家公務員の専門職は「大卒程度試験」と「高卒程度試験」に分かれています。
複数併願ができない場合がありますので注意が必要です。
技術系(土木・建築・機械・電気電子・化学・農業・林業など)の場合は専門試験でそれぞれの分野に関する問題が出題されます。
少しマイナーな職種の「警視庁」や「財務捜査官」について
公務員に転職するためには、まず公務員試験を受けなければなりません。
公務員試験を受験するにあたって、年齢の規定があります。
年齢の上限は試験によって違います。
主要な受験年齢については以下になります。
職種 | 年齢上限 |
---|---|
警視庁特別捜査官(財務5級) | 59歳未満 |
警視庁技能職(一般用務) | 50歳未満 |
東京1類(保健師) | 39歳未満 |
東京都庁 経験者(主任) | 36歳未満 |
東京都キャリア活用 | 59歳までの方 |
最高齢は、警視庁特別捜査官・財務捜査官5級職というもので59歳未満の人は受験可能です。
こちらの試験に合格すると、警部扱いになります。
ただしこちらの試験を受けるためには、他にも条件がいくつかあるので注意してください。
公認会計士の資格をもっていて、8年以上の実務経験がある、もしくは税理士資格をもち10年以上の実務経験を持っている人が対象になります。
財務捜査官
財務捜査官というのは一般的には聞き覚えのない職種ですよね。
詐欺事件をはじめとする財産犯罪や粉飾決算に代表されるような商法違反の事案に関して捜査をする仕事になります。
会社などに強制捜査に入るシーンがテレビなどでも放映されるまずが、このような仕事を担当する人たちと思ってください。
特別捜査官
特別捜査官には科学捜査官やコンピューター犯罪捜査官があります。
インターネットの普及により、コンピューターを使った犯罪というのがよく取り上げられるます。
コンピューター犯罪の捜査をする人材は、今後ますます重要になるのではないでしょうか。
公務員に採用された場合の給料はどのくらい?
就職後でも既卒でも公務員になるチャンスはあります。
公務員への転職を検討している人の中で気になる点として、給料がどのくらいかも外せませんよね?
公務員の給料は民間企業より多く、より安定した地位を獲得できるメリットもあります。
公務員に転職すべきかどうかは、給料やそのほかの面もトータルで見て慎重に判断しましょう。
転職するときには給料だけを見るのではなく、福利厚生の条件がどのようになっているかも慎重に検討した方がいいでしょう。
公務員の退職金はどのくらい?
公務員の人気の秘訣は、その職の安定に加え、高い退職金にあるともいえます。
公務員は国家公務員と地方公務員の大きく2つに分かれていますが、その数は全体で約330万人を超えています。
そして、その8割に当たる275万人が、都道府県や市町村の自治体に所属する地方公務員で、公務員のほとんどは地方公務員という構図になっています。
■気になる国家公務員の退職金は…
平均2,100~2,300万円
県や市によって若干のバラつきがあるようですが、地方公務員もだいたい同額の退職金を受け取ることができるようです。
しかし気をつけないといけないのが、途中で退職した場合の退職金は大きく変わるということです。
これは公務員の退職金の計算出方法によるもので、仕方のないことですが転職を考えているなら覚えておきましょう。
- 60歳の定年退職…約2,300万円
- 40歳の途中退職…約750万円
半分の年数を勤務したとしても、受け取れる退職金は半分にも満たない金額になります。
これを考えると、公務員は、定年退職まで勤める方が得策ですね。
安定だけを求めて公務員になってはいけない
公務員の最大の魅力といえば、安定度の高さになります。
多くの人が、この安定を求めて公務員を希望しているようですが、安定を手にすることだけを目的として公務員になった人の多くは、途中退職しているという現状があります。
これは公務員に限らず、普通のサラリーマンでも起こり得ることです。
「何のために仕事をするのか?」という大きなテーマの話になってしまいますが、仕事の選び方を間違えた就職は、安定度の高い公務員も含め、失敗する傾向があるので注意してください。
また、安定を求めるのなら、何をもって安定とするのかを、自分の中で明確にしておくべきです。
公務員は国や自治体が破綻するまでクビになることもないし、年齢を重ねる毎に給料も上がり、能力によって給料の差がでることも少ないです。
確かに安定はしていますが、その代償として、やりたくもない仕事を続け、それを定年まで続けるとすれば、それは長すぎると思います。
しっかり仕事への意識を固めて転職活動を行ないましょう。
まとめ
以上、公務員になるための年齢制限や採用条件等について紹介しましたが、疑問点は解消されましたでしょうか?
最後に、公務員への転職を考えている人が押さえておくべきポイントをおさらいすると、
- 社会人採用枠が規模の大きな自治体を中心に増えている
- 職種ごとの年齢上限も上がっていて受験しやすくなっている
- 安定を求める代償としてやりたくもない仕事を選ぶのは避けなければならない
の3点が挙げられます。
民間企業で働いた後に、中途採用への応募で公務員になることは可能だというのがわかりましたねす。
国家公務員や地方公務員が採用年齢の上限を引き上げていることで、以前よりも公務員職に就きやすくなっています。
公務員試験に合格のことは簡単ではありませんが、計画的に準備と対策を練れば、年齢に関係なく試験に合格する可能性はあります。
「しっかりと対策して公務員に転職したい」
という方は、このページの内容を参考にして、公務員への転職成功をギュッとつかんでみてくださいね。