介護施設を利用している方のなかには、日頃お世話になっている職員さんたちに差し入れをしたいと思うことがあるかもしれません。
こういった時には、どのようなものが喜ばれるのでしょうか。
施設ではこういった差し入れなどのお断りをするところもありますが、この場合はどうすれば対応すれば良いでしょうか。
介護施設への差し入れは必要?
施設でお世話になっている職員や、他の利用者に対して「感謝の気持ちを伝えるために贈り物・差し入れをしたい」と思う人がいるともいます。
しかし、原則として差し入れ・手土産などは贈る必要はありません。
介護施設を利用するにあたり、利用者またはその家族は一部ではありますが、サービス利用料を負担している、文字通り「利用者」です。
それ以上に何か物品をサービス提供側に贈る必要は無いからです。
施設としても、差し入れや手土産を辞退するケースがあります。
但し「お世話になっているから」と差し入れをしたくなる気持ちは十分に分かります。
では、どのような点に気をつければ良いか、以下注意点を記します。
【手土産の具体例】介護施設の差し入れはどんな物が喜ばれる?
基本的には差し入れやお中元、お歳暮といったものなどはお断りしているところが多いのですが、実際には受け取ってくれる場合があります。
では、どのようなお菓子が好まれるのでしょうか。
クッキーやヨックモックなど個別包装された甘い物
介護職員のなかには、女性が多いので甘いものは好まれると思われます。
1つずつ分けられた個別包装で、クッキーなどが無難で良いです。
休憩時間などで1人ずつ食べることができ、日持ちのするものだからです。
一般的に高齢者の方が喜ばれるものとしては甘いものは好まれます。
水ようかん・ゼリーなど
賞味期限のことを考えて、贈答用などの水ようかんなどは甘くて喉越しが良く、一つの選択肢だと思います
夏場、冷やして食べるようなゼリーは手軽に食べられるので喜ばれるでしょう。喉越しが更にマイルドなムース類なども食べ易く良いものですね。
男性の方は甘いものが苦手といった方もおられますが、大抵の場合は甘いものが好まれるようです。
特に小豆の商品などは非常に喜ばれるようです。
食べ物以外には、季節を感じさせるお花など置いて飾れるものが良いでしょう。
どちらにしても、余り高額にならない程度のものがおすすめです。
差し入れ・手土産に向かないもの
生菓子など日持ちしないもの
生菓子など、すぐに消費期限の持たないものは避けましょう。
高額な商品
また、高額なお土産や・金券など、もらう側が恐縮してしまうようなものは避けましょう。
もらう側によっては、他意・下心があると疑われる可能性があります。
介護施設が差し入れをNGにする5つの理由
介護施設のなかには、主に次の5つの理由で「利用者への差し入れを原則禁止します」としているところがあります。
- 差し入れしたものを自己管理できない
- 偏った栄養状態になりやすいため
- 自分の部屋にこっそり隠して腐ってしまい、それを食べることがある
- こっそり1人で食べた時に窒息の恐れがある
- 差し入れをもらっていない人の不満につながる
こちらとしては善意・ほんの気持ちを表す差し入れになりますが、受け取る施設側の考えというのがあるのです。
詳しく見ていきましょう。
1.差し入れしたものを自己管理できない
施設利用者さんの中には、物忘れのひどい方も多く、差し入れられたことをすっかり忘れてしまう事もあります。
また、個室だと冷蔵庫を設置していない場合も多々あります。
管理が難しいために差し入れNGにしていることがあります。
2.偏った栄養状態になりやすいため
介護施設では食事の栄養管理を厳密にしている場合があり、施設利用者さんの健康状態によっては
「偏った栄養状態になって肥満に繋がる」
「体調をも崩すことになりかねない」
というリスクがあります。
このような万一のトラブルを防止するために差し入れを断っているところもあります。
3.自分の部屋にこっそり隠して腐ってしまい、それを食べることがある
先程の「1.」でも述べましたが、生ものなど差し入れた内容によっては管理が難しい場合があります。
食べ物が腐っているかどうかの判断もできない施設利用者さんもいらっしゃいます。
腐った食べ物を食べてしまうリスクをなくすために差し入れNGにしているのです。
4.こっそり1人で食べた時に窒息の恐れがある
個室で目が届きにくかったり、ふと介護士が目を離した時に差し入れされたものを誤嚥(ごえん)してしまうリスクが有るためです。
5.差し入れをもらっていない人の不満につながる
特定の利用者にだけ差し入れされた場合、
「あの人はもらったのに私だけもらっていない」
「なんで自分の家族は差し入れを持ってきてくれないんだ!?」
というように、利用者さんの不平不満に繋がる恐れがあります。
職員への差し入れが禁止される3つの理由
施設によっては次の2つの理由で「職員への差し入れ」も禁止している場合があります。
- 差し入れする・しないで、利用者対応に優劣ができないようにするため
- 家族の方と個人的に特別な感情が起こらないようにするため
などがあります。
差し入れする・しないで、利用者対応に優劣ができないようにするため
施設職員としては、差し入れの有無で利用者への対応が変わることはありませんが、そこは介護士も人間です。
個々人によっては差し入れされた家族の利用者への対応を他の利用者よりも手厚くしてしまう可能性は無きにしもあらずです。
家族の方と個人的に特別な感情が起こらないようにするため
施設利用者の家族としては「差し入れたのだから、対応が良くなって当然」と思う人がいるかもしれません。
こういった利用者家族の私情を仕事場に持ち込まないためでもあります。
無用なトラブルを未然に防ぐ理由で、施設によっては差し入れを禁止するところがあるのです。
一定の差し入れルールを設けている施設もある
禁止といっても全ての差し入れを禁止しているわけではなく、ある一定のルールを設けて差し入れを許可しているといったところがあります。
施設によって定めているルール例を示します。
- 面会の時に家族の方と一緒に食べることは良い
- 残ったものは持って帰る
- 事前に職員に言って職員に手渡し、おやつの時間になったら、通常のおやつに加えて、これが出される
大切なことは、あらかじめ施設職員に対して差し入れに関する相談をすることです。
職員へ差し入れする場合、利用者へ差し入れする場合、それぞれの対応を、事前に職員に相談・確認をすると良いのではないでしょうか。
差し入れ・手土産は事前に職員に相談のうえ、差し入れるようにしましょう。
感謝の気持ちを伝えることが大切
贈り物・差し入れを贈ることがだけが、感謝の気持ちを表す方法ではありません。
介護施設で働く職員さんや、他の利用者に対して、家族として感謝の気持ちを伝えることが大切です。
現に、介護職員の仕事のやりがいのなかには、利用者やその家族から「ありがとう」と感謝されることがあります。
人に感謝される仕事をしていると、職員のモチベーションにもなります。
何かを贈ることだけに固執せず、施設を訪問した際には、職員や利用者に対して「いつもお世話になっています、ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えましょう。
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介護施設の差し入れについてのまとめ
差し入れ・手土産の受け取りは、施設によって対応が変わります。
職員への差し入れは、一定のルールを設け、これに則って受け取るケースがあるようです。
利用者間・家族間の差し入れは、様々なトラブルの原因となるため、禁止しているケースがあります。
特に食事制限をしている利用者の場合は、甘い食べ物などが病状に影響するため、施設側としては致し方ない対応であるといえます。
公的な施設のなかには、原則として差し入れをお断りしますといったところがありますので、差し入れをする時は事前に職員に相談して差し入れをするといった事が一番安心で良いでしょう。
お世話になっている方々に対して、感謝の気持ちを形にして贈りたいという気持ちは当然のことです。
しかし、相手の置かれている状況や気持ちを考えて、贈る側にも贈られる側にも負担や不満の無いものにするのが大切です。