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TOEICを履歴書で触れるときは注意/TOEICのスコアは何点からアピールできる?

仕事別、期待されるTOEICのスコアとは?

さまざまなビジネスシーンで、英語力が重視されるようになってきています。少子化、人口減少によって、国内のあらゆるマーケットが縮小していく中、企業が成長していくためには、必然として、海外市場を目指さざるをえないケースが増えてきているからです。

もちろん、英語だけが主要な外国語というわけではありません。スペイン語、フランス語、アラビア語など、国をまたいでの言語人口が多い言葉は、ほかにもいくつかあります。

ですが、日本人ビジネスマンと中国人ビジネスマン、あるいは日本人ビジネスマンと韓国人ビジネスマンの会話が、国際的にはもっとも一般的な「共通語」といえる英語で行われます。

英語を身につけていて大きなメリットになる仕事は、これからもどんどん増えていくことでしょう。

海外市場だけではありません。訪日旅行客による消費など、いわゆるインバウンド需要や、国外からの投資を呼び込んでの市場の活性化なども、国内経済上、今後はますます重要な地位を占めてくるはずです。

身近なところでは、観光地でお店を開く人々や、旅館・ホテル・料理店のスタッフなどが、接客のために英語を話したり、書いたりできることをもうすでに重要視されています。

そうした、仕事に使える英語力を測るものさしとして、多くの人が信頼を置いているのが「TOEIC」です。受験者の英語力が、10点から990点までの5点刻みのスコアで示されます。

そこでこの記事では、皆さんの転職活動のサポートのため、仕事のシチュエーション別に、企業側がどのくらいのスコアを転職希望者に期待するものなのか、あるいは、採用の条件とするものなのか、その目安を示していきたいと思います。ぜひ参考にしてください。

「TOEIC」のおさらい

toeic

その前にTOEICとは?詳しくご存知でない方のためにおさらいをしておきましょう。

まず、TOEICの5文字ですが、もちろん略語です。Test Of English for International Communication の頭文字から採られたものです。日本語では通常、「国際コミュニケーション英語能力テスト」などと訳されます。「トーイック」、「トイック」などと発音されています。(前者が多いようです)

TOEICは、アメリカにある非営利のテスト開発機関「ETS」(Educational Testing Service)によって開発・制作されました。日本では一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)がこれを運営しています。

ビジネスの現場や日常生活での英語コミュニケーション能力を幅広く測定することに重点がおかれ、1979年に第1回目のテストが実施されました。現在、世界の約160カ国で、年間約700万人が受験しています。

なお、通常私達がTOEICという場合、それは上記IIBCが運営するTOEIC Programの5つの試験のうちの「TOEIC LISTENING AND READING TEST」、略して「TOEIC L&R」を指しています。聞く(Listening)英語力と、読む(Reading)英語力を測るテストです。

このTOEIC L&Rテスト(すなわち一般にいうTOEIC)は、日本においては年に10回、全国約80都市で行われます。(2017年時点。実施回数は受験地ごとに異なります)

またその結果は合格か不合格かではなく、10点から990点までのスコアで表されます。スコアが何点であればこのくらいの英語力と客観的な判断を下すことが可能なため、日本の多くの企業が、社員や就職希望者の英語力を測るための基準として、このTOEICを採用しています。

TOEIC履歴書への書き方

TOEICは何点以上なら記したほうがいいのだろう?TOEICを受けたことがある人が履歴書を作るときに悩むことの一つです。TOEICの点数によってはむしろ記さないほうが好印象ということさえあると言われるので、今回はTOEICを履歴書に記す際ポイントを細かく見ていきましょう。

TOEICの履歴書への資格の書き方に注意が必要みたいだよ。例えば「普通免許」と書いていれば当然自動車普通免許のこと分かるものですが、担当者にとっては「これじゃ何の普通免許かわからないじゃないか」と感じてしまうわけなのよ。だから履歴書に資格を記すときは資格の正式名称を調べて記すのが原則カモ。
たとえば「中型自動車運転免許(8t限定)」って書いたら明確。これはTOEICも同じで「TOEIC 650」と書けば何のことか分かるのだけど、履歴書への書き方としては不十分。正式名称で正しい書き方が必要というわけだね。
TOEICの正式名称は何かって?「TOEIC公開テスト」って言うのが正式名称なのだ。

TOEICをいつ受験したのかも書くことが重要

10年前に取得した場合、「じゃあ今はどうなの?」となり採用担当者は混乱します。よって模範的な履歴書への書き方は「2015年4月 TOEIC公開テスト スコア650点取得」というような書き方になるわけです。

何点以上は履歴書に書いたほうがいいの?

何点以上は書いたほうがいいかというのは決まりはありませんが、よく言われるのは600点以上です。TOEIC600点というのは英検で言うと2級以上、通常の日常会話には問題ないと言われるレベルなので、社内でも英語ができる人とみなされるわけです。

600点以下だった場合は記さないほうがいいとされるのは「ビジネスで使う英語能力には達していない」と捉えられるからです。何点以上は記したほうがいいという決まりがないのも事実ですが、英語能力を武器として考える会社では600点というのがボーダーになっています。

英語能力はあまり重要じゃない会社であれば、600点以下でもTOEICについて記しているだけ英語が多少分かるとみなしてもらえることもあります。外資系などで社内の連絡事項も全部英語でやり取りするという会社は「TOEIC 700点取得」と書いてもマイナスに働くこともありえます。その会社の基準が「TOEIC 800点取得」であれば合格は難しいでしょう。

自分の点数だけでなく応募する会社の求めている人材(英語能力)を考えてTOEICの点数を履歴書に書くようにしましょう。

時間が経過しているスコアは書かない方がいい? TOEICスコアに期限はある?

履歴書の資格欄に、TOEICの点数を書きたいけれど受けたのが5年くらい前で書いていいのか悩む…というようなことがあります。一般的に、「TOEICの有効期限は2年以内」という噂をきいたことがある人も多いのではないでしょうか。

実はこれは、間違いです。TOEICの公式サイトには、「有効期限はない」とはっきりと記載されています。なぜ「2年」という期限が広まったかというと、公式認定証の再発行期限が「2年間」とされているからかもしれません。

有効期限がないということは、2年前のスコアでも書いてもいいのか、ということが気になりますよね。結論から言うと、あまり古すぎる点数は書かないほうがいいかもしれません。

有効期限はないにせよ、企業の採用側としても、現状に近い能力を見たいという点が本音です。そのため、公式には有効期限はないにせよ、暗黙の了解で2年程度が基準にされる可能性はあります。

仮に古いテストの点数を書いた場合、「現状はどうですか」と聞かれる可能性があります。
そのため、できるかぎりTOEICの点数はこまめにうけて、2年以内のスコアが書けるようにしておいたほうがいいでしょう。

TOEIC、正式な履歴書での書き方や注意点は?

TOEICを履歴書に書くときは、次の3点に気を付けましょう。

・名称
「TOEIC」と呼んでいますが、履歴書に書くときは正式名称の「TOEIC公開テスト」で書きましょう。

・日付
受験した日付を書きます。「何日」まではいりませんが、「年月」を書くようにしましょう。

・点数
「〇〇点取得」というように書きましょう。

例えば、2017年8月に700点を取っていた場合次のような書き方になります。記載する場所は履歴書の資格欄です。

「2017年8月 TOEIC公開テスト スコア700点取得」

西暦については元号で書いてももちろん問題はありません。また、「スコア」をとっても問題はありません。

仕事別・このくらいのスコアが期待されている!

英語を日常的に使う仕事、日常的には使わないまでも、話したり、書いたり、聞いて理解できることが活かせる仕事は、世の中にはさまざまあります。

そうした中、転職者を採用しようとする企業側が、「TOEICのスコアを持っている人がほしい」と、思った場合、どのくらいの成績の人を求めるものなのか、一般的な目安を挙げてみましょう。

加えて、実際の求人情報から、採用条件などでTOEICスコアに言及している例を拾い上げ、仕事の内容や収入など、その簡単なあらましを付していくことにしたいと思います。これらはすべて実在する求人情報です。(2017年8月調査時点)ぜひ参考にしてください。

なお、転職希望者が自身のTOEICスコアを企業にアピールする場合ですが、もちろん、それは現在(いま)の実力を示すものであることが肝心です。「実は15年前にゲットしたスコアです」では、現状の力量はどうなのか、なんとも心もとありません。

逆にいえば、履歴書にTOEICスコアを記載する場合、取得年月は必ず添えておくようにします。そうしないと、選考にあたる人事担当者の多くは、余計なストレスや、取得年月が明らかにされていないことへの疑念を感じることになるでしょう。

ちなみに、前記IIBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)では、「TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表(PROFICIENCY SCALE ~TOEIC L&Rにおいての分)」をウェブサイト上に公表しています。「このくらいのスコアを持つ人であれば、このくらいの英語力が期待できますよ」と、いったあたりを示すガイドラインです。

その内容は、参考までに、以下のようになっています。

860点以上(レベルA) Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる
730~855点(レベルB) どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている
470~725点(レベルC) 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる
220~465点(レベルD) 通常会話で最低限のコミュニケーションができる
215点以下(レベルE) コミュニケーションができるまでに至っていない

(以上は各レベルの「概要」を示した表記の抜粋です。実際の当相関表には、各レベル別にさらに具体的な評価の内容が記されています)

ただし一方で、TOEICのスコアについては、500点台、700点台、などと、世間一般では100点刻みでの評価が語られることが多々あります。多くの人にとっては、この100点刻みが、やはり馴染み深いかもしれません。

そこで当記事では、上記相関表の内容や、さまざまに発信されているTOEICスコアと実践的な英語力との関係についての意見、さらに、企業による実際の採用条件等も踏まえながら、高い方のスコアから100点刻みで、前記の「目安」を紹介していくことにしたいと思います。

TOEIC「900点台」が求められる・活かせる仕事の例

900点台

900点台という高いスコアを持つ人に対しては、企業は通常、ネイティブ(ネイティブ・スピーカー=英語を幼時に自然習得した人)と、おおむね対等に、自然にコミュニケーションできる人材であることを期待しています。

加えて、センシティブな英語表現をある程度駆使できたり、言葉の背景となる文化などを踏まえながらの言い回しもひととおり理解できたりなど、かなりの高度な英語力を備えた人材であることも期待されるのが、この900点台というレベルです。

それを端的に示す例として、「900点台イコール、ヒアリングとリーディングに関しては、外国映画の翻訳を職業としてこなせるくらいの人材」と、する人もいるようです。

微妙なニュアンスを含んだ言葉や、その発音・発声の示唆するところなども正確に捉えた上で、理解できるということを意味します。

すなわち逆に言えば、企業が求人を行う際、TOEIC900点台を採用の条件に掲げると、「ハードルの上げすぎ」、「門の狭めすぎ」ということにもなりかねません。

そのためか、「900点台」を求人広告にはっきりと明示している企業は、実際にはあまり多くはないようです。

TOEIC900点台を求める求人(2017年8月調べ・以下データいずれも同じ)

企業・組織 国内大手企業グループ内シンクタンク
TOEIC 900点以上を歓迎
職種 社会的課題の研究と政策提言を行うプロジェクトチームのスタッフ
収入例 800万円~1000万円
企業・組織 公立大学
TOEIC 900点相当以上であれば「なお可」
職種 「国際的リーダーとして活躍する人材を輩出することを教育理念とする」公立大学での学校運営事務全般
収入例 年棒300万円~600万円

→ハイクラス求人ならビズリーチがおすすめ

TOEIC「800点台」が求められる・活かせる仕事の例

800点台

ビジネスシーンにおいて、置かれた状況や環境を問わずに、英語をほぼ不自由なく聞き取り、話すことのできる人材がほしい、と企業が思うとき、「最低このあたりが目安」として線引きされることが多いのが、TOEIC800点という数字でしょう。

多くの場合、企業は、この800点台を保持する人材に対して、外国人を相手にしての応用力豊かなコミュニケーションがとれることを期待しています。

また、英文速記が十分にこなせる程度のヒアリング能力、および正確な英語筆記能力を持ち合わせていると見られるのも、この800点台クラスです。

もっとも、このあたりまでくると、企業側の人材への期待値もかなり高まっていて、実際の求人場面においては、本音では900点台クラスのさらに高度な英語力を持つ人を求めている場合もあるかもしれません。

採用の間口を広げておくために、800点台が条件とされている可能性もなきにしもあらずというわけです。

ともあれ、「TOEIC800点台を求む」というメッセージの中には、繰り返しますが、状況や環境、そして相手が誰であるかに左右されずに、臨機応変かつ幅広い英語力を発揮できる人材への期待が込められていると見るべきでしょう。

ちなみに参考までに、外国人に対して通訳をしながら観光案内ができる国家資格である「通訳案内士」を受験する場合、TOEIC840点以上を取得している人は、英語の筆記試験が免除されます。

観光客という、どんな質問やリクエスト、ハプニングが飛び出すかわからない相手への対応力の目安のひとつとして、TOEIC800点台が挙げられているということになるでしょう。

TOEIC800点台を求める求人

企業・組織 国内大手電機メーカー
TOEIC 800点以上
職種 海外企業のM&Aに関わる人材戦略を担う、人事マネジャー
収入例 年収1,000万円
企業・組織 外資系広報・PR会社
TOEIC 860点以上。または同等レベルの英会話能力
職種 クライアント企業の広報・PRなどを行うコンサルティングチームリーダー
収入例 年収780万円(38歳・入社3年)
企業・組織 特定非営利活動法人(NPO)
TOEIC 800点以上。ただし業務に支障のない英語能力があればそれ以下でも可
職種 海外紛争地域の人々への支援に関わる事務、プロジェクト管理
収入例 月給24万9000円(35歳・入職1年目)
企業・組織 訪日・長期滞在外国人向けサービス会社
TOEIC 800点以上。または同等レベルの英語力
職種 転勤や出張で日本に長期滞在する外国人への生活サポート全般
収入例 月給23万円
企業・組織 英語学校(株式会社による運営)
TOEIC 800点以上。あるいはそれに準ずる実用的な英語力
職種 英語マンツーマンレッスンの講師
収入例 月給21万円以上。および各種インセンティブ

→外資系への転職に強いJAC Recruitment

TOEIC「700点台」が求められる・活かせる仕事の例

700点台

どんな状況、環境においても不自由のない英語力を発揮できる、とはいえないまでも、ある程度の応用は効く、いわゆる一般ビジネスレベルの英語力を持ち合わせていると見てもらえる最低のラインが、TOEIC700点あたりということになるでしょう。

それを裏付ける象徴的なものとして、下記に例を示す中にもあるとおり、外国人利用客の多いホテルのフロントスタッフや予約センターが、この700点台を採用ラインにしていることが挙げられます。

ホテルという一定の環境の中での仕事ではありつつも、業務の特性上、そこでは定型化しないさまざまなハプニングやリクエストが発生しうるということで、「TOEIC700点台」に企業側が期待するものが何であるかが、如実にわかるケースとなっています。

また、大手商社に採用された大学新卒者における下限ライン、あるいは、社内や本・支店間などでの英語でのやりとりが頻繁な外資系企業において「まずまず通用するレベル」などとよくいわれるのも、この700点台です。

ちなみに前者の場合、入社後のさらなるレベルアップの土台として「700点台」を基準としている様子が窺え、一方後者では、高度な英語力が要求されはするものの、ボキャブラリーの共有度がある程度高い環境においての及第レベルの数字として、700点台を目安としている様子がうかがえます。

TOEIC700点台を求める求人

企業・組織 人材紹介会社
TOEIC 700点以上を歓迎
職種 主に外資系企業をクライアントとし、バイリンガルの人材を紹介するコンサルティング業務
収入例 900万円(社員平均年収)
企業・組織 CG制作会社
TOEIC 700点程度の力がある、ビジネス英会話の経験者
職種 取引先海外企業との打合せ窓口業務
収入例 月給30万円以上
企業・組織 電装部品メーカー
TOEIC 700点程度の英語力要
職種 国内、海外のグループ会社での人材採用や人事制度づくりなど
収入例 年棒450万円~600万円
企業・組織 ホテル(外国人ゲストも多い、いわゆるシティホテル)
TOEIC 700点以上。またはビジネス会話レベルの英語力要
職種 フロントスタッフ
収入例 月給18.3万円~25万円
企業・組織 外資系大手ホテルグループ
TOEIC 700点以上が目安
職種 予約センターのスタッフ
収入例 年棒310万円~335万円

→ビジネス英語を活かせる求人も豊富なリクルートエージェント

TOEIC「600点台」が求められる・活かせる仕事の例

600点台

一般的なビジネス英語能力を期待される700点台に対し、いわば、限られた状況におけるビジネス英語力までを期待されるのが、TOEIC600点台でしょう。

600点台を採用条件に掲げる場合、多くの企業は、予期し得ない状況であっても臨機応変に英語で対応できるほどの人材を求めてはいないはずです。

たとえ英語を日常的に使う仕事であっても、会話の相手やパターン、やりとりされる言葉がある程度限られている場合などで、600点台が目安とされることが多いようです。

具体的には、英語を読み書きする機会は多いものの、おおむね専門分野にかかわる範囲に留まるシステムエンジニアなど技術系の人材、あるいは、国際物流にかかわっての海外顧客との定型的なやりとりや、同じく英文書面を扱うことの多い貿易事務スタッフなどがこれに当たります。

さらには、外資系企業において、日常はもっぱら日本語で業務が進められるものの、国外にある本社との英語によるコミュニケーションが時折必要な場合などで、おおむね600点台が求められているようです。

TOEIC600点台を求める求人

企業・組織 自動車メーカー
TOEIC 600点程度以上の英語力
職種 海外営業を含む事務系全般
収入例 月給20.5万円以上
企業・組織 外資系国際物流会社
TOEIC 600点以上もしくは同等の英語力
職種 国内クライアントへの対応。ただし社内システム、資料等はすべて英語表記
収入例 年収420万円(入社3年目)
企業・組織 外資系機械メーカー
TOEIC 650点程度
職種 国内法人営業
収入例 年収615万円(42歳)
企業・組織 法律事務所
TOEIC 650点以上に相当する英語力要
職種 秘書業務、書類作成など弁護士業務全般のサポート
収入例 月給23万円以上

→DODAでキャリアアップ

TOEIC「500点台」「400点台」が求められる・活かせる仕事の例

400点台
500点台

TOEIC500点台、400点台となると、多くの企業はその人材に、一般的なビジネスシーンにおいて通用するほどの英語力を期待しません。

基本的には、普段英語を使う仕事ではないものの、ある程度の心得があれば「活かせる機会がある」、また、機会が訪れたときに活かせない人材よりは「活かせる人を採用したい」、そういった場合に条件とされることが多いレベルです。

従って、たとえ外資系企業であっても、仕事は専門職、話す相手は日本人がほとんどであって、英語でのコミュニケーションの機会が通常生じない場合など、採用条件に500点台以下が掲げられることもあるでしょう。

ただし、企業によっては、採用する人材に対し、実のところ英語力をかなりの程度求めてはいるものの、門戸を広げるために、TOEICスコアでの条件を大きく下げている気配が感じられるケースも見られます。

つまり、入社後の勉強や成長に期待しているか、あるいは自社の英語教育システムに自信をもっているのです。(これは500~400点台での話に限らず、どのレベルを掲げる求人においてもありうることでしょう)

その場合、もちろん、そのことを個人としてよい成長の機会にできるケースもありますが、一方で入社後、かなりの熾烈な環境におかれる場合もおそらく少なくはありません。

外資系企業で活躍している人の中には、

「TOEIC 400点台という心細い状態で入社した。しかしながら英語を日常に使う環境を活かして努力し、入社後は700点台にまで上げた。給料も地位も大きく上がった」

などといった武勇伝を語る人も見られますが、その陰には、同じような状況の中、厳しく淘汰されていった人材もやはり存在するはずです。

こと英語力のことに限りませんが、企業への就職においては、間口の広さが内部での競争の激しさを暗に示している場合もあることを忘れずに心得ておいてください。

TOEIC500点台、400点台を求める求人

企業・組織 外資系機器検査会社
TOEIC 550点以上が目安。業務での英語使用経験者であること
職種 機器検査技術者
収入例 年俸500万円以上
企業・組織 大手電機メーカー(住宅設備部門)
TOEIC 550点以上が目安。日常会話レベルの英語力を歓迎
職種 住宅設備などのデザイン開発
収入例 月給約21万円以上
企業・組織 自治体と企業による第三セクター
TOEIC 500点以上を取得していれば活かせる業務あり
職種 一般事務など企業等のバックオフィス業務
収入例 310万円(入社2年)
企業・組織 専門商社
TOEIC 500点以上に相当する英語力
職種 国内、海外の顧客への対応窓口。英語は読み書き中心
収入例 月給17万円~21万円および諸手当
企業・組織 工場生産ラインメーカー
TOEIC 400点以上、もしくは同等の会話レベル要
職種 工場生産ラインの設計(電子回路等)。将来国外勤務の可能性あり
収入例 507万円(入社5年目)

→英語を使う仕事探しは職種の多いパソナキャリア

番外編:仕事で英語を使うのにもかかわらず「TOEIC不問」としている例

仕事で日常的に、もしくはかなりの頻度で英語を使うのに、あえて求人広告内で「TOEICスコア不問」をアピールをしている例も、しばしば見られます。

その理由や想いについては、企業によってさまざまですが、実際の例を拾うと、たとえば下記のようなケースがあります。挙げてみましょう。

海外の顧客とのやりとりは頻繁ながら、内容のバリエーションが限られているケース

企業・組織 海外向け中古車販売会社
TOEIC TOEICスコア不問。日常会話レベルの英語力で可
職種 海外顧客への対応窓口(オペレーター。車に詳しいスタッフは別に存在)
収入例 月給18万円~35万円

ある程度の英語力を求めてはいるが、それを評価する具体的な条件は、採用側が独自に用意しているケース

企業・組織 学童保育教室(株式会社が運営)
TOEIC TOEICスコア不問。ただしネイティブ指導員との会話能力が必須
職種 英語を教える学童保育教室のマネジメント
収入例 月給20万円~50万円

仕事の舞台が海外でミッションもハードであるため、英語力もさることながら、それ以前の力をまずは重視しているケース

企業・組織 コンサルティング会社
TOEIC TOEICスコア不問。英語でのコミュニケーション能力要。過去の海外経験で培われた能力を重視
職種 クライアント企業の海外進出の支援
収入例 年棒600万円~800万円
日本の企業が、募集・採用したい人材の英語力を測るときの標準的なものさしともいえるTOEIC。でも、今回ボクにとってはあらためて驚いたことがあるんだ。それは、人材に英語力を求める企業の多様なこと。業界の種類の多彩なこと!
国内企業、外資系企業、メーカー、シンクタンク、物流、コンサルティング、ホテル、学校、NPO、第三セクター、法律事務所など。考えてみればあたりまえのことなんだけれど、あらためてこうして求人情報を並べてみると、その多種多様なことには本当にビックリだよね!
そうですね。カモちゃんのいうとおり、これは当たり前のことではあるんでしょうが、いまや、どんな業界や企業にも、英語が必要な環境や活かせる環境が訪れる可能性はあります。
しかも、それはこれからますます大いにありうることとなっていくのだと思います。
就職や転職のために取得しておきたい人気の資格といわれるものが、ご存知のとおり世の中にはたくさんありますが、何をさておいても英語力。
英語力こそ、皆さんも多分そう思っておられるとおり、ビジネス界最強の「資格」であることに間違いはないといえるのではないでしょうか。
たとえば行政書士さんに英語力、宅建士さんに英語力、あった方がいいでしょう?
う~ん、四の五の言わずに英語かあ。TOEICスコア、700点、800点…?カモちゃんも目指してみようかな。
ぜひがんばってください。ちなみにひとつアドバイスを差し上げると、この記事のはじめの方でも紹介したとおり、TOEICのテストには5種類があります。
われわれが通常TOEICと言っているものはそのうちのひとつ、「TOEIC LISTENING AND READING TEST」、略して「TOEIC L&R」です。
このTOEIC L&Rは、英語を聞き取る(Listening)力と、読む(Reading)力を測るテストですが、ほかにもTOEICには、英語を話す(Speaking)力と書く(Writing)力を測るテストも用意されています。
それが「TOEIC SPEAKING AND WRITING TESTS」、略して「TOEIC S&W」です(さらに「話す」のみの「SPEAKING TEST」もあります)。
このTOEIC S&Wの存在を知る企業や、スコアを重視する企業も、最近はだんだんと増えてきているそうですので、ぜひ、こちらにも挑戦してみてはいかがでしょうか。

TOEFLとTOEICと英検ではどれが転職に有利?

TOEICもTOEFLも、英検もうけたことはなくてもその名前自体は聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。共通点としては、いづれも英語力を測る試験であるという点です。しかし、それぞれの試験によって、目的が大きく違います。

ここではこの3つの試験の違いについて説明していきます。合わせて、例えばTOEICは持っていなくても英検1級を持っている、TOEFLは90点であるといった場合に、就職で有利になるのか、といった点も見ていきましょう。

TOEFLの試験内容について

TOEFLの正式名称は、「Test Of English as a Foreign Language」です。TOEFLは日本人だけでなく、世界の英語以外を母国語とする人たちを対象にしているテストです。

目的は、海外で留学を検討している人が、留学できる英語力をもっているかどうかというアカデミックな側面の英語力をテストするということです。またオーストラリアや英国では、VISA要件を満たすために使用されます。

試験は4つのセクションに分かれており計4時間程度で計ります。

  • リーディング(60 – 100分)
  • リスニング(60 – 90分)
  • スピーキング(20分)
  • ライティング(50分)

テストはパソコンを使って実施され、スコアは120点が満点で、点数によってレベルを測ります。

テストは年間50回ほど開催されています。受験申し込みは、通常希望日の2~3か月前に行います。直前登録は4日前まで可能ですが、40$追加手数料がかかります。

申し込みは、TOEFLの公式サイトで、マイページを作ることから始めます。必要事項をサイト上で記入し、登録をすると、そのページから試験の申し込みが可能になります。

受験料は試験する地域によって異なりますが、2018年1月現在日本での受験は235$です。結果は、テスト終了後の約 13 日後に送付先に電子送信または郵送されます。

ただし、各国の郵便事情によって到達時期は異なります。アメリカで7~10 日間、それ以外の地域では 4~6 週間かかります。スコアの期限は2年間とされています。

TOEFLとTOEICどっちが難しい?

TOEFLはアカデミック英語、TOEICはビジネス英語という違いがあるため、単純にどちらが難しいという比較は難しいところです。

しかし、TOEICはリーディングとリスニングのみの実施の点数で企業に提示をすることがほとんどです。(スピーキングとライティングのテストもありますが、こちらはあまり現時点で企業に提示するために受験している人は少ないため)試験時間も2時間とコンパクトです。

一方TOEFLは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングと、1日で4つの力を見るため、時間も4時間と長丁場で、集中力も、勉強時間もTOEICより負担が多いという点から、TOEFLのほうが難しいといえるかもしれません。

TOEICとTOEFLどれぐらいのスコアをとればいいか?

TOEICの点数については、前出の記事で説明をしているので細かくは触れませんが、外資系技術者で500~600点、商社や外資系ホテルなど、外国人と接する機会が多い職種については700点以上が通常求められるレベルです。

TOEFLに関しては、行きたい大学によって求めるスコアは異なりますが、最低でも70~80点、上位の大学になると100点程度が目安となります。参考までに、イギリスの学生ビザの場合は、72点が最低ラインになります。

この場合それぞれの内訳も最低ラインがあります。

  • リーディング18点
  • リスニング17点
  • ライティング17点
  • スピーキング20点

英検の試験内容について

英検はおそらく中学生や高校生の頃に受けたことがあるという人が多いのではないでしょうか。日本英語協会検定が主催する英語の能力を測る検定試験です。TOEFL同様、アカデミックよりな内容の英語になります。

試験は年に3回、申し込みはウェブ、書店、コンビニで可能です。検定料は、全国約230都市・400会場で実施する公開会場を「本会場」とし、個人で受験する場合は本会場の中で選択することになります。本会場での受検は急によって異なりますが、5級2500円~1級8400円です。

一方、学校等で団体で受検する場合は「準会場」とされ、5級2000円~2級5400円です。(準1級、1級の団体会場はありません。)

5級から1級まで7段階あり、結果は合格、不合格という形で提示されます。試験は1次試験と2次試験に分かれています。4級、5級は1次試験がリーディングとリスニング、3級以上は1次試験にライティングが追加されます。

一部2級と準2級をコンピュータ方式で受験する方法もありますが、基本的にはライティングとスピーキング以外はマークシート方式です。

階級別の試験時間

  • 5級:1次試験45分、2次試験 3分程度
  • 4級:1次試験65分、2次試験 4分程度
  • 3級:1次試験 75分、2次試験  5分程度
  • 準2級:1次試験 100分、2次試験  6分程度
  • 2級:1次試験 110分、2次試験  7分程度
  • 準1級:1次試験 120分、2次試験  8分程度
  • 1級:1次試験135分、2次試験 10分程度

 
級が上がるほど、時間が長くなります。

また各級の目安として、3級~5級が中学レベル、2級、準2級が高校レベル、準1級以上が大学レベルとされています。1次試験の結果は、2次試験の1週間前までに送付されます。2次試験の結果は、1次試験の3週間後以内に送付されます。

英検とTOEICどっちが難しい?

英検とTOEICの難易度比較ですが、英検の級によって異なるといえます。一般的に履歴書に書けるレベルとされるTOEIC600点は、英検2級程度と換算されます。

英検3級程度であれば、中学レベルの英語で対応できるため、英検のほうが簡単といえます。ただ、TOEICはリーディングとリスニングのみを測るため、スピーキングが苦手な人は、2次試験にスピーキングがある英検は、難しいと感じるかもしれません。

英検とTOEFLどれぐらいのスコアをとればいいか?

転職で履歴書に書くことを考えると、一般的にTOEIC600点以上と言われる英検2級程度と言いたいところですが、英検自体が学生を対象とした試験という印象を持っている人も多いため、2級でも高い評価になるかというと微妙なラインです。

英検であれば、準1級はとっておいたほうがいいかもしれません。TOEFLの場合、TOEICで740点以上と換算される80点以上はとったほうがいいでしょう。

TOEFLとTOEICと英検ではどれが転職に有利なのか?

結論から言うと一般的な転職に有利といえるのは、TOEICといえます。英検やTOEFLは、そこまでビジネス上でメジャーな資格ではないからです。

あくまでビジネスにフォーカスした英語力を測るTOEICの点数が、一番実務に近い英語力として評価されやすいといえます。もし現時点で転職を考えていて、英語の資格が何もないという場合はTOEICから取得することをおすすめします。

  • 一般の職業…TOEIC
  • 研究・開発などのアカデミックな職業…TOEFL
  • 教師・講師などの職業…英検

英検やTOEFLも転職先によっては大きく有利に!

しかし英検やTOEFLが全く使えないかというと、そういうわけではありません。もし狙っている職種が研究職や、開発職、大学職員や留学に関わる仕事など、アカデミックな業界であれば、TOEICよりもむしろTOEFLのほうが評価される可能性があります。

また、学校や塾の講師を目指しているような人は、英検を持っていると、学生の指導で役に立つ可能性があるでしょう。

仮にTOEIC以外にTOEFLや英検を持っているという人は、履歴書には書くようにしましょう。企業の担当者によっては、その資格を理解している人もいて、点数によっては評価される対象になるからです。

TOEICもTOEFLも英検も、それぞれの試験の特徴を理解して、転職活動の際にうまく活用してくださいね。