「取り急ぎ」という表現は、ビジネスシーンでもよく使われますが、その正しい意味や使い方については意外と知られていないものです。
本記事では、「取り急ぎ」の正しい意味やビジネスでの使い方、言い換え表現について詳しく解説していきます。
また、具体的な例文を交えながら、読者の方々が自信を持ってこの表現を使えるようになるためのコツもお伝えします。
最後まで読むと、「取り急ぎ」を正しく使いこなせるようになり、ビジネスシーンでのコミュニケーションに必ず役立てることができるでしょう。
「取り急ぎ」の意味とは?
「取り急ぎ」とは、“とりあえず急ぐ必要がある”という意味を表す表現です。
例えば、急ぎの用事がある時に「取り急ぎ」という言葉を使って、相手に「急いでいるので一先ず報告のみ行います。」ということを伝えることができます。
また、「取り急ぎ」には「詳しい内容は追って説明します。」という意味を含んでいます。
ある物事を先送りせずに、できるだけ早急に対処する際にも「取り急ぎ」を使うことがあります。
「取り急ぎ」のビジネスメールでの使い方と例文
ビジネスメールでの「取り急ぎ」の使い方を正しく理解し、効果的なコミュニケーションを図ることは非常に重要です。
ここでは、ビジネスメールにおける「取り急ぎ」の使い方と、実際の例文を紹介していきます。
お礼を伝える場合
「取り急ぎ」という言葉は、急いで行動することや急いで連絡をすることを意味する言葉ですが、「取り急ぎお礼申し上げます」というように、お礼を伝える場合にも使うことができます。
また、「取り急ぎ」は、相手に対する丁寧な印象を与える言葉の一つでもあるため、ビジネスメールでお礼を伝える際にも適しています。
【例文】
・取り急ぎお礼申し上げます。お陰様で、今回のプロジェクトが無事に完了しました。
・取り急ぎお礼申し上げます。ご協力いただきましたことで、大変助かりました。
・取り急ぎお礼申し上げます。貴重なご意見をいただき、次回の改善に役立てさせていただきます。
「取り急ぎ」を使ってお礼を伝える際は、文章全体が冷たくならないよう、丁寧な表現を心がけることが大切です。
進捗を報告する場合
「取り急ぎ」は何かのトラブルが発生して対処が必要な場合、上司や関係者に状況を報告するためにもよく使われます。
以下に、例文を紹介します。
【例文】
・〇〇の作業が完了しました。取り急ぎご報告まで
・現在、〇〇の作業は予定よりも遅れております。取り急ぎ連絡いたします。
・取り急ぎ、ご報告申し上げます。〇〇のプロジェクトについては、現在順調に進んでおります。
報告内容に合わせて、適切な言い回しや表現を選び、明確かつ簡潔な報告を心がけましょう。
日程調整等のやり取りをする場合
関係者と日程調整をする時にも「取り急ぎ」を使ってやり取りの緊急性を強調しながら、迅速な対応を求めることができます。
以下のような使い方が考えられます。
【例文】
・取り急ぎご連絡いたしますが、次回の打ち合わせ日程について、以下の3つの日程候補をご確認いただけますか。
・取り急ぎご連絡差し上げますが、今週の出張について、希望される交通手段はございますか。
・取り急ぎご報告申し上げますが、明日の会議に参加できない場合がございます。代理出席いただける方をご確認いただけますでしょうか。
お世話になった方への近況報告をする場合
お世話になった方に近況報告をする場合、「取り急ぎ」を使って以下のように使うことができます。
【例文】
・いつもお世話になっております。お忙しい中、ご連絡いただきありがとうございます。先日はご支援いただきまして、本当にありがとうございました。取り急ぎご報告を差し上げますと、私は新しいプロジェクトに携わっております。今後ともよろしくお願い申し上げます。
・この度は、大変お世話になりました。先日ご支援いただきましたこと、心より感謝申し上げます。おかげさまで、新しい職場で楽しく勤務しております。ただいまお忙しい中、取り急ぎ近況報告までとさせていただきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
・いつもお世話になっております。先日は大変お世話になりました。おかげさまで、取り急ぎご報告までには至りましたので、お知らせ申し上げます。私は新しいプロジェクトに参加することになりました。これまで以上に一生懸命努めてまいりますので、引き続きご指導くださいますようお願い申し上げます。
このように、「取り急ぎ」を使って近況報告を伝える場合は、まずはお礼を述べた後に報告することが一般的です。
また、文中での使い方は、報告する内容が重要であることを伝えるために、意味を強調することが多いです。
連絡を受け取ったことを伝える場合
先方からの連絡を早急に確認し、返信する際に「取り急ぎ」を使うことがあります。
以下はその例文です。
【例文】
・お世話になっております。先程、ご連絡いただいたことを確認いたしました。後程、改めて詳細についてご連絡いたしますので、今しばらくお待ちください。
・お忙しい中、ご連絡いただきありがとうございます。お手数をおかけし申し訳ありませんが、すぐに対応できるように調整してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。
・担当者より、お電話をいただきましたことを確認いたしました。重ね重ね、お詫び申し上げますが、こちらからも追ってご連絡いたします。何卒よろしくお願いいたします。
「取り急ぎ略儀ながらお祝い」は、きちんとしたお祝いは後日改めておこなう予定で、お祝いの気持ちだけ先行して伝えたい場合に使います。
お祝いの気持ちを伝える場合
お祝いの気持ちを伝える際に「取り急ぎ」を使うことはあまり一般的ではありませんが、後で改めてしっかりとしたお祝いの気持ちを述べることが伝わるように使います。
例えば以下のように使うことができます。
【例文】
・「取り急ぎですが、○○様の○○のお祝いを心よりお祝い申し上げます。おめでとうございます!」
・「取り急ぎですが、この度はご結婚おめでとうございます!素敵なご縁が繋がったことを心からお祝い申し上げます。」
このように、「取り急ぎ」を使うことで、急ぎの連絡であることや、迅速な対応を心がけていることを伝えることができます。
ただし、お祝いの場合はあくまでお祝いの気持ちを伝えることが大切なため、「取り急ぎ」に加えて、相手の喜びを共有したり、丁寧なメッセージを添えることが望ましいでしょう。
「取り急ぎ」の言い換えや類語
「取り急ぎ」の言い換えや類語には、以下のようなものがあります。
- 一先ず
- 一旦
- まずは
- 略儀ながら
- 急ぎの連絡
- 最優先
- ~のみで失礼いたします
- 即座に
それぞれ例文を交えて詳しく解説します。
「一先ず」
急ぎの場合に使われ、とりあえずと同じように一時的な処置を行うときに使用されます。
例:一先ず、こちらからメールを送らせていただきました。
「一旦」
「一旦」は、「とりあえず」と同じく、何かをすぐに決めるわけではなく、一時的にとりあえずその場を凌ぐという意味を持ちます。
例:一旦本日の会議内容を報告いたします。
「まずは」
「まずは」とは、「最初に、とりあえず」などという意味で、「取り急ぎ」と同様に、ある程度の緊急性があることを示す表現です。
例:「まずは、お打ち合わせの日程調整をお願いします。」
「まずは、現在の問題点を整理してみます。」
「略儀ながら」
「略儀ながら」とは、敬意を表しつつ、簡潔に伝えるという意味合いがあります。
例:略儀ながら、先日の面接の結果についてご連絡いたします。
略儀ながら、お忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます。
「急ぎの連絡」
「取り急ぎ」の代わりに、急いで連絡をすることを伝える際に使用されます。
例:急ぎの連絡ですが、本日の面談は都合が悪くなりました。
「最優先」
「取り急ぎ」の言い換え表現として「最優先」があります。
この言い換えは、最も優先して処理する必要があるときに使用されます。
例:この案件に関しては、最優先で進めていただけますか?
お手数ですが、最優先で対応いただけますでしょうか。
「~のみで失礼いたします」
「~のみで失礼いたします」は、「取り急ぎ」と同じように「急ぎの場合に用いられる敬意表現」です。
使い方としては、「~だけで(用事が)済むので、これで失礼します」という意味合いになります。
例:資料を確認しました。不明な点があれば、改めてご連絡いたしますが、今のところは報告のみで失礼いたします。
次回の打ち合わせの日程は、◯月◯日を予定しています。まずは日時のご連絡のみで失礼いたします。
「即座に」
直ちに処理することを表す表現で、急いで対応する必要がある場合に使われます。
例:即座に返信いたしますので、しばらくお待ちください。
これらの言い換えや類語を使うことで、文章のバリエーションを増やすことができますね。
その他、丁寧に言い換えたフレーズ集
「取り急ぎ」をより丁寧に表現する方法はいくつかあります。以下にいくつかの例を示します。
・重要事項のため、まずは用件のみご報告いたします。
・まずはご報告のみにて失礼致します。
・この件に関しましてご報告のみにて失礼いたしますが、まずはご連絡を差し上げます。
・お急ぎの件につき、こちらからご報告申し上げます。
・ご連絡いただきました内容につきまして、まずは御礼申し上げます。
これらの表現は、よりフォーマルなビジネスシーンや公式なやり取りに適しています。
「取り急ぎ」を使う際の注意点
「取り急ぎ」は状況に応じて便利な表現ですが、使いすぎると不必要な急ぎ感を与えたり、相手に失礼な印象を与えることがあります。
また、使い方によっては伝えたいことが伝わりにくくなってしまうこともあります。
ここでは、ビジネスシーンで「取り急ぎ」を使う際の注意点を解説します。
上司や取引先に使うのは失礼に当たる
「取り急ぎ」は相手に対して急かせるような印象を与える場合があり、上司や取引先といったビジネス上の相手に使用する場合は、適切ではありません。
もし急いでいる旨を伝える必要がある場合は、より丁寧で明確な表現を選択することが望ましいです。
お詫び・謝罪をする際に使うのはNG
失礼や問題を起こしてしまった場合、相手に対して丁寧に対応することが求められるため、十分な配慮が必要です。
「取り急ぎ」を使うと相手に軽んじられてしまい、逆に相手を不快にさせることになる可能性があります。
謝罪の誠意が伝わるよう、相手の立場に立って考えた上で、できるだけ早く丁寧な謝罪をするよう心掛けましょう。
連絡を受け取って日数が経っている場合使わない
連絡を受け取った後、一定期間が経過してから「取り急ぎ」という言葉を使っても、相手に迷惑をかけることになるため、使わない方が良いでしょう。
その場合は、謝罪や丁寧な説明を含めて詳しい内容のメールを送ることをおすすめします。
後で詳細内容を連絡する
通常「取り急ぎ」と伝える場合は、相手に急ぎの状況を伝え、後日詳細な情報を追加で提供することが期待されています。
そのため、できるだけ早く詳細を報告するよう努める必要があります。
ただし、追加情報がない場合は、その旨を正直に伝えることも重要です。
最終的に、相手が必要とする情報を提供するようにしてください。
「取り急ぎ」の英語表現
「取り急ぎ」の英語表現は
urgently:至急の、緊急の
Just a quick note~: ~急いで済ませるメモ
immediately:すぐに、ただちに
For now:今のところ、現時点では
などがあります。
まとめ
「取り急ぎ」は、急ぎの場合に、ある程度の優先度を持って、一時的に対応することを表現する日本語のフレーズです。
メールなどのビジネスコミュニケーションにおいて、状況報告や連絡を受けたことを伝える際によく使われるのがわかりましたね。
ビジネスシーンにおいては、適切に使われることで、円滑なコミュニケーションに役立つため、絶対に覚えておきましょう。